魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第二章

9『モロッタイヤ村と門番』

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そよそよと心地よい風が吹き、木漏れ日があたりを照らす。
 前日の豪雨と打って変わって穏やかな日和だ。


 アンナリーナ 14才
 職業 薬師、錬金術師、賢者の弟子
 
 体力値 102400
 魔力値 68079474637/68079474688
(ステータス鑑定に1使用、細工に50使用)

 ギフト(スキル) ギフト(贈り物)
  [一日に一度、望むスキルとそれによって起きる事象を供与する]
 調薬
 鑑定
 魔力倍増・継続 (12日間継続)
 錬金術(調合、乾燥、粉砕、分離、抽出、時間促進)
 探索(探求、探究)
 水魔法(ウォーター、水球、ウォーターカッター)
 生活魔法(ライト、洗浄クリーン、修理リペア、ファイア、料理、血抜き、発酵)
 隠形(透明化、気配掩蔽、気配察知、危機察知、索敵)
 飛行(空中浮遊、空中停止)
 加温(沸騰)
 治癒(体力回復、魔力回復、解毒、麻痺解除、状態異常回復、石化解除)
 風魔法(ウインド、エアカッター、エアスラッシュ、ウインドアロー、トルネード、サファケイト)
 冷凍(凍結乾燥粉砕フリーズドライ)
 時間魔法(時間短縮、時間停止、成長促進、熟成)
 体力値倍増・継続(12日間継続)
 撹拌
 圧縮
 結界
 異空間収納(インベントリ、時間経過無し、収納無限、インデックス)
 凝血
 遠見
 夜目
 解析スキャン
 魔法陣
 マップ
 裁縫
 編み物
 刺繍
 ボビンレース
 検索
 隠蔽(偽造)
 従魔術ティム
 体力値供与
 細工


 いつものように旅支度をして、アンナリーナはツリーハウスをインベントリに収納した。
 彼女の手のひらには今までいなかった旅の道連れ、セトがいる。
 トカゲらしくなく、表情豊かなセトが目の前で起きた事にびっくりして目を見開いていた。

「さあ、出かけようか。
 セトはこの中に入っていてね。
 ……その前に【防御】これで、万が一私がこけちゃっても、潰れたりしないよ」

 そう言って、薬師のローブの内側に新しくつけた胸ポケットの中にセトを入れた。
 ちゃんとマチが取ってあって、セトはゆったりとしていられる。

「さあて、行くよ」

 いつもより少しだけ速度を上げて、アンナリーナは森の中を進んでいく。
 その心は今までよりもはるかに軽やかだった。




「やっと、着いた……」


 ここまで来るのにあれから6日、6日かかった。

 まだ、はるか彼方だがアンナリーナの目には紛れもなく人の造った建築物……人々の生活を守る防壁が見える。
 そして門の前には数人の武装した門番が立っているようだ。

 この場にたどり着くまで、日数よりもずっと長く感じた。
 アンナリーナの身体は脆く、飛ばせばバテる。
 採取をしながら、拓けた場所を見つけるとツリーハウスを出して夜営し、料理や調薬をする。
 今までと同じ事をし、同じものを見ているのに何かが違う。
 それは一匹の、小さなトカゲの存在だったのだがアンナリーナにとってどれほど心強かった事だろう。
 少々の意思疎通の難はあるが、セトの存在は彼女にとってとても大きなものになっていた。


 門番をしていた、村に派遣されている辺境伯の兵士は、その違和感にすぐに気づいた。
 背後の深い森に挟まれた、この村から先は滅多に人が通らない道を誰かが近づいてくる。
 その人物はこの辺りでは滅多に見ないクリーム色のローブで全身を包み、たった一人で徒歩でやって来た。
 そして近づくに従ってその人物がかなり小さく、子供にしか見えない事に気づいたのだ。

「子供? まさかな」



「こんにちは」

 お互いの顔を見極められるほど近づいてきてから、その人物が挨拶をしてきた。
 それは高くて柔らかな声であり女子供のものだ。

「こんにちは。
 こちらはメンデルエタ国のモロッタイヤ村でよろしいですか?」

「ああ、モロッタイヤ村にようこそ。
 お嬢さん、1人かい? 同行者は?」

 あたりを見回しても、そんな者は見当たらないが、彼は一応聞いてみた。
 そして、やはり返ってきた返事は思った通りのものだった。

「はい、1人です。何か不都合がありますか?」

 とても、見かけの年齢とは思えない物腰や言葉遣い。
 いささか不審に思いながら、彼は言った。

「いや、だが少し話を聞かせてもらえるかな。
 俺の名はジャージィ。
 辺境伯の軍から派遣されている門番だ」

「ジャージィさん。
 お勤めご苦労様です。
 わかりました。なんでも聞いて下さい」

 この言葉遣い、この落ち着きよう。
 ますます、この年頃とはかけ離れた様子に、内心の驚きを隠して門の横の部屋に誘った。
 そして道を譲って、自分の前を通り過ぎていく少女を素早く観察する。

 身長は、自分の胸にようやく届くかどうか。
 とても成人しているようには思えない。
 ローブのフードだけ取り去って現れた顔は、美少女とは言えないが整っていて、何よりその目には叡智の光が宿っている。
 不思議な事にその顔はあまり印象に残らず、ジャージィはそのまま椅子に座るように勧めた。

「悪いけど身元を確認できるものを見せてもらいたいのだが」

 目の前の少女が困った顔をする。

「私、リーナといいます。
 実はつい最近まで、森のなかで育ての親と2人きりで住んでいて……その方が亡くなったので、思い切って森から出て来たんです」

 ジャージィは、今は少女の足許にある、下ろされた背負い袋に目をやった。
 通常とは形の異なるそれは彼の好奇心を刺激する。

「身分証がないのなら、悪いがちょっと鑑定させてもらう事になるが、いいか?何、簡単な事柄だけだから。
 それと、良ければその背負い袋の中も見せてもらいたい」

 柔らかな言い方だがほぼ強制な事柄に、アンナリーナは微笑んだ。

「わかりました。どうすればよろしいですか?」

 ファンタジー小説の定番、鑑定の水晶が運ばれてくる。
 それを持って来た若い兵士も、興味津々で成り行きを窺っている。

「ここに手を。うん、そのままで」

 光ったりはしなかった。
 その代わり水晶の中にアンナリーナの “ 偽装 ”した情報が現れる。


 リーナ 14才
 職業 薬師

 犯罪歴無し


「おお、お嬢ちゃん、じゃなかった、薬師殿。ご無礼しました。
 改めて、モロッタイヤ村にようこそ」

 急に態度が改まった男に訝しげな目を向けながらも、アンナリーナは『お世話になります』と頭を下げた。

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