5 / 47
第一章
獣と化す夜
しおりを挟む
獲物を前に舌なめずりする獣の如く残忍な色を瞳に宿し、目の前の男がにじり寄る。その男の顔をシンシアは知っていた。
エクレシア中央教会の門扉を守る聖騎士の一人――蛇のように絡みつくあの視線をシンシアは、忘れられなかった。その男が、目の前にいる。全身を駆け巡る悪寒に震えだす。
「お前を見たときから目をつけてたんだ。エリシエル神の彫像を睨みつける女なんて、そうそういない。あの顔が屈辱に歪む。愉快でたまらないね。大人しくしていれば、少しは気持ちよくしてやらぁ」
ずりずりと後ろへと逃げるが、狭い車内では限界がある。あっという間に背中は側面にあたり、それ以上逃げられなくなる。
焦るシンシアを弄ぶかのように、足首をつかまれ引き戻されてしまえば、抵抗むなしく男の腕に囚われるしかない。
「いや、離しなさい!! あなた達に神エリシエルへの信仰心はないの!? エリシエルは慈愛の神。こんな強姦まがいの行為、許されるはずない」
「強姦まがいの行為? 笑わせる。オメガを性搾取する教会に、そんな倫理観があるわけねぇだろう。なぁ、知っているか? 教会の管理下に置かれたオメガの末路を?」
クツクツと笑いながら、シンシアに馬乗りになった男の狂気が牙をむく。
「オメガはな、教会関係者の慰みものになるんだよ。薄暗い地下牢に入れられ、一生搾取され続ける。もちろん貴族だろうと関係ない」
父の言っていたことは本当だった。
オメガと断定され教会の管理下に置かれたら最後、搾取され続ける人生から抜け出すことは出来ないのだ。
「あんまりよ……あんまりだわ。あなた達は人間なんかじゃない。人の皮をかぶった獣よ!!」
「ははっ! 獣だって? お前こそ、獣に堕ちるんだよ。精を欲しがり咆哮をあげる、獣にな」
ははは、と高らかに笑う男にとって自分は性の対象でしかない。そこに人間の尊厳を尊重する意思はないのだ。
「おしゃべりはこれくらいにしようか。どうせ搾取される日々が始まるんだ。お前も楽しめばいい」
「いや……いやぁぁぁ、やめて!!!!」
ビリっと派手な音をあげ首元を覆うレースが裂け、目の前の男が首筋に喰らいつく。ねっとりと伝う舌に怖気が走る。
「あぁぁぁ、いい。甘い香りがする。たまんねなぁ……噛み切りたくなる」
恍惚とした表情を浮かべ首筋を甘噛みする男の存在に、肌は粟立ち、恐怖で身体が強張っていく。それでも男との距離を取ろうと抵抗するが力の差は歴然、かえって己を窮地に追い込むだけだった。
このまま、犯されてしまうの?
こんな下衆な男に弄ばれ、尊厳を踏みにじられ、ボロボロにされてしまうの?
――そんなの、嫌だ!!
誰でもいい。……誰か、誰か、助けて!!!!
