魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第四章

288『潰す……』

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アンナリーナが新たに取り出したものは、この世のすべての男が欲するもの。
強力な強壮剤は、それこそ王侯貴族が目の色を変えて手に入れようとするだろう。

「あちらで、貴族のおっさんに売りつけてやろうと思って作っていたのだけど、機会を逃して……忘れてた」

えへへ、と笑うアンナリーナに悪気はない。

「リーナ様良いのですか?
これは……騒ぎになりますよ」

今回のオークションは伝説になる。
とんでもない事になる。
エッケハルトは歓喜とともに胃が痛くなって、思わず胸を押さえた。

「とりあえずこのくらいでいいかしら?
足らなければまだ色々ありますけど」

「いえ、もう十分です。
ありがとうございます」

これ以上何が出てくるか、恐怖すら感じるエッケハルトは、用意された布張りのトレイに各商品を乗せていった。

「しかしリーナ様が薬師とは……
お見それいたしました」

「私は幸運にも職種に恵まれて【薬師】となることが出来ました。
私の薬がこの大陸の方たちに効くかどうか、その懸念が晴れた今、少しずつ卸していこうと思ってます」

大きく頷いたエッケハルトが手を差し出し握手を求めてきた。
そして契約成立の握手をして、アンナリーナは席を立った。



季節が春から夏に変わる頃、エッケハルトから届いたオークションカタログは、顧客たちに衝撃を与えた。
その出品された品のリストの所々にある、特別なものを手に入れるために金をかき集める者が増えていた。

「何か、大変な事になってるみたい。
まあ、経済が回るのは良いことだけどね」

「どれだけの金が動くのか……」

教授棟から学生棟に向かう渡り廊下で、アンナリーナとネロが話しながら歩いていると対面から見覚えのある集団が近づいてきた。

「あまり会いたくないのが来たわね」

場合によっては不敬とも取られない言いようである。

「どうします? 引き返しますか?」

「もう遅いわ。
彼方も気づいているでしょう」

これから回れ右しても不自然極まりない。このままやり過ごすつもりで、アンナリーナとネロは立ち止まり軽く目礼した。

「リーナ殿、久しいな。健勝であったか?」

「はい、殿下もお変わりなく」

「今日こそは付き合ってもらいたいものだが」

「申し訳ございません。
私たちはこれから授業がありますの。
私、この国の歴史に興味がありまして授業を逃したくありませんの」

この国の王子が、この国の歴史を学ぶ者の邪魔はできない。
そのように言われてしまえば、無理に連れて行く事は出来なかった。

「……そうか、熱心で何よりだ」

「はい、十分に学んで、来年度には通常の授業に編入出来るように頑張りますわ」

王子はこの場はここで引くつもりだった。
だが、状況を読めないものはどこにでもいる。

「それでも少しくらいの時間を割くことは出来るだろう。
貴様、一体どういうつもりだ」

取り巻きの貴族の恫喝くらいで、アンナリーナは怯えない。
反対に睨み返したところ、抑えていた魔力が漏れ出して威圧していく。

「なっ、うう……」

アンナリーナに食ってかかってきた取り巻きAの顔色が見る見る悪くなっていく。

「タマ潰すぞ、ゴラァ」

耳許で囁かれた言葉に、取り巻きAは震え上がった。
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