[200万PV達成]それを捨てるなんてとんでもない!〜童貞を捨てる度に過去に戻されてしまう件〜おまけに相手の記憶も都合よく消えてる!?

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ep.4.

ep4. 「暴かれた世界」 リップサービス

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小泉は引き攣ったような顔でこちらを凝視している。

俺は思わず吹き出した。

「ちょwww何してんのセンセェ?」

普段偉そうに大いばりしてる小泉が猫耳とかふざけたものを頭に乗っけてるのがおかしくてしょうがなかった。

名札には「uka♡  (ウカ)」と書かれている。

なるほど、“鏡花”だからウカって源氏名か。安易過ぎんだろ。捻りが無さすぎる。

「ウケるwww」

俺は再び思わず吹き出す。

(五月蝿いぞ、黙れ佐藤)

小泉が小声で圧を掛けてくる。

「センセェ、何してんのマジで?」

声が大きい!と小泉は手にした丸いトレイで俺の頭を小突く。

「これはちょっとその、理由があって」

小泉の言葉を遮って佑ニーサンが声をかける。

「え~?ガックンの担任の先生~?気付かなかった~」

「先輩の先生、公務員がバイトしていいんスか?」

しかもよりによってメイドとかw、と思うと笑いが堪えられなかった。

小泉が俺たちをキッと睨んだ。

「……これはその、今日は近隣の高校の体育祭がある日で……普段シフトに入ってる女の子が殆ど休みを取ってるから臨時で」

小泉はなおも俺の頭を小突きながら小声で説明する。

「ふーん。別にいいけど。面白いモン見れたし」

「……店長に頼まれて今日一日だけ臨時で復帰しただけだ。いつもやってる訳じゃない」

「え~。じゃあ以前はレギュラーで入ってたの~?」

佑ニーサンも楽しそうに食いつく。

小泉の弱みを握った俺はガチでテンションが爆上がりした。なんだよこれ。面白過ぎんだろ。

撮影してやろうとスマホを取り出したところ、小泉に手の甲をつねられた。

「店内での無断撮影はご遠慮ください。ご主人様」

「痛っ!」

俺が悲鳴を上げると佑ニーサンがニコニコとして言った。

「あ、こういうお店ってチェキあるんでしょ~?一枚いい~?」

横の概史も頷いている。

「先輩、郷に入ったら郷に従えっスよ。ここじゃチェキ以外ダメっぽいっス」

なるほど、よくわからなかったが俺も頷いた。

「じゃあメイドさん、オムライス4個とコーラ3つとケーキセット3つとハニーバタートースト3つ、チェキ3枚に変更ね。あ、ウカさん指名で」

俺は適当にオーダーし直す。

ちょwそんなに食えねぇっス、と概史が笑っている。

「……はい、かしこまりましたご主人様」

般若の形相の小泉がオーダーを取る様子も傑作だった。面白すぎる。

こんな殺意の波動に目覚めたような形相のメイドがいてたまるかよ。

後で覚えてろよ、と小泉は小声で吐き捨てるとキッチンに下がって行った。

俺たちはしばらく小泉の様子を見ていた。

居心地悪そうにチラチラとこっちを窺っている様子もなんかおかしくてしょうがなかった。

しばらく経って小泉がオーダーのオムライスを運んで来る。

苦虫を噛み潰したような表情だった。

「ん~。ウカちゃん表情硬いねぇ~」

「スマイル、スマイルっスよw」

佑ニーサンと概史も追撃を小泉に喰らわす。

小泉は眉間に皺を寄せて険しい表情のまま固まっていた。

今期一番の凶悪な表情だった。

俺自身もなんやかんやで事情があってバイトのシフトに入ることが多い日々を過ごしている。

さっきは適当に聞き流したが、小泉にも何か特殊な事情があるのかもしれない。

いくら小泉と言えど、一生懸命働いてる人間をあまり揶揄い過ぎるのも良くないよな、と思い直した俺は少し罪悪感を覚えた。

「……こちら、プレーンオムライスになります」

メイドらしからぬ低いテンションと地を這うような声で小泉は皿をテーブルに置いた。

自分でさんざん煽っといてなんだが、流石になんか気の毒になって来てしまった。

「ありがとうメイドさん」

俺は横目でチラリと小泉を見た。

小泉は微妙に泣き出しそうな表情をしているようにも見えた。

ところで、これってケチャップで何か書いてもらえるの?と俺は話題を逸らすように質問する。

「……ええ、なんでも書けますのでお申し付けください。ご主人様」

小泉は何もかも諦めたような口調で俺たちに説明する。

「じゃあ何か頼もうかな」

何か書いてもらえます?と言った俺の言葉が終わるか終わらないかのうちに小泉はケチャップを手にしていた。

“死”とか“呪”とか書かれるかと思って身構えていたが、普通に猫の絵を描かれて終わった。

なんとなく居心地が悪くなった俺は恐る恐る小泉の顔を見た。

いつもはスッピンに眼鏡、髪は無造作に縛っているだけの小泉だったが、流石にメイドのバイトの時はそれなりの状態に整えていた。

今日はコンタクトなんだろうか。眼鏡はしておらず、髪も縛らずにそのままの状態だった。

珍しくヘアアイロンでも使っているのか、いつもより真っ直ぐな髪だった。

うっすらメイクしているのか、唇がツヤツヤしているようにも見えた。

「うそうそ。嘘だってば。今日のセンセェ可愛いって」

いつもこうしてたらいいじゃん、と言う俺の言葉に一瞬動きを止めた小泉だったが、しかしやはり俺の頭を小突いてきた。

揶揄っても褒めても小突かれるんじゃあ、たまったもんじゃないな、と思った俺はこれ以上小泉をイジるのはやめることにした。

しかし俺の言葉に続くように佑ニーサンも小泉を褒め始めた。

「先生、可愛いねぇ。二十歳なんでしょ?まだまだ現役じゃない~。レギュラーに復帰したら~」

小泉はうんざりしたように小さく溜息を吐くと別に客の所へ行ってしまった。




ちょっと揶揄い過ぎて気を悪くしたんだろうか、と思った俺はガチめに反省した。
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