ガタン、と大きな衝撃が走り、地面が揺れたと感じた次の瞬間、身体にのしかかっていた重みが消えた。
男が消えている。
身体を弄んでいた男が消えているのだ。
――何が、起こったのか理解できない。
身体を起こし、開け放たれた扉の先に見た光景に息をのんだ。
今まさに、自分を貪っていた男の首が跳ね飛び、崩れ落ちる瞬間が目に飛び込む。
そして、剣を持ち佇む黒髪の男――彼の後ろ姿を、シンシアはよく知っていた。
うそよ。そんなはずない。
だって……彼は、今、王城にいるのだから。
現実を受け入れたくない。
受け入れてしまえば、心を保つことができない。
シンシアは逃げるように、俯きギュッと目をつぶる。ブルブルと震える手は助かった安堵からなのか、それとも怒りなのか。――それすらも、わからない。
意思とは関係なく流れ出した涙に、感情が制御できない。しかし、無情にもザクザクと足を踏み鳴らし、近づいてくる音が響いてくる。
逃げなければと思えば思うほどに、身体は言うことを聞いてくれない。
「シンシア・ノクスフェル子爵令嬢か?」
彼の問いに答えられない。――いいや、答えたくないのだ。
冷たくも、澄んだ低い声。
何度も、何度も聞いた彼の声を忘れるなんて出来なかった。
ダレン――どうして、あなたなの。
その答えを教えてくれる者は誰もいない。
頭では、回帰前とは違うと理解している。
彼がシンシアのことを覚えているなんてこと、あるはずないとわかっている。
――でも、心が納得しない。
自分を裏切った過去のダレンも、シンシアという存在を覚えてもいない今のダレンも許せない。
でも、こんなにも心は……
ダレン――、あなたを求めている。
出会いたくなんてなかった。あなたを恨むことが出来たら、どんなに楽か。
どうか、この場から立ち去ってほしい。
答えないシンシアに呆れ、部下にでも後始末を頼めばいい。
しかし、願いも虚しく、ダレンがシンシアの前から立ち去ることはなかった。
見たくない。
一度でも、彼の顔を見てしまえば荒れ狂う心を、もう抑えられない。
シンシアは現実から逃れるように床板にうずくまり身を小さく丸める。そんなことでしか彼から逃げる術がない自分が愚かで惨めで仕方がなかった。
唯一の救いはシンシアの身体を隠すように被せられたマントだろうか。
これで、ダレンの姿を見なくても済む。そう思う反面、マントから香った懐かしい匂いに心が切ないほどに痛んだ。
深い森を思わせる針葉樹の香りの中に混ざる柑橘の爽やかな香り。この匂いが大好きだった。
まるでダレンに抱きしめられているかのような錯覚に涙が止まらない。
しかし――それは、偽りでしかない。
マントから逃れようと身動きした瞬間。
針葉樹を思わせる香りの中にわずかに香った獰猛な"匂い"に身体が震えた。
本能を揺さぶるようなその香りにドクンっと身体の奥深くが弾け、狂おしいまでの熱が肌を焦がす。荒い呼吸を繰り返すたびに、鋭く、深く、身体の奥深くまで香りに満たされ理性がとろけていく。
「ひぃ……はぁぁ、あぁ……」
自分の身体の変化が理解できない。
そんなシンシアの心を置き去りに、本能が身体の変化を受け入れろとそそのかす。
掻きむしりたくなるような熱も、痛いくらいに疾駆する鼓動も、変化を受け入れさえすれば楽になるのだろうか。
呼吸をするたびに漏れ聞こえる声は、自分のものとは思えないほどに甘く切ない色をまとう。マントをギュッと握った手は汗ばみ震え、身体の変化に耐えることで精一杯だった。
馬車内に床板を踏む靴音が響く。
初めての身体の変化に戸惑うシンシアには、扉が閉められる音さえも聞こえてはいなかった。
「シンシア……辛いのか?」
グイッと身体を持ち上げられ、マントが落ちる。
同時に香った濃密な香りに本能が歓喜の叫びをあげた。
涙でにじむ視界でも至近距離で見下ろされてしまえば、嫌でもダレンと視線が絡む。
