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同窓会の夜~揺れる結婚生活~
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遙香との結婚生活が3年目に突入した悠人。
憧れのマイホームも購入し、遙香の夢だったかわいい子猫のタマキチも飼い始め、夫婦仲も円満。
悠人はそう思って疑っていなかった。
ある金曜の夕方、悠人はオフィスで給茶機のコーヒーを飲みながら同僚の三宅と話していた。
「ウチはもうすっかりご無沙汰だよ。半年もシてないときっかけが無くなるからな。で、悠人のとこはどうなんだよ?」
「え、うち?うちは大丈夫だよ。その…まあ…今はちょっと帰り遅いだけだし。」
俺の煮え切らない答えに三宅がニヤニヤして耳打ちしてきた。
「気をつけろよ? ほら四課の田中、あいつの嫁さんほったらかしてる間に同窓会で男作っちゃって、今別居中らしいぜ!」
「バカ言え、うちは大丈夫だよ!」
そこで会話は終わった。
胸にしこりが残る。三宅あいつめ。
「それにしても俺、今日が遙香の高校の同窓会って三宅に言ったっけ…?」
確かに悠人はここ最近仕事が忙しく、帰りが遅くなっていたせいで遙香との夜の生活は一ヶ月ほどご無沙汰だった。結婚以来そんなに間が空いたのは初めてだった。
遙香も特に文句を言うわけではなかったが、突然不安になってきた。
悠人は帰るまでの仕事が手に付かなかった。
ーーー夜10時を回ったその頃、
遙香はシャワーを浴びていた。少し頬を赤らめながら鏡の中の自分に呟く。
「今日だけでも私、積極的になっていいよね…」
悠人とは一ヶ月ほどそういう時間がない。
仕事が忙しそうだから仕方ないとは思いつつも、やはり寂しい気持ちは隠せない。
心では納得していても、身体が…
シャワーから出るといつもより大胆なピンクの下着を身につけ、鏡で確認する。
「ちょっと恥ずかしいけど、たまにはこれくらい刺激があったほうが…。」
間接照明の優しい光だけが残るベッドに遙香はゆっくり横たわる。
遙香の顔に浮かぶ不安と覚悟…。
遙香がそっと部屋の隅に視線を向けると、見計らったかのように静かに遙香に忍び寄る黒い影…
間接照明に照らされた長い影が遙香に覆い被さり、そしてひとつになったーーー
夜11時過ぎ、ようやく残業を終え、悠人は自宅に帰り着いた。
建てたばかりの2階建てのマイホームを見上げると…
「…まだ電気がついてない?」
静かに鍵を開け、リビングに腰を下ろした。
「遙香、こんな時間まで同窓会なのか?」
不安に駆られながらスマホを取り出して遙香にLINEしてみた。
「今どこ?」
しばらくして返事が来た。
「ベッドの上だよ♡」
ベッド!? しかもなんだこの絵文字は!どこのホテルのベッドだ?
予想外の返信に悠人の不安が最高潮に達する。いったい誰と!?
平静を装ってすぐに返信する。
「ひとり?」
「うん」「あ、うそ」「ふたりかも」
ふたり!?まさか!
やっぱり!俺が一ヶ月も寂しい思いをさせてたから同窓会で!
遙香!うわあああああ!
しばし深呼吸のあと、悠人は震える手で遙香に電話をかけた。
冷静になれ、こういう修羅場では怒鳴っちゃだめだ、まずは冷静に遙香の話を聞こう!
コール音数回のあと、遙香の声が出た。
「ん…もしもし♡」
「は、遙香、今どこ?」
「んー…?だからベッドの上…あっ、ダメだってば…♡」
「え?」
「やだ、もう…そんなに舐めたら…いやん、くすぐったいよ…♡ちょっと…だめってば♡」
「!!?」
「やぁん、もう、やだぁ~~♡だめ♡ほら今は悠人と電話してるんだからぁ♡大人しくしてて♡」
遙香の甘い声が電話越しに響く。
そして遙香の声の背後からかすかに聞こえる低いうなり声を悠人は見逃さなかった。
まるで獣のような本能むきだしの声…。
やめてくれええええ!
俺への当てつけでこんなことを…!?
「遙香、ごめん…俺が悪かった!ごめん!だから…遙香ああああああ!」
悠人はリビングで思わず大声を出してしまった。
すると2階の寝室から声がした。
「あ、悠人!帰ってたんなら言ってよ~!」
???
階段を上がってみると寝室のドアの隙間から遙香が呼んでいた。
寝室のベッドの上には、ピンクの下着をつけた遙香と、その隣でゴロゴロ言いながら遙香に甘える子猫のタマキチ。
「え? …今日、同窓会じゃなかったのか?」
「来週だけど?」
「……えっ?」
悠人は一瞬思考が停止した。じゃあ、今までのLINEとあの電話の声は…。
タマキチが眠そうな表情であくびをしている。
「よかった…てっきり浮気かと…」
「浮気? わたし女子高だし、何言ってるの?
