魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第四章

188『あいかわらず自重なしのアンナリーナ』

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 今回は天気も良く、季節も春から夏にかけてなので寒さもなかったため、外での野営となった。
 アンナリーナたちとヘンリクスたち、そして御者の9人は馬車のそばに居どころを定め、各自座っていった。
 ヘンリクスのところの魔法職ノアハが手慣れた様子で薪を組み、火をつけて焚き火をする。
 御者はまず馬たちの世話に向かったので、テオドールが後を追った。


「あの、ヘンリクスさん。
 これは先ほどの情報料です。よろしければ、どうぞ」

 アンナリーナは、インベントリから鍋を取り出し、ヘンリクスに差し出した。

「へ? 鍋?」

 アンナリーナたちの荷物の少なさから、アイテムボックス持ちだとは思っていたが、まさか鍋が出てくるとは思わなかったヘンリクスは、戸惑いながらも鍋を受け取る。
 それはできたての熱々でしまわれていたのだろう。
 アンナリーナが蓋を取ると、一気に美味しそうな匂いが広がった。

「具沢山クラムチャウダーです。
 さあ、冷めないうちに召し上がって下さい」

 確かに、レベルの高いアイテムボックスには状態維持を保つものがある。
 だがまさかこのように、料理を鍋ごと保存するなど考えたこともなかったヘンリクスは感心するやら呆れるやら。
 だが魔法職のノアハはその時点で、隠蔽されたアンナリーナの魔力量に気づいて顔色を変える。

「リーナ?」

「熊さん、お疲れ」

 率先して御者の手伝いに行っていたテオドールが、その御者とともに戻って来ていた。

「今、ヘンリクスさんにチャウダーを渡してたところ。
 私たちの分も今出すね。
 御者さんも一緒にどうぞ」

 引き続きアイテムボックス……ではなくインベントリから、スープ皿、スプーンとフォーク、チャウダーの入った熱々の鍋、ライ麦パンを取り出す。
 それから他に明太子ソースを和えたショートパスタ、ホロホロ鳥の焼き鳥風照り焼き、スィートチリソースのかかった生春巻が並んだ。

「たくさんあるので皆さんもどうぞ」

 腹を空かせた男たちの視線は、食べ物に釘付けだ。


 夕食の提供は純然たる情報料だ。
 そしてその意味を理解しているヘンリクスは食後の紅茶(?!)を飲みながら、アンナリーナの知りたいことをひとつひとつ話していった。


 今、ヘンリクスたちは、先ほどから目の前でアンナリーナが行なっていることから目が離せないでいた。
 まず、アイテムボックスからテントを取り出し、それは置くだけで設置された。そして中に入っていったアンナリーナが連れて来たのは、ドラゴニュートとグレーオーガだった。

「この子たちが私の従魔の、セトとイジです。
 ちゃんと冒険者登録もしてます」

 見るからに化物な2人。
 現に御者は、その魔力量からくる威圧に震えている。

「セト、イジ、今夜の見張りをお願いしたいのだけど」

「了承した。主人、任せてくれ」

 そう言うセトと共にイジも頷いている。
 その夜彼らは2人だけで見張りを行う事になる。
 そして完徹でも、まったく堪えないその地力に、改めて冒険者たちは感嘆するのだった。


 昼過ぎにようやくたどり着いたダンジョンは、まだ正式な名称もなく、便宜上【騎士のダンジョン】と呼ばれていた。これは第一発見者が魔獣討伐遠征中の騎士団であった為で、それでも “ 湧き ”が収まるまで10日を有し、同時にダンジョンとしての整備を行ったそうだ。

「本当に、まだ何にもないのね」

 土魔法の使い手が作っただろう土塁が、道の終わりに現れた。
 この道も轍だけが続いていたもので、今朝、野営をした空き地を出てからはずっとこんなものだ。
 その土塁の解放部に簡易の門が作られていて、アンナリーナたちの乗った馬車は今、そこに止まっていた。

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