魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第三章

64『王都到着』

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 馬車で一ヶ月、徒歩ならその数倍かかる王都まで【飛行】を使って普通なら5日ほどで着くはずのところ、アンナリーナは途中の深森や山岳地帯でゆっくりと採取や調薬をしながら進んできた。
 そしてようやく、20日ほどかけてハルメトリア国の王都バルシュミーデに到着した。


「ふわ~
 さすが王都だね、壁も門も規模が違うよ!」

 ようやく肉眼で捉えられた、その全容はまさにラノベで読み想像していた通り、壁と言うより万里の長城のように上部に道が通っていて、兵士が行き来するのが見てとれる。
 そして門の外には王都に入ることを希望する人々や馬車が並んでいた。

「じゃあ、私たちも行きましょうか」

【飛行】して山から降り、森の中を抜けて、怪しまれない程度まで近づくと街道に出る。
 そして並ぶ人々の最後尾につくと、一刻ほどで順番が回ってきた。

「こんにちは」

 まずはいつものように挨拶とスマイル。
 そして身分証を兼ねるギルドカードを差し出した。

「はい、拝見します」

 カードを手に取った兵士の顔色が変わる。
 すぐに横にいた兵士に合図すると門の中にある詰所からリーダーと思える人物が出て来た。
 ……いつものパターンだ。

「申し訳ない。こんなところでは何なので詰所にいらしていただけるだろうか」

「別にここでもいいですよ」

 周りからジロジロ見られて居心地悪い。

「薬師殿、貴方の職種はこの王都でも貴重なのです。
 だからあまり、周りに知られたくないのですよ」

 アンナリーナの後ろに並んでいるものたちに聞こえないよう、小声で耳許でそっと説明したのは、この場のリーダー、兵士長だ。

 アンナリーナは首をすくめて、しようがなく言葉に従った。


「それで薬師殿、この王都には一体どういったご用件で?」

 彼は未だに、この目の前の少女が薬師だとは信じられない。
 見た目、10代にやっと乗ったくらいにしか見えない少女だ。
 だがギルドカードの職種欄に薬師、とあるので少なくとも凖成人は迎えているのだろう。

「今回は魔法学院の受験に来たのです」

「ああ、なるほど」

 彼もこの時節、国中から受験者が集まることを知っている。
 それでもアンナリーナは異質に見えた。

「それから、ギルドカードに登録されている従魔だが」

 アンナリーナは襟元をくつろげて、セトを取り出した。
 今日は小さなトカゲの姿をしている。

「ブラックリザード、まだ幼体ですか?もう1匹はどこに?」

「呼び出してないのです。
 今回は、この子だけ連れてきました」

「結構です。ご足労ですが、ギルドで申請をお願い出来ますか?」

「わかりました。
 この後、ギルドに向かいます」

「では、今後ともよろしく」



 王都の冒険者ギルドはハンネケイナよりも更に大きく、たむろしている冒険者の数も多かった。
 ドアを開ける前に【危機察知】【悪意察知】をオンにする。
 そして、そっと中に入っていった。


「あの、すみません」

 ハンネケイナのギルドマスターにもらってきた紹介状を差し出す。
 その裏面の封蝋を見て、受付嬢は慌てて席を立っていった。

「放置されてしまった……
 すごく、気まずいのだけど」

 カウンターの向こうのギルド員はともかく、早くも冒険者たちの目を引いているようだ。
 併設されている食堂で呑んでいたものたちの中には立ち上がったものもいる。

『嫌だな……トラブルは御免だよ』

「お待たせしました。どうぞこちらに」

 タイミングよく戻ってきた受付嬢に案内されて階段を上がる。
 そして、その背中にたくさんの視線を感じながら、アンナリーナは吐息を吐息を吐いた。



 3階の一番奥の部屋。
 ギルドの造りはどこも同じのようだ。
 だが格段に上質な、両開きの扉が受付嬢によって開けられ、中に入るように促される。

 内装はシンプル。
 だが、一目で高級品だとわかる家具が設えられ、壁に掛けられた絵画や、キャビネットに置かれた置物など、匠の技を感じさせられる。
 そして壁の一面を覆う本棚と、その蔵書。それはどうやら世界中の魔獣の図鑑のようだ。
 壁に飾られたスピアは装飾が控えめの、実際の使用に耐えられるものらしい。

「はじめまして、小さな薬師殿。
 私はこの王都のギルドマスター、デルスラーという」

 立ち上がり、執務机をぐるっと回ってアンナリーナの元にやってきた、もはや老年と言い表した方が良いような見た目の紳士が握手を求めてくる。
 アンナリーナは咄嗟に、薄い結界で全身を覆い、何も読み取られないようにして手を握った。
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