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ep9
ep9『ナイト・オブ・ファイヤー』 土曜日の朝、無敵のこども達
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一体、俺は何を見せられているんだろう。
俺はここに来たことを心底後悔していた。
こんな事なら小泉のトコにでも行けばよかったか?
いや。
俺は首を振った。
それはそれで気まずい。
小泉はなんも気にしないだろうけどさ、俺の方が無理なんだよ。
夢の中の感触がまだ微かに残っている。
ドレスの裾のフリルも、コルセットみたいに固いビスチェも。
それから。
雪のように真っ白なドレスに染み込んだ血の跡。
結婚と血痕。
対照的なそれは───────ただ考えるだけでも胸が苦しくなった。
そうだよな。
改めて突きつけられた現実に俺は打ちのめされた。
呪われた忌み子である俺の道は────────生々しい血痕で舗装されている。
けど、コイツらはそうじゃない。
概史と撫子。
この二人はただ、未来を無邪気に信じている。
多分だけどコイツらは将来、ガチで結婚するだろう。
概史───────コイツは普段はニヤニヤしてるが、いざって時にはとんでもねぇ力を出してきやがる。
“能ある鷹は爪を隠す”っていうだろ?
多分それだ。
概史ってさ、一回自分で決めたことは必ずやり遂げるヤツなんだよ。
俺は心底、この二人のことを眩しく思った。
もしも俺にも──────俺のことを好きでいてくれる女子が居れば俺は全力でその子を守るのに。
だけど。
呪われた忌み子の俺を好いてくれる女子なんてこの世に存在しないだろう。
俺がもし女だったら、こんな男なんか願い下げだからな。
漠然と悲しい気持ちになっていると──────概史がふと何かに気付いたように声を上げる。
「てかww人魚姫ってラストで結婚してた?wwなんか違くねww」
「えっ?」
美鳥が驚いたように概史の顔を見た。
「お姫様はみんな、王子様と結婚して終わりでしょう?」
そうだよね、と撫子の顔を覗き込む美鳥。
撫子も首を傾げる。
「……そう言われてみれば─────何か違ったような……」
「なんかww俺の記憶とww違うんだけどwww」
概史が俺にパスを回して来る。
「先輩はどうだったかwww覚えてますwww?」
おいおい、俺に聞くなよ俺がそんなん知ってる訳ねぇだろうが。
「知らんけど……テレビで見たヤツ?はハッピーエンドだった気がするぜ?」
俺は適当に答えた。
ガキの頃に何かのチャンネルでアニメの人魚姫を見た気がする。
「……けどさ、プリンセスってどれも同じじゃねぇか。最後に結婚式して終わりだろ?」
俺がそう付け加えると美鳥も頷く。
「そうだよ!プリンセスは王子様と絶対に結ばれるの!」
美鳥は力強くそう断言する。
この子もまた、輝かしい未来を無邪気に信じてるんだろう。
「あwそういや、俺が昔読んでた絵本wwwまだあった気がするんでwww」
そう言うと概史は奥の部屋に引っ込み、古びた絵本を片手にこちらに戻ってきた。
ボロボロになった絵本は、相当古い年代のものと思われた。
概史は最後のページを開く。
「あwwやっぱそうだww」
俺はそのページを覗き込んで絶句する。
王子と結ばれなかった人魚姫が─────────海に身を投げて絶命している場面がそこには描かれていた。
俺はここに来たことを心底後悔していた。
こんな事なら小泉のトコにでも行けばよかったか?
いや。
俺は首を振った。
それはそれで気まずい。
小泉はなんも気にしないだろうけどさ、俺の方が無理なんだよ。
夢の中の感触がまだ微かに残っている。
ドレスの裾のフリルも、コルセットみたいに固いビスチェも。
それから。
雪のように真っ白なドレスに染み込んだ血の跡。
結婚と血痕。
対照的なそれは───────ただ考えるだけでも胸が苦しくなった。
そうだよな。
改めて突きつけられた現実に俺は打ちのめされた。
呪われた忌み子である俺の道は────────生々しい血痕で舗装されている。
けど、コイツらはそうじゃない。
概史と撫子。
この二人はただ、未来を無邪気に信じている。
多分だけどコイツらは将来、ガチで結婚するだろう。
概史───────コイツは普段はニヤニヤしてるが、いざって時にはとんでもねぇ力を出してきやがる。
“能ある鷹は爪を隠す”っていうだろ?
多分それだ。
概史ってさ、一回自分で決めたことは必ずやり遂げるヤツなんだよ。
俺は心底、この二人のことを眩しく思った。
もしも俺にも──────俺のことを好きでいてくれる女子が居れば俺は全力でその子を守るのに。
だけど。
呪われた忌み子の俺を好いてくれる女子なんてこの世に存在しないだろう。
俺がもし女だったら、こんな男なんか願い下げだからな。
漠然と悲しい気持ちになっていると──────概史がふと何かに気付いたように声を上げる。
「てかww人魚姫ってラストで結婚してた?wwなんか違くねww」
「えっ?」
美鳥が驚いたように概史の顔を見た。
「お姫様はみんな、王子様と結婚して終わりでしょう?」
そうだよね、と撫子の顔を覗き込む美鳥。
撫子も首を傾げる。
「……そう言われてみれば─────何か違ったような……」
「なんかww俺の記憶とww違うんだけどwww」
概史が俺にパスを回して来る。
「先輩はどうだったかwww覚えてますwww?」
おいおい、俺に聞くなよ俺がそんなん知ってる訳ねぇだろうが。
「知らんけど……テレビで見たヤツ?はハッピーエンドだった気がするぜ?」
俺は適当に答えた。
ガキの頃に何かのチャンネルでアニメの人魚姫を見た気がする。
「……けどさ、プリンセスってどれも同じじゃねぇか。最後に結婚式して終わりだろ?」
俺がそう付け加えると美鳥も頷く。
「そうだよ!プリンセスは王子様と絶対に結ばれるの!」
美鳥は力強くそう断言する。
この子もまた、輝かしい未来を無邪気に信じてるんだろう。
「あwそういや、俺が昔読んでた絵本wwwまだあった気がするんでwww」
そう言うと概史は奥の部屋に引っ込み、古びた絵本を片手にこちらに戻ってきた。
ボロボロになった絵本は、相当古い年代のものと思われた。
概史は最後のページを開く。
「あwwやっぱそうだww」
俺はそのページを覗き込んで絶句する。
王子と結ばれなかった人魚姫が─────────海に身を投げて絶命している場面がそこには描かれていた。
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