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第一章
旅立つ日まで 4月3日、4月4日
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二つのアイテムバッグを握り締め、しばらくの間肩を震わせていたアンナリーナが顔をあげる。
強い意思を込めた瞳は目の前の暦を見つめていた。
やおら、ペンを取り【25】のところに二重丸を付け猛烈な勢いで何かを書き始める。
ちなみにこの国の識字率は50%を切る。これに加算減算が出来る者を加えると30%、四則演算となると10%を切るという厳しさだが、老薬師に仕込まれたアンナリーナはその10%の中に位置している。
「最低、この計画通りに進めていって……」
【22】の所に花丸を書く。
「22日に旅立とう……
それまでに出来るだけ準備をしなきゃ」
【薬師のアイテムバッグ】は基本、回復薬など重いものを数多く持ち運ぶ為のものだが、薬の成分が変質しないように時間経過停止が付加してある。
なので薬師たちはこのバッグの中に食品を入れる事も多い。
アンナリーナもある程度の旅食を入れていくつもりだ。
「その前に……」
立ち上がったアンナリーナが一番に手をつけたこと。
それは彼女が、昨夜意図せずに汚した長椅子や床の掃除だった。
アンナリーナがまず始めたのはこの庵にある品の目録作りだ。
【薬師のアイテムバッグ】が二つあるとはいえすべてを持って行ける訳ではない。
亡くなった老薬師のアイテムバッグにはかなりの容量があると思うが、それでも有限だ。
なるべく早く優先順位をつけねばならない。
……なので、今日はキッチンで食材のチェックを行っている。
怪しまれないように、一年前からこつこつと行商人などから買っていたので小麦粉などは相当な量あるようだ。
「こんなの、パン屋でもするつもり?ってくらいあるじゃない……」
そして、途中で気づいた食材保存用のアイテムボックスの中を確かめてみてまた驚嘆の悲鳴をあげることになるのだ。
翌朝、アンナリーナは一枚の紙を前にして座っていた。
手にはペン。そして紙にはこう書いてある。
(ギフト授与当日4/1 魔力値 1
同日夜
翌日〈昨日朝〉4/2
今日〈今〉 4/3
そして今朝も唱えたのだが。
「ギフト【鑑定】」
そしてすぐに【鑑定】のスキルを使って見る。
「ステータスオープン」
すると目の前に半透明のパネルのようなものが現れ、それにくっきりとした字で、こう書いてあった。
アンナリーナ 14才
職業 薬師
体力値 25
魔力値 3/4(ステータス鑑定に1使用)
ギフト(スキル) ギフト(贈り物)
[一日に一度、望むスキルとそれによって起きる事象を供与する]
魔力倍増
調薬
鑑定
「やった……」
感激のあまり涙が溢れてくる。
ギフト授与の時は確かに『魔力1』しかなかった自分が【魔力倍増】を2回唱えることによって『魔力4』にまで増えている。
実はこの世界では、生まれ持った魔力量は生涯増えることはない。
だから授与の儀の時のステータス鑑定で高い値を示した者が優遇されるのだ。
それゆえ、このギフトがどれだけ規格外かがわかるだろう。
「これも前世の記憶が戻らなければ分からなかったよね?
