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ボクと雪の関係は、最初はただの友達。
純粋なる友愛。部活仲間。
練習して試合に行って。寄り道してたまに遊んで。そんなただの友達。
そこにうっかり、愛だの性欲だのが加わっての、今。
「ありがと、雪。部屋の掃除しといてくれたんだ。」
ボクはにこにこ。
笑顔を浮かべたまま雪の隣をすり抜け、玄関からリビングへと移動する。
一瞬だけ。
あのまんま、ちらかしっぱなしかなぁ。なんて。
想像していたボクは、だから驚いた。
テーブルの上には、飲みかけのマグカップが1つ。
昨日見た、あの食べ散らかした跡は綺麗さっぱり片付けられてる。
チーズの箱もね!!
跡形も無し。
すごいよ雪。見事に痕跡がなくなってる。
どころか。
いつもより整ってない?
狭いリビングに敷かれたラグとか、ゴミ落ちてないし。
雪が住み始めてから、ソファーは置けないけどせめて、って後から2人で選んだおっきめなクッションなんて。
きれーに2つ並んでる。
いつもならもっと適当に、あっちこっちに置いてあるのにね。
すごいよ雪!あんなにきったなかったのに!!!
びっくり。叫ぶ代わりに、ボクはありがとうを口にする。
すごいわー。だから疲れて小汚くなってたのかな?
それとも見知らぬ男が片したのかな?
にこにこ。
ずっとボクは笑ってる。
「ありがとう。」
笑顔のまま、もう一度お礼を伝えれば、
「え?あぁ、うん。」
ボクの後についてリビングに戻ってきた雪は、曖昧に頷きながらさっと目線を動かした。
ボクもつられ、その方向に動かす。
その先に。
キッチンスペースのゴミ箱が。
生ゴミ用の、ペダル踏むと蓋がパカってなるやつ。
蓋付きってさ、いいよね。
臭い、遮断できてさ。
ね。
(ーーナニが入ってるのか。な?)
ボクの口角が釣り上がる。けど。目線逸らした雪には見えてない。
「は、葉海、なぁ。昨日さぁ…」
「宮君ちに泊まったんだ。」
そのまま。逸らしたまま、雪がおずおずとまた聞いてくるから。
ボクは被せるようにして答えてあげた。
朝帰り!今更な、宿泊報告。
「ごめんね、急にご飯食べることになってさ。そのまま宮君ちでお泊まりしちゃった!」
ボクは正直に答えてあげた。
昨晩はね。確かに急に、宮君とご飯食べることになってね。
それでそのままお泊まりしたんだよ。
その前に、お前の浮気現場に遭遇したけどな!!
宮君、の名前に雪の肩がぴくりと動く。
「また、あいつんちかよ。」
少し、不機嫌そうな声。
宮君が絡むと雪はいつだって面白くないって顔をする。今みたいに眉間に皺寄せて、嫌な顔。
でもそうされたって、同じサークルの後輩だ。
ボクが1番懐いてて、そんで可愛がって大好きな後輩だ。名前なんて、今まで何回だしたかなんてわかんない。たくさん出した。特に最近はご飯作りに行って、一緒に食べるだけじゃなく、たまにお泊まりだってしてる。
雪との会話に、たくさんたくさん出る名前。
宮君が宮君がって。
(だってさ。仕方ないじゃん。親友枠空いちゃったんだから。)
1番の友達はカレ氏になっちゃった。
親友でカレ氏ってのは、やっぱり。難儀だったね。
今ならわかる。
ボクも。
お前も。
ボクは笑って、
「お風呂入ってくるね。」
雪の隣をまた、通り過ぎた。
純粋なる友愛。部活仲間。
練習して試合に行って。寄り道してたまに遊んで。そんなただの友達。
そこにうっかり、愛だの性欲だのが加わっての、今。
「ありがと、雪。部屋の掃除しといてくれたんだ。」
ボクはにこにこ。
笑顔を浮かべたまま雪の隣をすり抜け、玄関からリビングへと移動する。
一瞬だけ。
あのまんま、ちらかしっぱなしかなぁ。なんて。
想像していたボクは、だから驚いた。
テーブルの上には、飲みかけのマグカップが1つ。
昨日見た、あの食べ散らかした跡は綺麗さっぱり片付けられてる。
チーズの箱もね!!
跡形も無し。
すごいよ雪。見事に痕跡がなくなってる。
どころか。
いつもより整ってない?
狭いリビングに敷かれたラグとか、ゴミ落ちてないし。
雪が住み始めてから、ソファーは置けないけどせめて、って後から2人で選んだおっきめなクッションなんて。
きれーに2つ並んでる。
いつもならもっと適当に、あっちこっちに置いてあるのにね。
すごいよ雪!あんなにきったなかったのに!!!
びっくり。叫ぶ代わりに、ボクはありがとうを口にする。
すごいわー。だから疲れて小汚くなってたのかな?
それとも見知らぬ男が片したのかな?
にこにこ。
ずっとボクは笑ってる。
「ありがとう。」
笑顔のまま、もう一度お礼を伝えれば、
「え?あぁ、うん。」
ボクの後についてリビングに戻ってきた雪は、曖昧に頷きながらさっと目線を動かした。
ボクもつられ、その方向に動かす。
その先に。
キッチンスペースのゴミ箱が。
生ゴミ用の、ペダル踏むと蓋がパカってなるやつ。
蓋付きってさ、いいよね。
臭い、遮断できてさ。
ね。
(ーーナニが入ってるのか。な?)
ボクの口角が釣り上がる。けど。目線逸らした雪には見えてない。
「は、葉海、なぁ。昨日さぁ…」
「宮君ちに泊まったんだ。」
そのまま。逸らしたまま、雪がおずおずとまた聞いてくるから。
ボクは被せるようにして答えてあげた。
朝帰り!今更な、宿泊報告。
「ごめんね、急にご飯食べることになってさ。そのまま宮君ちでお泊まりしちゃった!」
ボクは正直に答えてあげた。
昨晩はね。確かに急に、宮君とご飯食べることになってね。
それでそのままお泊まりしたんだよ。
その前に、お前の浮気現場に遭遇したけどな!!
宮君、の名前に雪の肩がぴくりと動く。
「また、あいつんちかよ。」
少し、不機嫌そうな声。
宮君が絡むと雪はいつだって面白くないって顔をする。今みたいに眉間に皺寄せて、嫌な顔。
でもそうされたって、同じサークルの後輩だ。
ボクが1番懐いてて、そんで可愛がって大好きな後輩だ。名前なんて、今まで何回だしたかなんてわかんない。たくさん出した。特に最近はご飯作りに行って、一緒に食べるだけじゃなく、たまにお泊まりだってしてる。
雪との会話に、たくさんたくさん出る名前。
宮君が宮君がって。
(だってさ。仕方ないじゃん。親友枠空いちゃったんだから。)
1番の友達はカレ氏になっちゃった。
親友でカレ氏ってのは、やっぱり。難儀だったね。
今ならわかる。
ボクも。
お前も。
ボクは笑って、
「お風呂入ってくるね。」
雪の隣をまた、通り過ぎた。
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