[200万PV達成]それを捨てるなんてとんでもない!〜童貞を捨てる度に過去に戻されてしまう件〜おまけに相手の記憶も都合よく消えてる!?

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ep8

ep8『我が逃走』 Not Gonna Get Us その①

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少年はゆっくりと深呼吸をする。

大丈夫だ、落ち着け。

自分自身に言い聞かせるようにポケットの中で拳を握りしめた。

「さあ、もうそろそろ危ないよ────────」

今が最後のチャンスだ。早くここから降りて、と死刑執行前の詐欺師は虚空に向かって呟く。

「なあ、アンタ。そもそも何でこんな事態に巻き込まれてんだよ?死ぬ必要とかなくね?」

おかしいだろ、と少年は詐欺師の腕を掴んだ。

「アンタがやってた商売──────カリスマスピリチュアルカウンセラー?だっけ?アレもあの三人の指示なのか?」

少年が尋ねると詐欺師は首をすくめた。

「いや……そうでもないさ。あれは僕が自分で始めたんだよ。ちょっとした好奇心でね」

ふーん?と少年は相槌を打つが詐欺師を掴んだ手は離さなかった。

「なあアンタさ。死ぬ前に正直に答えてくれよ。どういう理由であんな事を女子中学生相手にやってたんだ?」

少年の眼光が鋭くなる。

目隠しの詐欺師はそれに気付く由もなく、ただ乾いた笑いを浮かべた。

「さあ?もうどうでもいいんじゃないかな?そんな事は───────」

「良くねぇよ」

間髪入れずに少年が詐欺師の言葉を遮るようにピシャリと言ってのける。

それは少年にとって大事な事だった。

“これから実行する行為“を決断するためには────────どうしても理由が必要だったのだ。

「惚(とぼ)けるなら俺から言ってやろうか?アンタさ───────わざとあの石を選んだだろ?」

少年はポケットから”愚者(フール)の宝石(ジェム)“を取り出し、詐欺師の手のひらに乗せた。

「佐々木……いや、俺の知り合いに借りて来たんだけどよ。これ、アンタが作ったんだよな?」

なかなか器用じゃねぇか。配色センスもいい、と少年は詐欺師の顔を近づけて呟いた。

「……そりゃどうも」

詐欺師は顔色一つ変えずにそう答える。

「ブルー系統の色で石を統一してグラデーションみたいな配色にしてる。バランスが良くて綺麗に見えるようにしてあるんだよな?」

少年は確認するように手のひらの宝石を指で摘んだ。

けど、と少年は強調するようにこう言った。

「この”愚者(フール)の宝石(ジェム)“の狙いはそこだろ?トップに付いてるパワーストーンがこの宝石の『本体』になってる。そうだろ?」

なんのこと?と詐欺師は飄々とした様子で答える。

「知り合いに聞いたんだけどよ。この石の名前───────[ラブラドライト]って言うんだってなぁ?」

少年は燃える炎に宝石をかざすと反射したその光を凝視した。

「この石ってさ、強い力があるって話だけど──────その反面、強すぎて”怖い石“だとも言われてるそうじゃねぇか」

悪夢を見る。事故に遭う。目眩がする。

この石に関する悪い噂や実体験のエピソードはネットで検索すればすぐに出てくる情報だった。

なんでわざわざこんなモンを選んで使ったんだよ?と少年は詐欺師ににじり寄った。

「パワーストーン辞典とかいう本、見せてもらったんだけどよ……水晶だのラピスラズリだの、幸運を呼ぶ石なんか他に沢山あるじゃねぇか」

なんで敢えて”副作用“みてぇなリスクがあるこの石を使った?と少年は少し苛立った様子で続けた。

詐欺師は黙ったまま何も答えない。

「言えないか?じゃあ俺が言ってやるよ。アンタは────────────」

一呼吸置いて少年ははっきりとこう断言する。











「女子達を不幸にしたかった。わざわざ身体の中にこれを入れるなんて方法まで使って──────────違うか?」


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