それになんでさっきから泣きそうなの?」
「…………。」
何も言えなくなった。
全部悠人の勘違いだった。
「あの…それよりさ…」
ピンクの下着姿の遙香は上目遣いで少し頬を染め、指でシーツをつまんだ。
「今日は、悠人を待ってたんだ…」
その言葉を聞いて、悠人はようやく自分の愚かさを噛み締めた。
遙香はずっと俺を待っていてくれたのに、何を疑っていたのか。
悠人は遙香の胸に涙でちょっと濡れた顔を埋めた。
「…バカだった。ごめん。」
「うん?そうだね。バカだね」
遙香はくすっと笑いながら、悠人の身体を抱き締めた。
タマキチは空気を読んだのか寝室から静かに出て行った。
夫婦の円満な夜は、守られたのだった。
憧れのマイホームも購入し、遙香の夢だったかわいい子猫のタマキチも飼い始め、夫婦仲も円満。
悠人はそう思って疑っていなかった。
ある金曜の夕方、悠人はオフィスで給茶機のコーヒーを飲みながら同僚の三宅と話していた。
「ウチはもうすっかりご無沙汰だよ。半年もシてないときっかけが無くなるからな。で、悠人のとこはどうなんだよ?」
「え、うち?うちは大丈夫だよ。その…まあ…今はちょっと帰り遅いだけだし。」
俺の煮え切らない答えに三宅がニヤニヤして耳打ちしてきた。
「気をつけろよ? ほら四課の田中、あいつの嫁さんほったらかしてる間に同窓会で男作っちゃって、今別居中らしいぜ!」
「バカ言え、うちは大丈夫だよ!」
そこで会話は終わった。
胸にしこりが残る。三宅あいつめ。
「それにしても俺、今日が遙香の高校の同窓会って三宅に言ったっけ…?」
確かに悠人はここ最近仕事が忙しく、帰りが遅くなっていたせいで遙香との夜の生活は一ヶ月ほどご無沙汰だった。結婚以来そんなに間が空いたのは初めてだった。
遙香も特に文句を言うわけではなかったが、突然不安になってきた。
悠人は帰るまでの仕事が手に付かなかった。
ーーー夜10時を回ったその頃、
遙香はシャワーを浴びていた。少し頬を赤らめながら鏡の中の自分に呟く。
「今日だけでも私、積極的になっていいよね…」
悠人とは一ヶ月ほどそういう時間がない。
仕事が忙しそうだから仕方ないとは思いつつも、やはり寂しい気持ちは隠せない。
心では納得していても、身体が…
シャワーから出るといつもより大胆なピンクの下着を身につけ、鏡で確認する。
「ちょっと恥ずかしいけど、たまにはこれくらい刺激があったほうが…。」
間接照明の優しい光だけが残るベッドに遙香はゆっくり横たわる。
遙香の顔に浮かぶ不安と覚悟…。
遙香がそっと部屋の隅に視線を向けると、見計らったかのように静かに遙香に忍び寄る黒い影…
間接照明に照らされた長い影が遙香に覆い被さり、そしてひとつになったーーー
夜11時過ぎ、ようやく残業を終え、悠人は自宅に帰り着いた。
建てたばかりの2階建てのマイホームを見上げると…
「…まだ電気がついてない?」
静かに鍵を開け、リビングに腰を下ろした。
「遙香、こんな時間まで同窓会なのか?」
不安に駆られながらスマホを取り出して遙香にLINEしてみた。
「今どこ?」
しばらくして返事が来た。
「ベッドの上だよ♡」
ベッド!? しかもなんだこの絵文字は!どこのホテルのベッドだ?
予想外の返信に悠人の不安が最高潮に達する。いったい誰と!?
平静を装ってすぐに返信する。
「ひとり?」
「うん」「あ、うそ」「ふたりかも」
ふたり!?まさか!
やっぱり!俺が一ヶ月も寂しい思いをさせてたから同窓会で!
遙香!うわあああああ!
しばし深呼吸のあと、悠人は震える手で遙香に電話をかけた。
冷静になれ、こういう修羅場では怒鳴っちゃだめだ、まずは冷静に遙香の話を聞こう!
コール音数回のあと、遙香の声が出た。
「ん…もしもし♡」
「は、遙香、今どこ?」
「んー…?だからベッドの上…あっ、ダメだってば…♡」
「え?」
「やだ、もう…そんなに舐めたら…いやん、くすぐったいよ…♡ちょっと…だめってば♡」
「!!?」
「やぁん、もう、やだぁ~~♡だめ♡ほら今は悠人と電話してるんだからぁ♡大人しくしてて♡」
遙香の甘い声が電話越しに響く。
そして遙香の声の背後からかすかに聞こえる低いうなり声を悠人は見逃さなかった。
まるで獣のような本能むきだしの声…。
やめてくれええええ!
俺への当てつけでこんなことを…!?
「遙香、ごめん…俺が悪かった!ごめん!だから…遙香ああああああ!」
悠人はリビングで思わず大声を出してしまった。
すると2階の寝室から声がした。
「あ、悠人!帰ってたんなら言ってよ~!」
???
階段を上がってみると寝室のドアの隙間から遙香が呼んでいた。
寝室のベッドの上には、ピンクの下着をつけた遙香と、その隣でゴロゴロ言いながら遙香に甘える子猫のタマキチ。
「え? …今日、同窓会じゃなかったのか?」
「来週だけど?」
「……えっ?」
悠人は一瞬思考が停止した。じゃあ、今までのLINEとあの電話の声は…。
タマキチが眠そうな表情であくびをしている。
「よかった…てっきり浮気かと…」
「浮気? わたし女子高だし、何言ってるの?
それになんでさっきから泣きそうなの?」
「…………。」
何も言えなくなった。
全部悠人の勘違いだった。
「あの…それよりさ…」
ピンクの下着姿の遙香は上目遣いで少し頬を染め、指でシーツをつまんだ。
「今日は、悠人を待ってたんだ…」
その言葉を聞いて、悠人はようやく自分の愚かさを噛み締めた。
遙香はずっと俺を待っていてくれたのに、何を疑っていたのか。
悠人は遙香の胸に涙でちょっと濡れた顔を埋めた。
「…バカだった。ごめん。」
「うん?そうだね。バカだね」
遙香はくすっと笑いながら、悠人の身体を抱き締めた。
タマキチは空気を読んだのか寝室から静かに出て行った。
夫婦の円満な夜は、守られたのだった。
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