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ep8
ep8『我が逃走』 Not Gonna Get Us その②
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君が何を言ってるかわからないな、と詐欺師はなおもシラを切る。
少年は指先の宝石をもう一度、炎にかざした。
「アンタの目的は────────“復讐”……そうなんだろ?」
じゃないと辻褄が合わねぇ、と少年はハッキリと言い切った。
「なんで女子中学生だけに客層を絞って商売してた?しかもそこそこの低価格設定じゃねぇか。普通に考えれば───────」
客の年齢層をもう少し上げて客単価も上げればもっと稼げた筈だろ、という少年の言葉に詐欺師は苦笑した。
「心外だな。僕はそんな風に思われてたなんてね」
それに、と詐欺師はこう付け加える。
「ラブラドライトはパワーの強い素敵な石だよ。僕はこの深い森みたいな色がとても気に入ってるんだ」
これを見てると──────まるで僕の心ような色をしてるように思えて来てね、と詐欺師は穏やかに言った。
「自分の心情を投影した石を女子中学生の胎内にブチ込んで回るってのも───────なかなか拗らせた性癖に思えるけどな。けど、そうじゃねぇだろ?」
俺が当ててやろうか、と少年はやや語気を荒げた。
「これってさ、女子達への────────ある種の呪いの意味合いもあるんじゃねぇの?違うか?」
それに、と少年はさらに続けた。
「……年齢が近い高校生は怖い。小学生相手だと捕まるリスクがある。だからちょっと歳下の中学生ばっかり狙って客にしてたんだよな?」
「……」
詐欺師は黙ったまま何も答えなかった。
「そもそも大人の女相手だとアンタのインチキなんてすぐに見破られちまうからな。ターゲットとしてはなかなかいいチョイスだと思うぜ?」
そうなんだろ?と少年は自信のある様子で断言する。
「……そうかもね。だけどそんなことはもう──────どうでも良くなっちゃったよ」
だってもうすぐ死ぬしね、と詐欺師は乾いた笑みを浮かべた。
だけど、と詐欺師は続けた。
「“復讐”だなんてのは心外だよ。これでも僕は───────この仕事に少なからずやり甲斐は感じてたんだけどな」
ブックオフで100円コーナの中古の本を数冊、買って読んだだけの付け焼き刃の割にはなかなか上出来だっただろ?と詐欺師は自嘲気味に自白する。
「ブックオフの100円コーナーか。確かに、それにしちゃ上手く商売やってたじゃねぇか」
少年も呆れ気味で頷く。
「それにこの“愚者(フール)の宝石(ジェム)”───────俺の知り合いが試しに再現したものとは仕上がりが違うよな」
少年はポケットから別の宝石を出し、光を失った詐欺師の前に差し出す。
「俺の知り合いが作ったのとアンタの作った物─────────パッと見はそう変わんねぇけど、手に取ってみたら違いが判るんだ」
少年は二つの宝石を詐欺師の手のひらの上に載せた。
「知り合いが作ったのは透明な糸の端が石から飛び出てるんだけどさ、アンタの作ったのは綺麗に処理されてる」
仕上がりが違うんだな、と少年が感心したように言うと詐欺師は苦笑した。
「お褒めに預かって光栄だよ。夜な夜なコツコツと作った甲斐があったってものだ」
アンタは、と少年は続けた。
「色彩センスが良くて手先も器用だ。仕上がりも申し分ないし────────」
本当はこっち方面の何かクリエイティブな才能があったんじゃねぇのか、と少年が言うと詐欺師はポツリと答える。
「……お金を貯めてやりたいことがあったんだ」
「……」
少年は黙った。
「だから、“復讐”だとかじゃないよ。ただ単純に商売やってただけだよ。僕は」
まあ、結果的に法律的にグレーゾーンな感じになっただけで、と詐欺師は首をすくめた。
「中学生の小遣い巻き上げてさ。それで金貯めて何がやりたかったっていうんだよ?」
少年が訊ねると詐欺師はポツリとこう答えた。
