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第三話〜初依頼とエミリ〜
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第三話~初依頼とエミリ~
‐スレイ原っぱ‐
「ここか、スレイ原っぱか…」
町外れのスレイ原っぱに着いたがただの原っぱにしか見えない。
ココに害獣なんてホントにいるのか?
「春風くん!あれ何かな?」
「?なんだあれ?」
小坂さんの指さした先に白いふわふわしたものが密集していた。
なんだあれは…?わたあめか?
「ちょっと見てくる。小坂さんはここにいて」
「いや!私も行く!」
「え?でも何かあったら大変だ」
「私もちゃんと覚悟して来てるから大丈夫!安心して!」
キラキラした顔でやる気満々ポーズをする小坂さんをココに置いてったら後から文句言われそうだ…
連れていこう…。
白いモコモコの方に向かうとそれの正体がすぐに分かった。
チューチュー
ネズミだ。
「春風くん……!タンポポネズミって恐らく…」
「こいつの事だな。てか……」
「ネズミというよりハリネズミだよね……」
モコモコして見えていたのはタンポポネズミの背中の綿毛だったらしく、俺らの気配に気づいてこちらを振り向いた姿はハリネズミに近かった
「ちょっと見た目が可愛すぎるよお~倒せないよお~」
小坂さんは目をハートにして手をワキワキさせながらタンポポネズミに近づいていく
「ま、まって!?迂闊に近づくのは危ないかもしれない!」
「きゃうううう!」
「きゃっ!」
小坂さん注意するとタンポポネズミは可愛らしかった見た目を一変させ悪魔のような顔つきになり伸びた前歯で小坂さんに襲いかかった
怪我をする直前で彼女は腰の剣を引き攻撃を辛うじて防ぐ
俺も剣を抜き応戦の用意をした。
「小坂さん、怪我はない!?」
「怪我はないけど……ちょっとびっくりしちゃった…あはは…」
「…ここは俺がやるから、小坂さんはちょっと隠れてて!」
「わ、わかった……。」
小坂さんは近くの木の後ろに下がった
俺はタンポポネズミに向き直る。ざっと4匹…
初めての戦闘ということだが……。
さっきの攻撃を見た限り、こいつらは前歯で切りつける物理攻撃タイプのモンスターと見受けられる。
前歯は光に当たるとキラリと光ってて、かなり鋭い歯であることは間違いない。
切られたらひとたまりもないだろう…。
さぁ……どうするか……。
そう考えているとタンポポネズミのうち2匹が飛びかかってきた。
その攻撃を剣で防ぐと残りの2匹が俺の首目がけて襲いかかる。
「春風くん!!!あぶない!!!」
俺は腰を屈ませてスレスレで避けた。
小坂さんの声がなければ噛まれてたかもしれない…
ヒヤリとしながら首を触る。
チューーーーーッ
しまった!
1匹のタンポポネズミが足元に噛み付く
「ぐっ……!」
噛みつきっぱなしのタンポポネズミの脳天目掛け剣を振り下ろす。
足元にいたタンポポネズミは絶命し、俺の血を撒き散らしながら血に倒れる。
次に背後から襲いかかるタンポポネズミを剣で殴打し、剣の勢いを殺さずそのまま残りの2匹も横に切りかかった。
「……ふぅ……倒せた……」
「春風くん大丈夫?!足……ひゃ……!」
駆けつけた小坂さんが俺の足を治療しようと裾を捲りあげると
俺の足はだいぶグロッキーになっていたのを見て小坂さんは顔を青くした。
ちょっとだけ申し訳ない……。
「この怪我じゃ残りのタンポポネズミ討伐は難しいですよ……!ちょっと街に戻って治療しましょう!?ね?」
「いててて……そうだな……」
初依頼、張り切って来たのだがこの怪我では続行は難しい……
一旦戻ろう。
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
街に戻ったものの、俺たちは頭を抱えていた。
「宿屋…銅貨5枚だなんて…どこで治療したらいいんでしょうか……」
「俺ら1文無しだったの忘れてたな……」
「どうしましょう……」
「……しょうがない俺の服を売ろう。」
「え、でも……」
「大丈夫だ。この世界に来る時に着ていた物だ。もう必要ないだろう?」
「確かに……」
「だろ?じゃあ、売りに行こう。」
‐数分後‐
「俺の服……銅貨10枚の価値しかないんか。」
「みたいですね……私の服は銀貨2枚だったんですけど……」
「なんでだああああ」
結果としておれの服の価値は低かった。
しかも店主嫌な顔してたし……
小坂さんの服はデレデレした顔で買取やがって……!
