ルーンナイト

atias

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小さな村の少女達

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 魔物達が蔓延り野盗などが横行するこの世界では都や街などには王や諸侯に従う騎士や兵士、衛兵、そしてこの世界で広く信望されているアルティア教会の神殿騎士などがそれらを守っているが小さな村などには手も回らなくなる事も多いため小さな村々の多くは自警団を組織して自らの村を守っていた。

 そんな中、大陸の王国の一つアルテナーハ王国の辺境の小さな村の自警団長を父に持つ若き少女は今日も剣の訓練をしていた。

 「始め!」

 そう中年の男がいうと互いに向きあっていた少女と小年が木剣を構えて相手の様子を伺いあう。隙のない小年に少女は強引に近づいて剣を振るっていくが尽く剣をかわされ、受け流される。
 
 渾身の力を込めた振り下ろした少女の木剣を小年は真正面から受けると鍔迫り合いになる、力で少女が押し込めるわけもなくあっさりと押し返されその勢いで後ろに尻餅をついて倒れた。

 「これまでだな」

 「まだまだッ!!」

 余裕そうにしている小年を見上げて尻餅をついた少女は立ち上がり青年に向かって下から木剣を振り上げる、小年はそれをかわして木剣を弾くと木剣は少女の手から離れて宙を舞って地面に落ちた。

 「それまで!」

 小年は落ちた木剣を拾うと小さな少女に渡した、少女は小年から渡された木剣を手にして礼を言った。

 「まえより腕が上がったなじゃねえか、リアナ」

 「ありがとうカイル、でも負けっぱなしだよ。」

 リアナは村の自警団員の誰にも剣の訓練で勝った事は無かった。女性であり身長も低くくてまだ幼いから当然であったかもしれないが剣の審判をしていたリアナの父、自警団長のアイゼスはで村一番の剣士であり、その息子、リアナの兄クリスは剣の腕を見込まれてこの国、アルテナーハ王国に仕える近衛騎士団の騎士隊長を任されるほどになっていた。
 
 そんな中、魔物に襲われて幼い時に母を失い剣士である父に育てられリアナは年頃の他の少女達と違いひたすら剣の腕を高める事、騎士になる事を目標にしたきたが自分の今の実力に不甲斐なさを覚えていた。

 剣の訓練で負けた相手のカイルはリアナの幼馴染の自警団員で腕を磨きやがては村から離れて、アルテナーハ王国の英雄騎士、王国の最高位の騎士爵であるトゥルーナイトの称号を受けたエルフリードのような騎士になる事を夢見ていた。

 剣の訓練を終えたリアナはカイルとアイゼスと別れを告げてもう二人の幼馴染である狩人のアルフと村長の孫娘アイリーンの元に向かった。 
 
 狩人のアルフは孤児で幼い時は村人達皆に面倒を見てもらっていたが狩りを覚えてからは1人で暮らし、狩った小動物や鹿、猪などを村人達に提供するようになっていた。

 村長の孫娘アイリーンは村の中では教養ある娘で少しの魔法が使えていずれかは正式な魔術師になりたいと思っていた。

 リアナの日課は剣の訓練を終えるとこのラルフとアイリーンと三人で森に行き動物を狩り、樹の実や薬草などを集める事になっていた。

 二人と村外れで合流すると三人は森へと向かって行った。

 森にいくとラルフは小動物を狩り、リアナとアイリーンは樹の実や薬草をあつめていく。

 今日の収穫は大量で三人は満足して帰ろうとしたその時、ラルフとアイリーンが突如姿を現した男達に後ろから捕らえられた。

 ガラの悪そうな男達は二人を人質にしてリアナに三人の住む村からありったけの金と家畜などを自分達の指定した場所まで持ってくるように言うとラルフとアイリーンを連れ去って言った。

 残されたリアナは急いで村へと戻って自警団長の父アイゼスと村長のヨゼフの元に向かった。
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