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第四章
275『瑠璃竜との邂逅』
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この100階層には稀にだが、エンシェントドラゴンやサウザンドドラゴンが出現する。
アンナリーナはそのドラゴンと契約し、眷属としたいと思っていたのだ。
前回の狩りの終わりから約2時間。
リポップした魔獣の姿を見てアンナリーナは思わず声を上げた。
「瑠璃竜!」
古代竜の一種、瑠璃竜。
アンナリーナは前回訪れた時に一度だけ邂逅を果たしていたが、惜しくも捕獲することが出来なかった。
その瑠璃竜を手に入れたい、それも素材としてではなく眷属として従えたかった。
「熊さん、いつもと同じようにお願い。
私は今回は、ちょっと説得してみる」
セトを従え【飛行】で飛び上がったアンナリーナは、上空でゆったりと旋回する瑠璃竜に近づいていった。
ダンジョンの中に発生する魔獣については、実はあまり良くわかっていない。
アンナリーナはコーロナヴァルと言うコボルトを眷属としているが、彼もいつの間にかダンジョンに発生していて生活していたと言う。
今回アンナリーナはドラゴン種を屠り、リポップを待ち再び屠ると言う繰り返しを行なっていたのだが、以前からの疑問『リポップした個体は以前の個体と同じものなのか?』は解消されていない。
「瑠璃竜さん、私の言葉がわかりますか?」
ある程度近づいたアンナリーナが声をかけると、瑠璃竜は興味を示したのか首をめぐらせてきた。
『妾に話しかけてきたのはそなたかい?』
ドラゴンにとっては吹けば飛ぶような小さな存在。
だが、目の前のこの子供が内包する魔力の量は自分をはるかに凌駕すると、畏怖すら感じる。
『そなた、本当にヒトか?』
ばさりとひと羽ばたきして近づいてきた瑠璃竜は、鼻先を近づけてアンナリーナに寄ってきた。
「はい、ヒトですよ。
あの、今回はお願いがあってやって来ました」
『奇遇だな。
妾もそなたに話がある』
瑠璃竜が手を差し出し、アンナリーナがその手に乗った。
それを見たテオドールが慌てて近づこうとするが、相手ははるか上空にいるドラゴンだ。
こんな時に【飛行】のスキルを持たないことを、どれほど悔やんだことだろう。
『妾がそなたに従属すれば、ここから連れ出してもらえるのだろうか?』
アンナリーナは、これから自分がどうやって提案するか思案していたのだが、思いもよらない問いかけに、一瞬唖然とする。
「あの、えっ……と、それはどう言う?」
瑠璃竜の溜息の風圧に飛ばされそうになったアンナリーナが指に縋り付いていると、フッと笑う雰囲気がした。
『妾はもう……飽いたのじゃ。
ずいぶんと長い間、ここに閉じ込められている。
今回、たまたまここまで上がってこられてそなたに会えた。
だが、このままでは外に出るまであと、どの位の年月を必要とするだろうか。
……我は飽いても死ぬこともできん』
「では私と一緒に来ますか?」
『ぜひ、お願いしたい』
アンナリーナはそのドラゴンと契約し、眷属としたいと思っていたのだ。
前回の狩りの終わりから約2時間。
リポップした魔獣の姿を見てアンナリーナは思わず声を上げた。
「瑠璃竜!」
古代竜の一種、瑠璃竜。
アンナリーナは前回訪れた時に一度だけ邂逅を果たしていたが、惜しくも捕獲することが出来なかった。
その瑠璃竜を手に入れたい、それも素材としてではなく眷属として従えたかった。
「熊さん、いつもと同じようにお願い。
私は今回は、ちょっと説得してみる」
セトを従え【飛行】で飛び上がったアンナリーナは、上空でゆったりと旋回する瑠璃竜に近づいていった。
ダンジョンの中に発生する魔獣については、実はあまり良くわかっていない。
アンナリーナはコーロナヴァルと言うコボルトを眷属としているが、彼もいつの間にかダンジョンに発生していて生活していたと言う。
今回アンナリーナはドラゴン種を屠り、リポップを待ち再び屠ると言う繰り返しを行なっていたのだが、以前からの疑問『リポップした個体は以前の個体と同じものなのか?』は解消されていない。
「瑠璃竜さん、私の言葉がわかりますか?」
ある程度近づいたアンナリーナが声をかけると、瑠璃竜は興味を示したのか首をめぐらせてきた。
『妾に話しかけてきたのはそなたかい?』
ドラゴンにとっては吹けば飛ぶような小さな存在。
だが、目の前のこの子供が内包する魔力の量は自分をはるかに凌駕すると、畏怖すら感じる。
『そなた、本当にヒトか?』
ばさりとひと羽ばたきして近づいてきた瑠璃竜は、鼻先を近づけてアンナリーナに寄ってきた。
「はい、ヒトですよ。
あの、今回はお願いがあってやって来ました」
『奇遇だな。
妾もそなたに話がある』
瑠璃竜が手を差し出し、アンナリーナがその手に乗った。
それを見たテオドールが慌てて近づこうとするが、相手ははるか上空にいるドラゴンだ。
こんな時に【飛行】のスキルを持たないことを、どれほど悔やんだことだろう。
『妾がそなたに従属すれば、ここから連れ出してもらえるのだろうか?』
アンナリーナは、これから自分がどうやって提案するか思案していたのだが、思いもよらない問いかけに、一瞬唖然とする。
「あの、えっ……と、それはどう言う?」
瑠璃竜の溜息の風圧に飛ばされそうになったアンナリーナが指に縋り付いていると、フッと笑う雰囲気がした。
『妾はもう……飽いたのじゃ。
ずいぶんと長い間、ここに閉じ込められている。
今回、たまたまここまで上がってこられてそなたに会えた。
だが、このままでは外に出るまであと、どの位の年月を必要とするだろうか。
……我は飽いても死ぬこともできん』
「では私と一緒に来ますか?」
『ぜひ、お願いしたい』
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