これからはこの記憶を上手に利用していこう」
アンナリーナの頭の中では、次に取得したいスキルを考える事でいっぱいだった。
そして翌朝。
アンナリーナは日課となった【ギフト】を唱える。
「ギフト【魔力倍増】」
「そして、ステータスオープン」
アンナリーナ 14才
職業 薬師
体力値 25
魔力値 6/8(魔力倍増に1、ステータス鑑定に1使用)
ギフト(スキル) ギフト(贈り物)
[一日に一度、望むスキルとそれによって起きる事象を供与する]
魔力倍増
調薬
鑑定
「やった……!」
そして新たな紙に昨日のように書いていく。
(ギフト授与当日4/1 魔力値 1
同日夜 (推定)魔力値 2
翌日 4/2(推定)魔力値 4
4/3 鑑定取得
4/4 魔力値 8
強い意思を込めた瞳は目の前の暦を見つめていた。
やおら、ペンを取り【25】のところに二重丸を付け猛烈な勢いで何かを書き始める。
ちなみにこの国の識字率は50%を切る。これに加算減算が出来る者を加えると30%、四則演算となると10%を切るという厳しさだが、老薬師に仕込まれたアンナリーナはその10%の中に位置している。
「最低、この計画通りに進めていって……」
【22】の所に花丸を書く。
「22日に旅立とう……
それまでに出来るだけ準備をしなきゃ」
【薬師のアイテムバッグ】は基本、回復薬など重いものを数多く持ち運ぶ為のものだが、薬の成分が変質しないように時間経過停止が付加してある。
なので薬師たちはこのバッグの中に食品を入れる事も多い。
アンナリーナもある程度の旅食を入れていくつもりだ。
「その前に……」
立ち上がったアンナリーナが一番に手をつけたこと。
それは彼女が、昨夜意図せずに汚した長椅子や床の掃除だった。
アンナリーナがまず始めたのはこの庵にある品の目録作りだ。
【薬師のアイテムバッグ】が二つあるとはいえすべてを持って行ける訳ではない。
亡くなった老薬師のアイテムバッグにはかなりの容量があると思うが、それでも有限だ。
なるべく早く優先順位をつけねばならない。
……なので、今日はキッチンで食材のチェックを行っている。
怪しまれないように、一年前からこつこつと行商人などから買っていたので小麦粉などは相当な量あるようだ。
「こんなの、パン屋でもするつもり?ってくらいあるじゃない……」
そして、途中で気づいた食材保存用のアイテムボックスの中を確かめてみてまた驚嘆の悲鳴をあげることになるのだ。
翌朝、アンナリーナは一枚の紙を前にして座っていた。
手にはペン。そして紙にはこう書いてある。
(ギフト授与当日4/1 魔力値 1
同日夜
翌日〈昨日朝〉4/2
今日〈今〉 4/3
そして今朝も唱えたのだが。
「ギフト【鑑定】」
そしてすぐに【鑑定】のスキルを使って見る。
「ステータスオープン」
すると目の前に半透明のパネルのようなものが現れ、それにくっきりとした字で、こう書いてあった。
アンナリーナ 14才
職業 薬師
体力値 25
魔力値 3/4(ステータス鑑定に1使用)
ギフト(スキル) ギフト(贈り物)
[一日に一度、望むスキルとそれによって起きる事象を供与する]
魔力倍増
調薬
鑑定
「やった……」
感激のあまり涙が溢れてくる。
ギフト授与の時は確かに『魔力1』しかなかった自分が【魔力倍増】を2回唱えることによって『魔力4』にまで増えている。
実はこの世界では、生まれ持った魔力量は生涯増えることはない。
だから授与の儀の時のステータス鑑定で高い値を示した者が優遇されるのだ。
それゆえ、このギフトがどれだけ規格外かがわかるだろう。
「これも前世の記憶が戻らなければ分からなかったよね?
これからはこの記憶を上手に利用していこう」
アンナリーナの頭の中では、次に取得したいスキルを考える事でいっぱいだった。
そして翌朝。
アンナリーナは日課となった【ギフト】を唱える。
「ギフト【魔力倍増】」
「そして、ステータスオープン」
アンナリーナ 14才
職業 薬師
体力値 25
魔力値 6/8(魔力倍増に1、ステータス鑑定に1使用)
ギフト(スキル) ギフト(贈り物)
[一日に一度、望むスキルとそれによって起きる事象を供与する]
魔力倍増
調薬
鑑定
「やった……!」
そして新たな紙に昨日のように書いていく。
(ギフト授与当日4/1 魔力値 1
同日夜 (推定)魔力値 2
翌日 4/2(推定)魔力値 4
4/3 鑑定取得
4/4 魔力値 8
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