「……手術を────────受けたかったんだ。本当の僕を取り戻す為に……」
少年は指先の宝石をもう一度、炎にかざした。
「アンタの目的は────────“復讐”……そうなんだろ?」
じゃないと辻褄が合わねぇ、と少年はハッキリと言い切った。
「なんで女子中学生だけに客層を絞って商売してた?しかもそこそこの低価格設定じゃねぇか。普通に考えれば───────」
客の年齢層をもう少し上げて客単価も上げればもっと稼げた筈だろ、という少年の言葉に詐欺師は苦笑した。
「心外だな。僕はそんな風に思われてたなんてね」
それに、と詐欺師はこう付け加える。
「ラブラドライトはパワーの強い素敵な石だよ。僕はこの深い森みたいな色がとても気に入ってるんだ」
これを見てると──────まるで僕の心ような色をしてるように思えて来てね、と詐欺師は穏やかに言った。
「自分の心情を投影した石を女子中学生の胎内にブチ込んで回るってのも───────なかなか拗らせた性癖に思えるけどな。けど、そうじゃねぇだろ?」
俺が当ててやろうか、と少年はやや語気を荒げた。
「これってさ、女子達への────────ある種の呪いの意味合いもあるんじゃねぇの?違うか?」
それに、と少年はさらに続けた。
「……年齢が近い高校生は怖い。小学生相手だと捕まるリスクがある。だからちょっと歳下の中学生ばっかり狙って客にしてたんだよな?」
「……」
詐欺師は黙ったまま何も答えなかった。
「そもそも大人の女相手だとアンタのインチキなんてすぐに見破られちまうからな。ターゲットとしてはなかなかいいチョイスだと思うぜ?」
そうなんだろ?と少年は自信のある様子で断言する。
「……そうかもね。だけどそんなことはもう──────どうでも良くなっちゃったよ」
だってもうすぐ死ぬしね、と詐欺師は乾いた笑みを浮かべた。
だけど、と詐欺師は続けた。
「“復讐”だなんてのは心外だよ。これでも僕は───────この仕事に少なからずやり甲斐は感じてたんだけどな」
ブックオフで100円コーナの中古の本を数冊、買って読んだだけの付け焼き刃の割にはなかなか上出来だっただろ?と詐欺師は自嘲気味に自白する。
「ブックオフの100円コーナーか。確かに、それにしちゃ上手く商売やってたじゃねぇか」
少年も呆れ気味で頷く。
「それにこの“愚者(フール)の宝石(ジェム)”───────俺の知り合いが試しに再現したものとは仕上がりが違うよな」
少年はポケットから別の宝石を出し、光を失った詐欺師の前に差し出す。
「俺の知り合いが作ったのとアンタの作った物─────────パッと見はそう変わんねぇけど、手に取ってみたら違いが判るんだ」
少年は二つの宝石を詐欺師の手のひらの上に載せた。
「知り合いが作ったのは透明な糸の端が石から飛び出てるんだけどさ、アンタの作ったのは綺麗に処理されてる」
仕上がりが違うんだな、と少年が感心したように言うと詐欺師は苦笑した。
「お褒めに預かって光栄だよ。夜な夜なコツコツと作った甲斐があったってものだ」
アンタは、と少年は続けた。
「色彩センスが良くて手先も器用だ。仕上がりも申し分ないし────────」
本当はこっち方面の何かクリエイティブな才能があったんじゃねぇのか、と少年が言うと詐欺師はポツリと答える。
「……お金を貯めてやりたいことがあったんだ」
「……」
少年は黙った。
「だから、“復讐”だとかじゃないよ。ただ単純に商売やってただけだよ。僕は」
まあ、結果的に法律的にグレーゾーンな感じになっただけで、と詐欺師は首をすくめた。
「中学生の小遣い巻き上げてさ。それで金貯めて何がやりたかったっていうんだよ?」
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「……手術を────────受けたかったんだ。本当の僕を取り戻す為に……」
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