あのジジイたぶんいかがわしいのに使おうとしてやがるな……!
「ちっ……。くそ……。」
「ま、まあまあ!これで宿屋行けますね!」
「そうだな……。」
そして俺らは宿屋に向かった。
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
「借りれましたね!」
「あぁ、ちょっと部屋は狭そうだけど……。」
「そうですかね?私は気にならないですよ!」
「てか大丈夫なのか?一緒の相部屋になってしまったけど……」
「え?私は全然気にならないですよ?」
「……そうか。」
可愛い女の子と相部屋でその相手の子に気にならないって言われると何か…微妙な気持ちだ。
……あ、そういえば。
「小坂さんってえみりって名前なんだな」
「……。そうですよ!」
ん?なんか変な間があったような?
もしかして名前で呼ばれるのとか嫌なのか?
「あ!是非エミリって呼んでください!」
「え?嫌じゃないのか?」
「全然!むしろ呼んで欲しいくらいです!」
「そ、そーか……じゃあ……エミリ」
「……はいっ!」
エミリから呼んでと言われたら断る理由はないと思って呼んでみたけど……
なんかやっぱり変な間があるな……。
「春風くん」
「?どーした?」
「足の怪我のこともありますし、早めに横になった方がいいかもです!」
「え?でもまだ夕方だぞ?」
「怪我は安静が大事なの!ほら!早く横になって!」
「あーはいはい!わかったから!」
半ば強引にエミリからグイグイ布団に押し付けられた。
てか意外とこんな力があったんだね君…。
仕方なく俺はベッドに横になり静かに目を閉じた。
そんな俺の様子をエミリはジッと見つめていた。
そして、おれはこの日の出来事を後悔する。
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
んん……
「ふぁあ……やっぱり全く寝れなかったな。」
まだ日も沈まぬ夕方から寝たせいかすぐに目を覚ましてしまった
足の痛みは先程よりマシになったがまだちょっと痛いな……。
あ。まって、何も考えずに独り言いってたが、エミリを起こしてしまったかも……
横にあるもうひとつのベッドに目を向けると、無人のベッドがそこにあった。
「あれ?エミリ?……トイレか?」
いやまて、
荷物……エミリの荷物がない……?
もしかして拉致られた……?
エミリは超可愛い女の子だ、もしかしたら宿屋に侵入した何者かに拉致されたのかもしれない!
急いで探しに行かなければ!
俺は自分の剣と防具とバッグを取るためにテーブルに手を伸ばした、が、スカッと俺の手が空ぶった。
「……へ?ない……?」
俺の荷物が無い。
剣も銅貨も防具も……龍の卵も。
「どうゆう事だ……!?」
俺は急いで宿屋のオーナーに訪ねに行った。
「なんだよにーちゃん。夜中だから静かにしとくれよ。」
「オーナーさん!あの、このぐらいの背のロングヘアーの可愛い女の子みてないか!?俺の荷物もないんだ!」
「んんんー……?」
オーナーは俺が示したエミリの背丈を表した手をじーとみてから俺の顔を見た
「あー、日が暮れた頃に出ていった女の子か。あの子は大荷物でどっか行ったぞ。」
「……え?」
どうゆう事だ。大荷物?あの子の荷物はバッグ1個と剣だったはずだが……?
「……その子は1人だったか…?」
「あー、1人だったな。すごく笑顔で出ていったぞ。あ。手紙を連れの男性に渡すように頼まれていたんだった。ほれ」
「手紙……?」
ホイ。といいながら差し出された手には可愛いピンクの便箋があった。
封を開け、中にあった1枚の紙を広げると俺に宛てた手紙が書き記されてた。
内容は
春風くんへ
今この手紙を読んでるってことは起きて私が居ないことに気づいたんだね!
私は今から質屋に行ってあなたの防具や剣を売りに行ってお金にしてきまーす
あ、ついでに龍の卵も貰っちゃった!
今これを読んで、なんで!?て思っちゃってるよねー?
頭の悪い春風くんに教えてあ・げ・る♡
あんたの卵、孵化したの
まだ満月じゃないのに孵化するなんて聞いてないわよ
これじゃ私、龍勇者になれないじゃない。
しかもおバカで無能な春風君が?
