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ep9
ep9『ナイト・オブ・ファイヤー』 静かな日々の階段を
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着替えた俺は冷蔵庫を開けた。
中は空だった。
昨日の給食はチキンライスだったっけ?
こういうメニューの日は余ったパンを持って帰れないから厳しいんだよな。
給料日前だし、食材もロクなものがない。
おまけに今日は土曜日だ。
学校がないから給食も無ぇ。
誰かに食べさせて貰うか?
真っ先に小泉のトコが浮かぶが────────俺は慌ててそれを否定した。
どんな顔して小泉の部屋に行けばいいんだよ?
気まず過ぎる。
俺一人が勝手に意識してるだけなんだけど、それでもなんかやっぱ無理だ。
じゃあどうする?
どこで食べさせて貰うか─────────
ふと、概史のことが脳裏に浮かぶ。
アイツんとこならなんか食い物がありそうだ。
兄貴のフーミンは朝帰りしてくるし───────
余った食材や客からの差し入れを持ち帰ったりしてるしな。
とにかく空腹だった俺は、概史の家に行ってみることにした。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「どしたんすかww先輩www珍しいじゃないスかwwwww」
いつもの調子で俺を出迎えてくれた概史だったが、その部屋を見た俺は絶句した。
彼女の撫子の姿が見える。
こんな朝早くから何やってんだ!?
「おいおいおい、まさかお泊りとかしてたのか?」
だったら邪魔したな、と俺がやや遠慮しながら言うと概史は首を振った。
「んなワケないっスよwwwww違いますってwwwww」
撫子と目が合うとこちらに軽く会釈をしてくる。
その横には─────幼稚園くらいと思しき小さな女の子が座っていた。
「え?どしたんこの子……」
俺がそう言いかけると、概史はまた奇妙なテンションで説明を始めた。
「妹っスよww撫子のwwなんかww今日ww保育園に登園禁止らしくてww子守りしなきゃなんねぇらしいっスww」
なるほど。
「ふーん。そっか。けど、登園禁止って?」
それは、と撫子が口を開いた。
「37.5度以上の熱があったら休まなきゃいけなくて……」
俺はもう一度女の子の様子を見た。
確かに、元気いっぱいって訳では無さそうだが──────そこまで病人だとも思えなかった。
まあ、37度くらいならそんなに高熱って訳でも無いよな。
「なんかwwこの子ww熱が出やすいらしくてwwめっちゃ苦労してるみたいっスwwww」
そう言いながら概史は手際よくベーコンエッグを皿に乗せていく。
「あww先輩の分も作りますんでwwwそこに座って待ってて下さいねwwwww」
概史はフーミンの店の手伝いとかたまにやってるからか、料理とか一通りできるんだよな。
なんなら俺よりレベルが高いまである。
「おう、なんか悪いな」
別にいいっスよwwといつものように笑いながら概史はコンロの前に戻る。
「おねぇちゃん、あのね、ほん、よんで」
女の子が撫子に本を差し出す。
「いいわよ」
撫子がコクンと頷き、静かな声で絵本を読み始める。
その光景を見た俺はドキリとしてしまう。
二人が読んでいたのは──────『人魚姫』の絵本だった。
中は空だった。
昨日の給食はチキンライスだったっけ?
こういうメニューの日は余ったパンを持って帰れないから厳しいんだよな。
給料日前だし、食材もロクなものがない。
おまけに今日は土曜日だ。
学校がないから給食も無ぇ。
誰かに食べさせて貰うか?
真っ先に小泉のトコが浮かぶが────────俺は慌ててそれを否定した。
どんな顔して小泉の部屋に行けばいいんだよ?
気まず過ぎる。
俺一人が勝手に意識してるだけなんだけど、それでもなんかやっぱ無理だ。
じゃあどうする?
どこで食べさせて貰うか─────────
ふと、概史のことが脳裏に浮かぶ。
アイツんとこならなんか食い物がありそうだ。
兄貴のフーミンは朝帰りしてくるし───────
余った食材や客からの差し入れを持ち帰ったりしてるしな。
とにかく空腹だった俺は、概史の家に行ってみることにした。
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「どしたんすかww先輩www珍しいじゃないスかwwwww」
いつもの調子で俺を出迎えてくれた概史だったが、その部屋を見た俺は絶句した。
彼女の撫子の姿が見える。
こんな朝早くから何やってんだ!?
「おいおいおい、まさかお泊りとかしてたのか?」
だったら邪魔したな、と俺がやや遠慮しながら言うと概史は首を振った。
「んなワケないっスよwwwww違いますってwwwww」
撫子と目が合うとこちらに軽く会釈をしてくる。
その横には─────幼稚園くらいと思しき小さな女の子が座っていた。
「え?どしたんこの子……」
俺がそう言いかけると、概史はまた奇妙なテンションで説明を始めた。
「妹っスよww撫子のwwなんかww今日ww保育園に登園禁止らしくてww子守りしなきゃなんねぇらしいっスww」
なるほど。
「ふーん。そっか。けど、登園禁止って?」
それは、と撫子が口を開いた。
「37.5度以上の熱があったら休まなきゃいけなくて……」
俺はもう一度女の子の様子を見た。
確かに、元気いっぱいって訳では無さそうだが──────そこまで病人だとも思えなかった。
まあ、37度くらいならそんなに高熱って訳でも無いよな。
「なんかwwこの子ww熱が出やすいらしくてwwめっちゃ苦労してるみたいっスwwww」
そう言いながら概史は手際よくベーコンエッグを皿に乗せていく。
「あww先輩の分も作りますんでwwwそこに座って待ってて下さいねwwwww」
概史はフーミンの店の手伝いとかたまにやってるからか、料理とか一通りできるんだよな。
なんなら俺よりレベルが高いまである。
「おう、なんか悪いな」
別にいいっスよwwといつものように笑いながら概史はコンロの前に戻る。
「おねぇちゃん、あのね、ほん、よんで」
女の子が撫子に本を差し出す。
「いいわよ」
撫子がコクンと頷き、静かな声で絵本を読み始める。
その光景を見た俺はドキリとしてしまう。
二人が読んでいたのは──────『人魚姫』の絵本だった。
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