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再び現代
番条VS天谷
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遂に冷たい雨が降ってきた。
二川は、震える足を殴り、何とか立ち上がった。
「無理しない方が良いと思うよ? もうキミの体はキミの物じゃない。僕のマリオネットなんだから」
「…………………」
「雨ってさぁ、良いよね。濡れた制服。下着の形が少し露になって、こうやって見てると少しムラムラするよ」
狩屋が、二川の長い髪を撫でる。
抵抗しようとするが、体が痺れて動けない。
「無理だよ。キミは、もうーーー」
その時、奇跡が起こった。狩屋の腕を掴んだ二川は、反対方向に思い切りへし折った。更に狩屋の顔に思い切り頭突き。鼻骨をクシャっと折った。
「な、な、な、な、んで!? 体を動かせる? あり得ない!!」
「お前の声については、事前に会長から話を聞いていた。だから、わざわざこんな耳栓までしてるわけだし」
長い髪をかき上げ、左耳に装着した耳栓を男に見せる。
「そんな、バカな………」
「うん。分かってるじゃん。お前は、バカだよ。気をつけて私を観察してたら、その違和感、微妙な目線のズレに気づけたはず。油断したな。お前の声は聞こえなくても、私は読唇術が出来るから会話は可能だったわけ」
尻餅をついた男に歩み寄る二川は、嬉しそうに笑った。
「久しぶりに躊躇なく殺せる。ありがとう、狩屋………クズでいてくれて」
「やめっ………来るな! それ以上、来るなぁあぁあ!!!!」
「とりあえず、そうだなぁ………。お前に苦しめられた女の数だけ、その股間を蹴ることにしよう! 狩屋、お前が言っていたように私もムラムラしてきちゃったよ」
「助け、てぎゅ!」
「まず、一回」
ーーーーーーーーーーーーーーーー。
時同じくして、学校の中庭。
そこに連れて来られた麻袋で目隠しをされた番条。その手前に新副会長の男が立っていた。高身長で恵まれた体格。巨木のような腕には、蜂の刺青が見える。短髪で色黒。死神のように色が白い番条とは、対照的だった。
「番条鈴音。お前は、他の愚か者とは違う。会長に歯向かう、神華七美や二川愛蘭とはな。だから、助けてあげたい気持ちはあるんだが………。これは、会長からの指示でな。不安分子は排除せよとのことだから。連帯責任と言うことで、お前にはここで死んでもらうわ」
中庭に見慣れない一匹の赤い蝶が、横切る。その蝶は、次第に数を増し、中庭全体を覆うように群がった。
『蝶の匣』
指先に蝶を乗せた男。
「俺は、天谷 匙(あまたに さじ)。誰に殺されたか分からないのは、さすがに酷だからな」
「私を……殺すの?」
赤い蝶が、急速にその数を増す。太陽まで紅く染めた。
「害虫は、一匹残らず排除する。恨むなら、元会長を恨め」
「……………死ぬの嫌だな…」
番条の体全体に蝶が群がり、覆い隠した。
二川は、震える足を殴り、何とか立ち上がった。
「無理しない方が良いと思うよ? もうキミの体はキミの物じゃない。僕のマリオネットなんだから」
「…………………」
「雨ってさぁ、良いよね。濡れた制服。下着の形が少し露になって、こうやって見てると少しムラムラするよ」
狩屋が、二川の長い髪を撫でる。
抵抗しようとするが、体が痺れて動けない。
「無理だよ。キミは、もうーーー」
その時、奇跡が起こった。狩屋の腕を掴んだ二川は、反対方向に思い切りへし折った。更に狩屋の顔に思い切り頭突き。鼻骨をクシャっと折った。
「な、な、な、な、んで!? 体を動かせる? あり得ない!!」
「お前の声については、事前に会長から話を聞いていた。だから、わざわざこんな耳栓までしてるわけだし」
長い髪をかき上げ、左耳に装着した耳栓を男に見せる。
「そんな、バカな………」
「うん。分かってるじゃん。お前は、バカだよ。気をつけて私を観察してたら、その違和感、微妙な目線のズレに気づけたはず。油断したな。お前の声は聞こえなくても、私は読唇術が出来るから会話は可能だったわけ」
尻餅をついた男に歩み寄る二川は、嬉しそうに笑った。
「久しぶりに躊躇なく殺せる。ありがとう、狩屋………クズでいてくれて」
「やめっ………来るな! それ以上、来るなぁあぁあ!!!!」
「とりあえず、そうだなぁ………。お前に苦しめられた女の数だけ、その股間を蹴ることにしよう! 狩屋、お前が言っていたように私もムラムラしてきちゃったよ」
「助け、てぎゅ!」
「まず、一回」
ーーーーーーーーーーーーーーーー。
時同じくして、学校の中庭。
そこに連れて来られた麻袋で目隠しをされた番条。その手前に新副会長の男が立っていた。高身長で恵まれた体格。巨木のような腕には、蜂の刺青が見える。短髪で色黒。死神のように色が白い番条とは、対照的だった。
「番条鈴音。お前は、他の愚か者とは違う。会長に歯向かう、神華七美や二川愛蘭とはな。だから、助けてあげたい気持ちはあるんだが………。これは、会長からの指示でな。不安分子は排除せよとのことだから。連帯責任と言うことで、お前にはここで死んでもらうわ」
中庭に見慣れない一匹の赤い蝶が、横切る。その蝶は、次第に数を増し、中庭全体を覆うように群がった。
『蝶の匣』
指先に蝶を乗せた男。
「俺は、天谷 匙(あまたに さじ)。誰に殺されたか分からないのは、さすがに酷だからな」
「私を……殺すの?」
赤い蝶が、急速にその数を増す。太陽まで紅く染めた。
「害虫は、一匹残らず排除する。恨むなら、元会長を恨め」
「……………死ぬの嫌だな…」
番条の体全体に蝶が群がり、覆い隠した。
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