獰猛な獣の色を宿した瞳の奥に確かな欲望を読み取り、シンシアの喉がゴクリと鳴った。
ゆっくりと重なった唇の熱に本能が満たされていく。しかし、満たされたと感じた次の瞬間にはさらなる欲を求め身体が疼き出す。
際限なく膨らみ続ける欲望のトリガーは何なのか。その答えをシンシアは本能的に理解していた。
ダレンから発せられるむせ返るような獣の"匂い"が、シンシアの理性を奪う。
「逃げようとしても無駄だ。一度、発情したオメガは、ここを満たしてもらわねば、その熱は治らない」
「ひっ!? やぁぁぁ!!」
真っ白なドレスの上から下腹部を弄られ、シンシアは喉をのけぞらせ叫声を放つ。その甘やかな叫びにダレンの身体もビクッと揺れ呼吸が荒くなった。しかし、初心なシンシアが彼の反応の意味に気づくことはない。
「シンシア、君の熱を抑えることが出来るのは俺だけだ。身をゆだねろ」
耳元でささやかれる言葉が甘い毒となりシンシアの身体を蝕んでいく。しかし、わずかに残った理性がダレンの言葉を受け入れるなと叫ぶ。
ダレンの言葉を受け入れたら最後、私は私ではなくなってしまう。
過去の裏切られた自分だけが、とろけそうになる理性を繋ぎ止める最後の砦だった。
「シンシア……今、楽にしてやる。君を苦しませるものは、全部――俺が、奪う」
その言葉は、祈りのように甘く、毒のように深く心の砦を壊し、身体を蝕んでいった。
エクレシア中央教会の門扉を守る聖騎士の一人――蛇のように絡みつくあの視線をシンシアは、忘れられなかった。その男が、目の前にいる。全身を駆け巡る悪寒に震えだす。
「お前を見たときから目をつけてたんだ。エリシエル神の彫像を睨みつける女なんて、そうそういない。あの顔が屈辱に歪む。愉快でたまらないね。大人しくしていれば、少しは気持ちよくしてやらぁ」
ずりずりと後ろへと逃げるが、狭い車内では限界がある。あっという間に背中は側面にあたり、それ以上逃げられなくなる。
焦るシンシアを弄ぶかのように、足首をつかまれ引き戻されてしまえば、抵抗むなしく男の腕に囚われるしかない。
「いや、離しなさい!! あなた達に神エリシエルへの信仰心はないの!? エリシエルは慈愛の神。こんな強姦まがいの行為、許されるはずない」
「強姦まがいの行為? 笑わせる。オメガを性搾取する教会に、そんな倫理観があるわけねぇだろう。なぁ、知っているか? 教会の管理下に置かれたオメガの末路を?」
クツクツと笑いながら、シンシアに馬乗りになった男の狂気が牙をむく。
「オメガはな、教会関係者の慰みものになるんだよ。薄暗い地下牢に入れられ、一生搾取され続ける。もちろん貴族だろうと関係ない」
父の言っていたことは本当だった。
オメガと断定され教会の管理下に置かれたら最後、搾取され続ける人生から抜け出すことは出来ないのだ。
「あんまりよ……あんまりだわ。あなた達は人間なんかじゃない。人の皮をかぶった獣よ!!」
「ははっ! 獣だって? お前こそ、獣に堕ちるんだよ。精を欲しがり咆哮をあげる、獣にな」
ははは、と高らかに笑う男にとって自分は性の対象でしかない。そこに人間の尊厳を尊重する意思はないのだ。
「おしゃべりはこれくらいにしようか。どうせ搾取される日々が始まるんだ。お前も楽しめばいい」
「いや……いやぁぁぁ、やめて!!!!」
ビリっと派手な音をあげ首元を覆うレースが裂け、目の前の男が首筋に喰らいつく。ねっとりと伝う舌に怖気が走る。
「あぁぁぁ、いい。甘い香りがする。たまんねなぁ……噛み切りたくなる」
恍惚とした表情を浮かべ首筋を甘噛みする男の存在に、肌は粟立ち、恐怖で身体が強張っていく。それでも男との距離を取ろうと抵抗するが力の差は歴然、かえって己を窮地に追い込むだけだった。
このまま、犯されてしまうの?
こんな下衆な男に弄ばれ、尊厳を踏みにじられ、ボロボロにされてしまうの?
――そんなの、嫌だ!!
誰でもいい。……誰か、誰か、助けて!!!!
