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3 旅
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手に入れた『器』
1ヶ月もしないうちに、また新しい『器』が必要になる。体は、何度でも錬成出来る。だけど一度腐ってしまった魂は、元通りにならない。魂が、肉体を滅ぼす。
死のエンドレス。だから、魔女にこの呪いを解いてもらうしかない。
「どうしたの? サトル」
「なんでもないよ。ところで新しい体は、どう?」
「えっ………どうって言われても。まぁ少し、若返った感じかなぁ」
「う~ん。完璧には、まだまだ遠い……」
「あのさぁ、自分に厳しすぎにゃい?」
「そう……かな」
突然、ナツに抱きしめられた。頭を固定され、おでこにキスまでされた。
「このバカ真面目」
「うん。ごめん」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
旅を始めて、1週間。僕達が住む小都市『ナガノ』からだいぶ離れた。自分達を知る人間と会う確率は、雷が頭上に落ちるほど低くなった。
このペースなら明日中には、ナツが襲われた街『サイタマ』に着く。
二人で手を繋ぎ、しばらく夜道を歩いた。
高台から夜景を見る。夜景と言っても都会のような派手さはなく、それでもレンガ造りの家や町工場の小さな明かりは、僕の気持ちを穏やかにしてくれた。
きっと、ナツも同じ気持ちだと思う。
「あっ」
「…………」
夜の闇の中でもはっきりと見えた。天にゆらゆら昇る赤い煙。あの煙は、ゾンビの体を焼いた時に出るもの。あっちでも、こっちでも。元は、人間なのに。まるで生ゴミのように処理している。
ナツ以外にも被害者は大勢いるみたいだ。
図鑑でしか見たことのない魔物アンデッドに強い憎しみと同じくらいの興味を覚えた。
1ヶ月もしないうちに、また新しい『器』が必要になる。体は、何度でも錬成出来る。だけど一度腐ってしまった魂は、元通りにならない。魂が、肉体を滅ぼす。
死のエンドレス。だから、魔女にこの呪いを解いてもらうしかない。
「どうしたの? サトル」
「なんでもないよ。ところで新しい体は、どう?」
「えっ………どうって言われても。まぁ少し、若返った感じかなぁ」
「う~ん。完璧には、まだまだ遠い……」
「あのさぁ、自分に厳しすぎにゃい?」
「そう……かな」
突然、ナツに抱きしめられた。頭を固定され、おでこにキスまでされた。
「このバカ真面目」
「うん。ごめん」
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旅を始めて、1週間。僕達が住む小都市『ナガノ』からだいぶ離れた。自分達を知る人間と会う確率は、雷が頭上に落ちるほど低くなった。
このペースなら明日中には、ナツが襲われた街『サイタマ』に着く。
二人で手を繋ぎ、しばらく夜道を歩いた。
高台から夜景を見る。夜景と言っても都会のような派手さはなく、それでもレンガ造りの家や町工場の小さな明かりは、僕の気持ちを穏やかにしてくれた。
きっと、ナツも同じ気持ちだと思う。
「あっ」
「…………」
夜の闇の中でもはっきりと見えた。天にゆらゆら昇る赤い煙。あの煙は、ゾンビの体を焼いた時に出るもの。あっちでも、こっちでも。元は、人間なのに。まるで生ゴミのように処理している。
ナツ以外にも被害者は大勢いるみたいだ。
図鑑でしか見たことのない魔物アンデッドに強い憎しみと同じくらいの興味を覚えた。
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