魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

文字の大きさ
507 / 577
第四章

267『ダンジョンへGO!』

しおりを挟む
 呑気にコーヒーを飲むアンナリーナに、最初に気づいたのは【金色の戦盾】最年少ダウタイだった。

「なあ、あの子……昨日すれ違った子じゃね?」

「そう言えば、そうだな」

 まだ、魔法職特有のローブを身につけていないアンナリーナは鎖帷子編みのチュニックとカーボン繊維が織り込まれたレギンスにエンシェントドラゴンのブーツ。ミスリルのベルトの背の方には闘鉈が差し込まれている。
 そして本人といえば、いささか地味にしか感じられない容姿の……良くも悪くも少女、としか表現出来ない。
 だがその後ろに控える4人は、とても平凡とは言い難い面子だった。

「っ! 竜人!!」

【金色の戦盾】唯一の魔法使いダンダリオが身体中の毛を逆立て、その恐怖を表している。
 今朝のセトは、足手まといの冒険者に容赦なく威圧を行なっていたのだ。
 そのセトが一歩足を踏み出し、アンナリーナからカップを受け取ると、手にしていた白銀色のローブをアンナリーナに着せかけた。
 そしてこの行為で、ふたりの上下関係が確定された。
 この、恐るべき竜人が仕える方なのだと。
 ダンダリオが震撼しているところで【金色の戦盾】以外のパーティー【覇者】【強者の矜持】【鋼の意志】のリーダーが近づいてきた。
 その後ろに続くメンバーも魔法職は皆、顔色を無くしている。

「なあ、あいつらはどういった連中なんだ?
 ネイサンの話じゃあ、ちょっと聞きすごす事が出来ないような事を言ったらしいが」

「ふざけた事を抜かしやがって。
 何様だってんだ」

「まあ……そう言われてもしょうがないかな。
 俺たちは昨日、あの嬢ちゃんを見かけたんだが、あの子は【飛行】してすっ飛んで行ったよ。
 あの様子じゃ俺らは完全に置いて行かれるわ」

「【飛行】持ちか」

「あの子も甘く見ない方がいい」

【覇者】の魔法職が真剣な表情で口を挟んだ。
 彼は先程から冷や汗が止まらない。

「とにかく様子を見よう」

 そこでネイサンから声がかかった。

「皆、集まってくれ。
 この指名依頼を受けてくれた皆には、昨日話した通り、行けるところまでダンジョンに潜ってもらう」

 地元の冒険者でも最近は最高70階層くらいまでしか潜っていない。
 この中では【強者の矜持】のリーダーが3年前に76階層が最高だ。

「昨日は78階層から魔獣の数が格段に増えました。
 うち以外の皆さんにはそれをわきまえて頂きたいです」

 アンナリーナの言葉に何人かが頷く。
 そしてこれからダンジョンでの魔獣氾濫を抑えるための戦いが始まる。


 緊張とともにダンジョンにやってきた一行の中、初めてここを訪れるテオドールたちは都市型ダンジョンの入り口である神殿のような造りの建物に驚嘆していた。
 石を切り出した円柱が続き、アンナリーナの前世のぺ○ラ遺跡に似た感もある。

「ではではお先に失礼して、行かせてもらいますね」

 無詠唱でふわりと浮き上がったアンナリーナに続き、ネロがまず先導し、セトとイジがテオドールの腕を掴み飛び上がった。

「あ!? なんだ、あいつら!」

 見る見るその姿が遠ざかり、小さくなっていく。

「元々待つ気はないと言ってましたし、状況を考えれば出来るだけ早く80階層に到着した方が良い訳で」

【金色の戦盾】のダンダリオはもう達観している。

「ある意味その手前の稼ぎは俺たちのもんだ!
 気張っていこうぜ!」

 こちらはこちらで士気が上がったようだ。
しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です

結城芙由奈@コミカライズ連載中
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】 私には婚約中の王子がいた。 ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。 そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。 次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。 目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。 名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。 ※他サイトでも投稿中

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。

克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

婚約者を姉に奪われ、婚約破棄されたエリーゼは、王子殿下に国外追放されて捨てられた先は、なんと魔獣がいる森。そこから大逆転するしかない?怒りの

山田 バルス
ファンタジー
王宮の広間は、冷え切った空気に満ちていた。  玉座の前にひとり、少女が|跪い《ひざまず》ていた。  エリーゼ=アルセリア。  目の前に立つのは、王国第一王子、シャルル=レインハルト。 「─エリーゼ=アルセリア。貴様との婚約は、ここに破棄する」 「……なぜ、ですか……?」  声が震える。  彼女の問いに、王子は冷然と答えた。 「貴様が、カリーナ嬢をいじめたからだ」 「そ、そんな……! 私が、姉様を、いじめた……?」 「カリーナ嬢からすべて聞いている。お前は陰湿な手段で彼女を苦しめ、王家の威信をも|貶めた《おとし》さらに、王家に対する謀反を企てているとか」  広間にざわめきが広がる。  ──すべて、仕組まれていたのだ。 「私は、姉様にも王家にも……そんなこと……していません……!」  必死に訴えるエリーゼの声は、虚しく広間に消えた。 「黙れ!」  シャルルの一喝が、広間に響き渡る。 「貴様のような下劣な女を、王家に迎え入れるわけにはいかぬ」  広間は、再び深い静寂に沈んだ。 「よって、貴様との婚約は破棄。さらに──」  王子は、無慈悲に言葉を重ねた。 「国外追放を命じる」  その宣告に、エリーゼの膝が崩れた。 「そ、そんな……!」  桃色の髪が広間に広がる。  必死にすがろうとするも、誰も助けようとはしなかった。 「王の不在時に|謀反《むほん》を企てる不届き者など不要。王国のためにもな」  シャルルの隣で、カリーナがくすりと笑った。  まるで、エリーゼの絶望を甘美な蜜のように味わうかのように。  なぜ。  なぜ、こんなことに──。  エリーゼは、震える指で自らの胸を掴む。  彼女はただ、幼い頃から姉に憧れ、姉に尽くし、姉を支えようとしていただけだったのに。  それが裏切りで返され、今、すべてを失おうとしている。 兵士たちが進み出る。  無骨な手で、エリーゼの両手を後ろ手に縛り上げた。 「離して、ください……っ」  必死に抵抗するも、力は弱い。。  誰も助けない。エリーゼは、見た。  カリーナが、微笑みながらシャルルに腕を絡め、勝者の顔でこちらを見下ろしているのを。  ──すべては、最初から、こうなるよう仕組まれていたのだ。  重い扉が開かれる。

留学してたら、愚昧がやらかした件。

庭にハニワ
ファンタジー
バカだアホだ、と思っちゃいたが、本当に愚かしい妹。老害と化した祖父母に甘やかし放題されて、聖女気取りで日々暮らしてるらしい。どうしてくれよう……。 R−15は基本です。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...