ガタン、と大きな衝撃が走り、地面が揺れたと感じた次の瞬間、身体にのしかかっていた重みが消えた。
男が消えている。
身体を弄んでいた男が消えているのだ。
――何が、起こったのか理解できない。
身体を起こし、開け放たれた扉の先に見た光景に息をのんだ。
今まさに、自分を貪っていた男の首が跳ね飛び、崩れ落ちる瞬間が目に飛び込む。
そして、剣を持ち佇む黒髪の男――彼の後ろ姿を、シンシアはよく知っていた。
うそよ。そんなはずない。
だって……彼は、今、王城にいるのだから。
現実を受け入れたくない。
受け入れてしまえば、心を保つことができない。
シンシアは逃げるように、俯きギュッと目をつぶる。ブルブルと震える手は助かった安堵からなのか、それとも怒りなのか。――それすらも、わからない。
意思とは関係なく流れ出した涙に、感情が制御できない。しかし、無情にもザクザクと足を踏み鳴らし、近づいてくる音が響いてくる。
逃げなければと思えば思うほどに、身体は言うことを聞いてくれない。
「シンシア・ノクスフェル子爵令嬢か?」
彼の問いに答えられない。――いいや、答えたくないのだ。
冷たくも、澄んだ低い声。
何度も、何度も聞いた彼の声を忘れるなんて出来なかった。
ダレン――どうして、あなたなの。
その答えを教えてくれる者は誰もいない。
頭では、回帰前とは違うと理解している。
彼がシンシアのことを覚えているなんてこと、あるはずないとわかっている。
――でも、心が納得しない。
自分を裏切った過去のダレンも、シンシアという存在を覚えてもいない今のダレンも許せない。
でも、こんなにも心は……
ダレン――、あなたを求めている。
出会いたくなんてなかった。あなたを恨むことが出来たら、どんなに楽か。
どうか、この場から立ち去ってほしい。
答えないシンシアに呆れ、部下にでも後始末を頼めばいい。
しかし、願いも虚しく、ダレンがシンシアの前から立ち去ることはなかった。
見たくない。
一度でも、彼の顔を見てしまえば荒れ狂う心を、もう抑えられない。
シンシアは現実から逃れるように床板にうずくまり身を小さく丸める。そんなことでしか彼から逃げる術がない自分が愚かで惨めで仕方がなかった。
唯一の救いはシンシアの身体を隠すように被せられたマントだろうか。
これで、ダレンの姿を見なくても済む。そう思う反面、マントから香った懐かしい匂いに心が切ないほどに痛んだ。
深い森を思わせる針葉樹の香りの中に混ざる柑橘の爽やかな香り。この匂いが大好きだった。
まるでダレンに抱きしめられているかのような錯覚に涙が止まらない。
しかし――それは、偽りでしかない。
マントから逃れようと身動きした瞬間。
針葉樹を思わせる香りの中にわずかに香った獰猛な"匂い"に身体が震えた。
本能を揺さぶるようなその香りにドクンっと身体の奥深くが弾け、狂おしいまでの熱が肌を焦がす。荒い呼吸を繰り返すたびに、鋭く、深く、身体の奥深くまで香りに満たされ理性がとろけていく。
「ひぃ……はぁぁ、あぁ……」
自分の身体の変化が理解できない。
そんなシンシアの心を置き去りに、本能が身体の変化を受け入れろとそそのかす。
掻きむしりたくなるような熱も、痛いくらいに疾駆する鼓動も、変化を受け入れさえすれば楽になるのだろうか。
呼吸をするたびに漏れ聞こえる声は、自分のものとは思えないほどに甘く切ない色をまとう。マントをギュッと握った手は汗ばみ震え、身体の変化に耐えることで精一杯だった。
馬車内に床板を踏む靴音が響く。
初めての身体の変化に戸惑うシンシアには、扉が閉められる音さえも聞こえてはいなかった。
「シンシア……辛いのか?」
グイッと身体を持ち上げられ、マントが落ちる。
同時に香った濃密な香りに本能が歓喜の叫びをあげた。
涙でにじむ視界でも至近距離で見下ろされてしまえば、嫌でもダレンと視線が絡む。
獰猛な獣の色を宿した瞳の奥に確かな欲望を読み取り、シンシアの喉がゴクリと鳴った。
ゆっくりと重なった唇の熱に本能が満たされていく。しかし、満たされたと感じた次の瞬間にはさらなる欲を求め身体が疼き出す。
