[200万PV達成]それを捨てるなんてとんでもない!〜童貞を捨てる度に過去に戻されてしまう件〜おまけに相手の記憶も都合よく消えてる!?

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ep5.

ep5. 『死と処女(おとめ)』 保健室の秘密

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状況が理解できないまま俺は保健室に足を踏み入れる。

佐々木は俺が部屋に入ったのを確認するとドアの鍵を掛けた。

「マジでどうなってんだよ?」

独り言のように俺が呟くと佐々木は何も言わずに椅子に座る。

「大体、保健室の先生は何ヶ月も不在なんだろ?なんでお前が─────」

そう言いかけて俺はハッとした。

目の前に居たのは以前と変わらないあの頃の佐々木だった。

重く長い前髪はヘアピンで止められている。

長くボサボサの髪をかき上げ、ゴムを口に咥えながら佐々木はこちらを見ていた。

露出した鋭い眼光は俺の目を真っ直ぐに見据えている。

「……お待たせ。じゃ、話を聞こうかしら?」

髪を結い終わった佐々木がこちらに向き直る。

「え?マジでどういうこと?」

意味がわからなさ過ぎて混乱する俺に対し、佐々木は椅子に座るように促してくる。

差し出されたパイプ椅子に座ると佐々木は含みを持たせたような小さな笑みを浮かべた。

「……で?何から聞きたいの?」

その前に、と佐々木は呟くと何処かから冷えた紙パック飲料を取り出した。

「……ジュースはりんごの方が好きだったわね」

はい、と手渡されたジュースに俺は困惑する。

適度に冷えてる。

どっから出してきたんだろう。

そもそも、なんで保健室を独占できてる?

俺の思考を見透かすように佐々木は唇の端を吊り上げた。

「……ま、無理もないわね。余りにも突拍子も無い事だろうし」

「おいおいおい。一から説明してくんねぇと俺にはなんもわかんねぇだろうがよ」

俺は出されたリンゴジュースの紙パックにストローを挿しながら呟いた。

佐々木ってのはいっつもこうなんだ。

自分一人で全部解ってて、俺には小出しにしかヒントをくれなかったりする。

そうね、と言いながら佐々木は懐かしそうに俺を見た。

「……ねえ。小二の頃ね、図書室で借りたホームズ全集をよく一緒に読んでたじゃない?」

ああ、と俺は頷いた。

「お前ってホントに推理小説とか探偵とか大好きだったもんな。今でも内容覚えてるぜ」

佐々木に付き合わされたとは言え、俺はいつの間にかホームズ全集を全巻読破してたんだよなあ。(いや、させられたと言った方が正しいかもしれない)

最初は難しかった内容だったけど、回を追うごとに読み慣れていって読書の楽しさに目覚めたんだっけな。

「……じゃあさ、短編にあった『ネビル・セントクレア氏失踪事件』って覚えてる?」

唇のねじれた男、って言った方ががわかりやすいかしら?と佐々木は余裕ありげに俺に問いかける。

いきなりホームズクイズかよ?まあ、佐々木らしいっちゃ佐々木らしいんだけども。

「……なんとなくなら覚えてるぜ?」

と、俺は答えたが実は自信がない。

ホームズの短編ってのは50話以上あるからな。

あらすじとか聞いたら思い出すかもしれねぇが、フワフワとした漠然としたイメージしか湧いてこねぇ。

そう、と佐々木は頷く。

「……それが今のわたし。多分、ちょっと似た状況なのかもね」

は?どういうことだ?

何かの事件に巻き込まれてんの?

コレ、多分あらすじ聞いてもよくわかんねぇヤツだ。

「佐々木。お前が一番よく知ってるだろうが。俺、わかりやすく説明してもらわねぇと何も頭に入ってこねぇんだぜ?」

俺はリンゴジュースを飲みながら答えた。

佐々木はもう一度セーラー服の胸元に手を差し込む。

「さっきの鍵。つまり今のわたしはメリットを享受する為にこうしてここに居るの」

佐々木の手の中で保健室の鍵が鈍い光を放っていた。








「この学校で唯一の保健室登校者って立場だからこうして保健室を占拠できる。この部屋は私だけが自由にできる空間なの」
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