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ep10.
ep10.『聖母と道化、その支配人』既に押された背中
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「マジか」
一気に急展開じゃねぇか?
どう反応すれば良いかわからず、俺はただ水森唯の次の言葉を待った。
「……行ってみようと思うの。今から」
今から!?と俺が聞き返すと水森唯は頷いた。
「……そう。今から」
何か事前に連絡してたりは?と俺が尋ねると水森唯はあっけらかんとこう言い放つ。
「いいえ。全く」
生まれてこの方、一回も会ったこともなければ電話で話したことすらないわ、と淡々と答える水森唯の言葉は何処か力強い。
「……知ってるのはお店の場所とそこのオーナーだってことくらい。向こうも私を知らないと思う」
随分と無謀なことをやろうとしているのだけは伝わってくる。
「なかなか急に思い切ったな?」
俺が何とかそう搾り出すと水森唯は少し笑った。
「……あなたのお陰よ。佐藤君」
何がだよ、と俺が聞き返すと水森唯はポケットからもう一度コンパクトを取り出して眺めた。
「……貴方が今日、ここに連れて来てくれたから──────────こんな千載一遇のチャンスって無いわ」
そうだろうか。
俺が黙っていると水森唯はこう続けた。
「……今まで何度も祖父の所へ行こうと思った。だけど、勇気が出なかったの」
だから、今日貴方に誘って貰えたのって……もしかしたらって思ったから、という水森唯の言葉を俺はもう一度反芻する。
ん?
どういう意味だろう。
「それってさ、どういうこと?俺と一緒だと何か違うってことなのか?」
俺がそう尋ねると水森唯は深く頷いた。
「そう。背中を押してもらいたかったっていうのもあるけど──────────────」
夕日に照らされた水森唯がゆっくりとこちらを振り返る。
「……一人だと決心しきれなくて。だから、誰かに一緒に来て欲しかったのかもしれない」
一気に急展開じゃねぇか?
どう反応すれば良いかわからず、俺はただ水森唯の次の言葉を待った。
「……行ってみようと思うの。今から」
今から!?と俺が聞き返すと水森唯は頷いた。
「……そう。今から」
何か事前に連絡してたりは?と俺が尋ねると水森唯はあっけらかんとこう言い放つ。
「いいえ。全く」
生まれてこの方、一回も会ったこともなければ電話で話したことすらないわ、と淡々と答える水森唯の言葉は何処か力強い。
「……知ってるのはお店の場所とそこのオーナーだってことくらい。向こうも私を知らないと思う」
随分と無謀なことをやろうとしているのだけは伝わってくる。
「なかなか急に思い切ったな?」
俺が何とかそう搾り出すと水森唯は少し笑った。
「……あなたのお陰よ。佐藤君」
何がだよ、と俺が聞き返すと水森唯はポケットからもう一度コンパクトを取り出して眺めた。
「……貴方が今日、ここに連れて来てくれたから──────────こんな千載一遇のチャンスって無いわ」
そうだろうか。
俺が黙っていると水森唯はこう続けた。
「……今まで何度も祖父の所へ行こうと思った。だけど、勇気が出なかったの」
だから、今日貴方に誘って貰えたのって……もしかしたらって思ったから、という水森唯の言葉を俺はもう一度反芻する。
ん?
どういう意味だろう。
「それってさ、どういうこと?俺と一緒だと何か違うってことなのか?」
俺がそう尋ねると水森唯は深く頷いた。
「そう。背中を押してもらいたかったっていうのもあるけど──────────────」
夕日に照らされた水森唯がゆっくりとこちらを振り返る。
「……一人だと決心しきれなくて。だから、誰かに一緒に来て欲しかったのかもしれない」
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