際限なく膨らみ続ける欲望のトリガーは何なのか。その答えをシンシアは本能的に理解していた。
ダレンから発せられるむせ返るような獣の"匂い"が、シンシアの理性を奪う。
「逃げようとしても無駄だ。一度、発情したオメガは、ここを満たしてもらわねば、その熱は治らない」
「ひっ!? やぁぁぁ!!」
真っ白なドレスの上から下腹部を弄られ、シンシアは喉をのけぞらせ叫声を放つ。その甘やかな叫びにダレンの身体もビクッと揺れ呼吸が荒くなった。しかし、初心なシンシアが彼の反応の意味に気づくことはない。
「シンシア、君の熱を抑えることが出来るのは俺だけだ。身をゆだねろ」
耳元でささやかれる言葉が甘い毒となりシンシアの身体を蝕んでいく。しかし、わずかに残った理性がダレンの言葉を受け入れるなと叫ぶ。
ダレンの言葉を受け入れたら最後、私は私ではなくなってしまう。
過去の裏切られた自分だけが、とろけそうになる理性を繋ぎ止める最後の砦だった。
「シンシア……今、楽にしてやる。君を苦しませるものは、全部――俺が、奪う」
その言葉は、祈りのように甘く、毒のように深く心の砦を壊し、身体を蝕んでいった。
176
あなたにおすすめの小説
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
仮面王の花嫁
松雪
恋愛
婚約者を腹違いの妹に奪われ、新しい相手も見つからず修道院に行く覚悟を決めたルチア。修道女となるため髪を切った日の夜、王城から「国王がルチアを妻に望んでいる」という書簡を持った使者がやって来た。
しかし、従兄弟であり恋仲だったニールが国王のせいで死に至った過去を持つルチアは、国王からの求婚を喜べずーー。
【完結】愛する人はあの人の代わりに私を抱く
紬あおい
恋愛
年上の優しい婚約者は、叶わなかった過去の恋人の代わりに私を抱く。気付かない振りが我慢の限界を超えた時、私は………そして、愛する婚約者や家族達は………悔いのない人生を送れましたか?
完璧な政略結婚のはずでしたが、宰相閣下の“私の妻”扱いが甘すぎます
星乃和花
恋愛
政略結婚のはずでした。
家同士の利も、立場の釣り合いも、全部きちんと整った、完璧に合理的な結婚。
……なのに、夫となった冷徹宰相は、なぜか人前で私を「最高の妻」と紹介し、暮らしを完璧に整え、他人に近づかれると不機嫌になってしまいます。
“天使”と噂される穏やかな令嬢フィオナもまた、
そんな不器用な優しさに少しずつ心をほどかれて――。
これは、条件で選ばれたはずの夫婦が、
いつの間にかお互いを“ただ一人”として欲しくなるまでの、甘くてやさしい政略結婚物語。
(毎日21:50更新ー全8話)
愛しているこの想いが届かない
ララ愛
恋愛
大好きな婚約者には愛する人がいるらしい
それを知っても諦められず自分がみじめでもどんなに悲しくても側にいたかった
でも笑いかけてもらえない自分が愛されない自分が限界になった時お別れすることを
決めました
大人になったオフェーリア。
ぽんぽこ狸
恋愛
婚約者のジラルドのそばには王女であるベアトリーチェがおり、彼女は慈愛に満ちた表情で下腹部を撫でている。
生まれてくる子供の為にも婚約解消をとオフェーリアは言われるが、納得がいかない。
けれどもそれどころではないだろう、こうなってしまった以上は、婚約解消はやむなしだ。
それ以上に重要なことは、ジラルドの実家であるレピード公爵家とオフェーリアの実家はたくさんの共同事業を行っていて、今それがおじゃんになれば、オフェーリアには補えないほどの損失を生むことになる。
その点についてすぐに確認すると、そういう所がジラルドに見離される原因になったのだとベアトリーチェは怒鳴りだしてオフェーリアに掴みかかってきた。
その尋常では無い様子に泣き寝入りすることになったオフェーリアだったが、父と母が設定したお見合いで彼女の騎士をしていたヴァレントと出会い、とある復讐の方法を思いついたのだった。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる