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第四章
272『欲求不満解消のあとで』
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89階層にひしめき合った魔獣は、階層の隅々まで行きわたり、さすがにアンナリーナたちもこの超巨大モンスターハウスに驚愕と辟易を繰り返していた。
「はぁ~ チョーお疲れ!
今日はここで野営しよう」
次の90階層に向かう階段の踊り場にでん、と取り出した移動住居型大型馬車に、いの一番に乗り込んで行ったのはアラーニェである。
アンナリーナの近侍の護衛はアマルに変わっている。
「おう、今日はいい感じに暴れた。
しばらく使ってなかった筋肉が喜びに咽んでるぜ」
のっしのっしとこちらに向かってくるテオドールはその肩に、殺人猪の亜種を担いでいる。
「こいつは滅多にお目にかかれない、希少な猪だ。
数日熟成させて食うとめちゃくちゃ美味い。
アンソニーに渡して下拵えを頼んでくれ」
朝からずっと魔獣相手に暴れていたのに、さほど疲れているようには見えない。
猪を雑用係のアンデッドに渡すと、すでに並べられている椅子に、どっかりと腰を下ろした。
「しかし、奥に進むほど凶悪な魔獣になっていくとは……
まったく、どんな性悪ダンジョンだよ。
リーナ、良くひとりでこんなモンスターハウスを掌握したな。
「88階層はここほど広くないし、それにこれほど詰まってなかった」
「それは…… あまり良い傾向ではないな。
この下もモンスターハウスが続くんだろうか」
アンナリーナは考える。
「私は、ダンジョンの特性とかあまり詳しくないけども、その可能性もあるし、また数階は落ち着くかもしれない」
氾濫間際のダンジョンは、下からモンスターハウスが押し出されて魔獣が上がってくる。
それがどんどんとせり上がっていき、破綻したのが “ スタンピート ”だ。
「どちらにしても……
最終到達階層を決めて、そこまで行ったら戻ろうか」
これからの指針はあっさりと決まった。
「リーナ様、今日はもうお休み下さい」
相変わらず過保護なアラーニェに押し切られて、アンナリーナは寝室に向かった。
そこにテオドールがやって来て風呂の仕度をするように言うと、さっさとアラーニェを追い払ってしまった。
「今夜は一緒に入ろう」
珍しい事ではあるが、まったく無いわけではない。
大きめの湯槽にふたりが一緒に浸かると、一気に湯が溢れるがそんな事は気にしない。
今日は落ち着いた香りの炭酸ガス系入浴剤を選び、主にテオドールの筋肉疲労のケアを優先した。
「あ~ きもちいい」
少しぬるい目の湯に、テオドールの股座にすっぽりと収まったアンナリーナが両手を前に突き出して伸びをする。
「長湯して大丈夫なのか?
昨日の傷はどうなんだ?」
タコのある、ゴツゴツした指がささやかな胸に触れる。
肋骨を骨折した事も、その骨が刺さって肺が傷ついた事も話していないが、正直言って知れた時が怖い。
「アムリタ飲んだから大丈夫だって言ってるじゃん」
「おまえは自分自身に無頓着すぎる」
アンナリーナが、たまに言われる事だが、元々大雑把すぎるアンナリーナに何を言っても無駄だろう。
「さて、と。
熊さん、背中を洗ってあげるよ」
うふふ、と悪戯っぽく笑ったアンナリーナが【異世界買物】で調達した体洗い用のタオルを手を取った。
「はぁ~ チョーお疲れ!
今日はここで野営しよう」
次の90階層に向かう階段の踊り場にでん、と取り出した移動住居型大型馬車に、いの一番に乗り込んで行ったのはアラーニェである。
アンナリーナの近侍の護衛はアマルに変わっている。
「おう、今日はいい感じに暴れた。
しばらく使ってなかった筋肉が喜びに咽んでるぜ」
のっしのっしとこちらに向かってくるテオドールはその肩に、殺人猪の亜種を担いでいる。
「こいつは滅多にお目にかかれない、希少な猪だ。
数日熟成させて食うとめちゃくちゃ美味い。
アンソニーに渡して下拵えを頼んでくれ」
朝からずっと魔獣相手に暴れていたのに、さほど疲れているようには見えない。
猪を雑用係のアンデッドに渡すと、すでに並べられている椅子に、どっかりと腰を下ろした。
「しかし、奥に進むほど凶悪な魔獣になっていくとは……
まったく、どんな性悪ダンジョンだよ。
リーナ、良くひとりでこんなモンスターハウスを掌握したな。
「88階層はここほど広くないし、それにこれほど詰まってなかった」
「それは…… あまり良い傾向ではないな。
この下もモンスターハウスが続くんだろうか」
アンナリーナは考える。
「私は、ダンジョンの特性とかあまり詳しくないけども、その可能性もあるし、また数階は落ち着くかもしれない」
氾濫間際のダンジョンは、下からモンスターハウスが押し出されて魔獣が上がってくる。
それがどんどんとせり上がっていき、破綻したのが “ スタンピート ”だ。
「どちらにしても……
最終到達階層を決めて、そこまで行ったら戻ろうか」
これからの指針はあっさりと決まった。
「リーナ様、今日はもうお休み下さい」
相変わらず過保護なアラーニェに押し切られて、アンナリーナは寝室に向かった。
そこにテオドールがやって来て風呂の仕度をするように言うと、さっさとアラーニェを追い払ってしまった。
「今夜は一緒に入ろう」
珍しい事ではあるが、まったく無いわけではない。
大きめの湯槽にふたりが一緒に浸かると、一気に湯が溢れるがそんな事は気にしない。
今日は落ち着いた香りの炭酸ガス系入浴剤を選び、主にテオドールの筋肉疲労のケアを優先した。
「あ~ きもちいい」
少しぬるい目の湯に、テオドールの股座にすっぽりと収まったアンナリーナが両手を前に突き出して伸びをする。
「長湯して大丈夫なのか?
昨日の傷はどうなんだ?」
タコのある、ゴツゴツした指がささやかな胸に触れる。
肋骨を骨折した事も、その骨が刺さって肺が傷ついた事も話していないが、正直言って知れた時が怖い。
「アムリタ飲んだから大丈夫だって言ってるじゃん」
「おまえは自分自身に無頓着すぎる」
アンナリーナが、たまに言われる事だが、元々大雑把すぎるアンナリーナに何を言っても無駄だろう。
「さて、と。
熊さん、背中を洗ってあげるよ」
うふふ、と悪戯っぽく笑ったアンナリーナが【異世界買物】で調達した体洗い用のタオルを手を取った。
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