……あなたには龍勇者は向いてないて思うの!
だから貰ってあげる!感謝してね♡
ちなみにもう王宮には連絡しといてあげる
小坂エミリが孵化させました。て。
じゃあね!貧乏生活楽しんで~!
エミリより
なんだよこれ……。
手紙を持つ手に力が込もってしまい、クシャッとなった紙をオーナーが横から覗き見た。
「この言葉何語だ?全く読めねーな」
「おっさん、これ読めねーのか……。」
「あー、全くな!」
宿屋のオーナーは胸を張って言うがツッコむ気にもなれず、俺は落ち込みながら俺は宿屋を出た。
・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・
外は昼間は晴れだったのに夜になるとポツポツ雨が降り始めていた。
俺はフラフラよろける頼りない足つきで歩いていた。
何度か通りすがりの人にぶつかったが心配する声ではなく「どこ見てあるいてんだ!」や「しっかり前みやがれ!」の怒る声か舌打ちしか言われなかった。
昼間に怪我した足のジクジクした痛みがどんどん強くなっていく。
同じ異世界から来たよしみでこれから一緒に冒険を共にする仲間だと思ってたエミリの突然の裏切りに正直俺は落ち込んでしまっていた。
なんせ、、、、、
「あいつ可愛かったから、、、」
独り言がまた零れてしまった。
「はぁ、、、おれはどうしたらいいんだ。」
ピチャッ
ポケットから何かが落ちた。
エミリからの手紙だ。
拾いあげようと屈むとこれまで我慢していた脚の傷がズキンッと痛み思わず膝から崩れ落ちてしまった。
バシャァンッ
俺の不運はここまで続いてるのか。
運悪く崩れ落ちた先には大きな泥水が溜まっており、
全身に泥水がかかった。
そんな俺が惨めで、悲しくて、悔しくて、
俺は拳を振りあげ地面に叩きつけた。
「ふっ、うっう、、、うぅ、、、」
みっともなく涙が頬を伝う。
「なんでだよエミリ……信じてたのに……」
体を打つ雨水の冷たさがより俺の心を突き刺し、もう俺には立ち上がる気力も残っていなかった。
なんで俺がこんな目に、、、。
ゴソゴソ…
俺の不運はどこまで続くのか…。
‐スレイ原っぱ‐
「ここか、スレイ原っぱか…」
町外れのスレイ原っぱに着いたがただの原っぱにしか見えない。
ココに害獣なんてホントにいるのか?
「春風くん!あれ何かな?」
「?なんだあれ?」
小坂さんの指さした先に白いふわふわしたものが密集していた。
なんだあれは…?わたあめか?
「ちょっと見てくる。小坂さんはここにいて」
「いや!私も行く!」
「え?でも何かあったら大変だ」
「私もちゃんと覚悟して来てるから大丈夫!安心して!」
キラキラした顔でやる気満々ポーズをする小坂さんをココに置いてったら後から文句言われそうだ…
連れていこう…。
白いモコモコの方に向かうとそれの正体がすぐに分かった。
チューチュー
ネズミだ。
「春風くん……!タンポポネズミって恐らく…」
「こいつの事だな。てか……」
「ネズミというよりハリネズミだよね……」
モコモコして見えていたのはタンポポネズミの背中の綿毛だったらしく、俺らの気配に気づいてこちらを振り向いた姿はハリネズミに近かった
「ちょっと見た目が可愛すぎるよお~倒せないよお~」
小坂さんは目をハートにして手をワキワキさせながらタンポポネズミに近づいていく
「ま、まって!?迂闊に近づくのは危ないかもしれない!」
「きゃうううう!」
「きゃっ!」
小坂さん注意するとタンポポネズミは可愛らしかった見た目を一変させ悪魔のような顔つきになり伸びた前歯で小坂さんに襲いかかった
怪我をする直前で彼女は腰の剣を引き攻撃を辛うじて防ぐ
俺も剣を抜き応戦の用意をした。
「小坂さん、怪我はない!?」
「怪我はないけど……ちょっとびっくりしちゃった…あはは…」
「…ここは俺がやるから、小坂さんはちょっと隠れてて!」
「わ、わかった……。」
小坂さんは近くの木の後ろに下がった
俺はタンポポネズミに向き直る。ざっと4匹…
初めての戦闘ということだが……。
さっきの攻撃を見た限り、こいつらは前歯で切りつける物理攻撃タイプのモンスターと見受けられる。
前歯は光に当たるとキラリと光ってて、かなり鋭い歯であることは間違いない。
切られたらひとたまりもないだろう…。
さぁ……どうするか……。
そう考えているとタンポポネズミのうち2匹が飛びかかってきた。
その攻撃を剣で防ぐと残りの2匹が俺の首目がけて襲いかかる。
「春風くん!!!あぶない!!!」
俺は腰を屈ませてスレスレで避けた。
小坂さんの声がなければ噛まれてたかもしれない…
ヒヤリとしながら首を触る。
チューーーーーッ
しまった!
1匹のタンポポネズミが足元に噛み付く
「ぐっ……!」
噛みつきっぱなしのタンポポネズミの脳天目掛け剣を振り下ろす。
足元にいたタンポポネズミは絶命し、俺の血を撒き散らしながら血に倒れる。
次に背後から襲いかかるタンポポネズミを剣で殴打し、剣の勢いを殺さずそのまま残りの2匹も横に切りかかった。
「……ふぅ……倒せた……」
「春風くん大丈夫?!足……ひゃ……!」
駆けつけた小坂さんが俺の足を治療しようと裾を捲りあげると
俺の足はだいぶグロッキーになっていたのを見て小坂さんは顔を青くした。
ちょっとだけ申し訳ない……。
「この怪我じゃ残りのタンポポネズミ討伐は難しいですよ……!ちょっと街に戻って治療しましょう!?ね?」
「いててて……そうだな……」
初依頼、張り切って来たのだがこの怪我では続行は難しい……
一旦戻ろう。
・・・・・・・・・・・・
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街に戻ったものの、俺たちは頭を抱えていた。
「宿屋…銅貨5枚だなんて…どこで治療したらいいんでしょうか……」
「俺ら1文無しだったの忘れてたな……」
「どうしましょう……」
「……しょうがない俺の服を売ろう。」
「え、でも……」
「大丈夫だ。この世界に来る時に着ていた物だ。もう必要ないだろう?」
「確かに……」
「だろ?じゃあ、売りに行こう。」
‐数分後‐
「俺の服……銅貨10枚の価値しかないんか。」
「みたいですね……私の服は銀貨2枚だったんですけど……」
「なんでだああああ」
結果としておれの服の価値は低かった。
しかも店主嫌な顔してたし……
小坂さんの服はデレデレした顔で買取やがって……!
あのジジイたぶんいかがわしいのに使おうとしてやがるな……!
「ちっ……。くそ……。」
「ま、まあまあ!これで宿屋行けますね!」
「そうだな……。」
そして俺らは宿屋に向かった。
・・・・・・・・・・・・
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「借りれましたね!」
「あぁ、ちょっと部屋は狭そうだけど……。」
「そうですかね?私は気にならないですよ!」
「てか大丈夫なのか?一緒の相部屋になってしまったけど……」
「え?私は全然気にならないですよ?」
「……そうか。」
可愛い女の子と相部屋でその相手の子に気にならないって言われると何か…微妙な気持ちだ。
……あ、そういえば。
「小坂さんってえみりって名前なんだな」
「……。そうですよ!」
ん?なんか変な間があったような?
もしかして名前で呼ばれるのとか嫌なのか?
「あ!是非エミリって呼んでください!」
「え?嫌じゃないのか?」
「全然!むしろ呼んで欲しいくらいです!」
「そ、そーか……じゃあ……エミリ」
「……はいっ!」
エミリから呼んでと言われたら断る理由はないと思って呼んでみたけど……
なんかやっぱり変な間があるな……。
「春風くん」
「?どーした?」
「足の怪我のこともありますし、早めに横になった方がいいかもです!」
「え?でもまだ夕方だぞ?」
「怪我は安静が大事なの!ほら!早く横になって!」
「あーはいはい!わかったから!」
半ば強引にエミリからグイグイ布団に押し付けられた。
てか意外とこんな力があったんだね君…。
仕方なく俺はベッドに横になり静かに目を閉じた。
そんな俺の様子をエミリはジッと見つめていた。
そして、おれはこの日の出来事を後悔する。
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
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んん……
「ふぁあ……やっぱり全く寝れなかったな。」
まだ日も沈まぬ夕方から寝たせいかすぐに目を覚ましてしまった
足の痛みは先程よりマシになったがまだちょっと痛いな……。
あ。まって、何も考えずに独り言いってたが、エミリを起こしてしまったかも……
横にあるもうひとつのベッドに目を向けると、無人のベッドがそこにあった。
「あれ?エミリ?……トイレか?」
いやまて、
荷物……エミリの荷物がない……?
もしかして拉致られた……?
エミリは超可愛い女の子だ、もしかしたら宿屋に侵入した何者かに拉致されたのかもしれない!
急いで探しに行かなければ!
俺は自分の剣と防具とバッグを取るためにテーブルに手を伸ばした、が、スカッと俺の手が空ぶった。
「……へ?ない……?」
俺の荷物が無い。
剣も銅貨も防具も……龍の卵も。
「どうゆう事だ……!?」
俺は急いで宿屋のオーナーに訪ねに行った。
「なんだよにーちゃん。夜中だから静かにしとくれよ。」
「オーナーさん!あの、このぐらいの背のロングヘアーの可愛い女の子みてないか!?俺の荷物もないんだ!」
「んんんー……?」
オーナーは俺が示したエミリの背丈を表した手をじーとみてから俺の顔を見た
「あー、日が暮れた頃に出ていった女の子か。あの子は大荷物でどっか行ったぞ。」
「……え?」
どうゆう事だ。大荷物?あの子の荷物はバッグ1個と剣だったはずだが……?
「……その子は1人だったか…?」
「あー、1人だったな。すごく笑顔で出ていったぞ。あ。手紙を連れの男性に渡すように頼まれていたんだった。ほれ」
「手紙……?」
ホイ。といいながら差し出された手には可愛いピンクの便箋があった。
封を開け、中にあった1枚の紙を広げると俺に宛てた手紙が書き記されてた。
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春風くんへ
今この手紙を読んでるってことは起きて私が居ないことに気づいたんだね!
私は今から質屋に行ってあなたの防具や剣を売りに行ってお金にしてきまーす
あ、ついでに龍の卵も貰っちゃった!
今これを読んで、なんで!?て思っちゃってるよねー?
頭の悪い春風くんに教えてあ・げ・る♡
あんたの卵、孵化したの
まだ満月じゃないのに孵化するなんて聞いてないわよ
これじゃ私、龍勇者になれないじゃない。
しかもおバカで無能な春風君が?
……あなたには龍勇者は向いてないて思うの!
だから貰ってあげる!感謝してね♡
ちなみにもう王宮には連絡しといてあげる
小坂エミリが孵化させました。て。
じゃあね!貧乏生活楽しんで~!
エミリより
なんだよこれ……。
手紙を持つ手に力が込もってしまい、クシャッとなった紙をオーナーが横から覗き見た。
「この言葉何語だ?全く読めねーな」
「おっさん、これ読めねーのか……。」
「あー、全くな!」
宿屋のオーナーは胸を張って言うがツッコむ気にもなれず、俺は落ち込みながら俺は宿屋を出た。
・・・・・・・・・
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外は昼間は晴れだったのに夜になるとポツポツ雨が降り始めていた。
俺はフラフラよろける頼りない足つきで歩いていた。
何度か通りすがりの人にぶつかったが心配する声ではなく「どこ見てあるいてんだ!」や「しっかり前みやがれ!」の怒る声か舌打ちしか言われなかった。
昼間に怪我した足のジクジクした痛みがどんどん強くなっていく。
同じ異世界から来たよしみでこれから一緒に冒険を共にする仲間だと思ってたエミリの突然の裏切りに正直俺は落ち込んでしまっていた。
なんせ、、、、、
「あいつ可愛かったから、、、」
独り言がまた零れてしまった。
「はぁ、、、おれはどうしたらいいんだ。」
ピチャッ
ポケットから何かが落ちた。
エミリからの手紙だ。
拾いあげようと屈むとこれまで我慢していた脚の傷がズキンッと痛み思わず膝から崩れ落ちてしまった。
バシャァンッ
俺の不運はここまで続いてるのか。
運悪く崩れ落ちた先には大きな泥水が溜まっており、
全身に泥水がかかった。
そんな俺が惨めで、悲しくて、悔しくて、
俺は拳を振りあげ地面に叩きつけた。
「ふっ、うっう、、、うぅ、、、」
みっともなく涙が頬を伝う。
「なんでだよエミリ……信じてたのに……」
体を打つ雨水の冷たさがより俺の心を突き刺し、もう俺には立ち上がる気力も残っていなかった。
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