魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第四章

290『それぞれのオークション』

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 記念すべき第1回目の競りは、アンナリーナが出品した宝玉【翡翠】だった。
 その綺麗な翡翠色の見た目だけでなく、内包された魔力に響めきが起きる。

「皆様、もう鑑定はよろしいですか?
 では、No1【翡翠】A。
 金貨10枚から参ります」

「20枚!」

 宝石のコレクターとして有名な、ある富豪の代理人が規定の札を上げて第一声を上げた。

「30枚!」

 対抗は某侯爵夫人の代理人。
 この侯爵夫人もコレクターとして有名だ。

「50枚!」

 一気に50枚まで上がり、侯爵夫人の代理人は持っていた札を膝に置いた。

「50枚!
 もう他にいらっしゃいませんか?
 では50枚で落札、ありがとうございました」

 川で拾った石があっという間に金貨50枚。
 アンナリーナが呆気にとられている中、次の宝玉が運ばれてきた。

「こちらはカット前としては珍しく透明度の高い宝玉です。
 魔力含有量も素晴らしく、護符としての効果も期待できます。
 では皆様、どうぞ鑑定お願いします」

 川の水で洗われた宝玉は、まるでガボションに研磨されたように美しい。
 前世ではシトリンと呼ばれたこの石、今度こそその胸に飾りたい侯爵夫人は、必ず競り落とすよう代理人に檄を飛ばしていた。

「No2【シトルリン】A
 金貨10枚から参ります」


「あんなものが金貨50枚とか……」

 川砂利のようにザクザク採れる宝玉だ。びっくりするような値になり、アンナリーナはいっそ感心する。

「オークションに参加するのは初めてだけど、凄いねぇ」

 人伝てに出品した事はあっても、こんな風にオークション会場で競りを体験するのは初めてだ。
 テオドールはもちろん、経験ない。


「No18、ダイヤモンドのネックレス。
 素晴らしいカッティングをご覧下さい」

【異世界買物】で入手したネックレスのダイヤは58面カットの1.3カラット。
 これが金貨80枚から競りが始まる。

「うん、なんかもう麻痺してきた」


 宝飾品や家具、希少本、骨董品などが次々と競られていき、ここから特別出品枠である。

「本日の目玉商品のひとつ【劣化版アムリタ】です!」

 今までで一層大きな響めきが起きて、ザワザワとそれぞれが話すのを止めない。

「このお品は【劣化版】と付くように、いにしえの死者すら甦らせると言ったものではありませんが、切断や欠損などは完全に治癒する秘薬です!
 鑑定してもらえればはっきりしますが、これは確認されている事項です!
 いかがですか?!」

 この、たった一本の秘薬を欲する者が、この世にどれだけの数いる事だろう。
 これさえあれば四肢の欠損はおろか、死んでさえいなければ完治すると言う、神の薬だ。
 普通ポーションの類は外傷には効くが病気には効能がないと言うのが常識なのだが、この【劣化版アムリタ】は不治の病も治してしまう、そんなものなのだ。
 今回のオークションに、この【劣化版アムリタ】目当てにやってきた客たちは、その身近な所にこの薬さえあれば元の姿に戻れる、もしくは命が助かる、と言った者を抱えているのだ。
 今ここには、戦争で下肢を失い爵位を継ぐ権利を失った息子を持つ某国伯爵と、もう余命幾ばくもない孫娘を何とか助けたい老公爵の一騎打ちと見られている。

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