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逃げ場なし!社内恋愛踊り場攻防戦
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創業50周年の社内パーティーは、会社の気合が入っていた。
ホテルを一棟貸し切り、100人規模の立食パーティー。
僕と真耶は、華やかな会場の隅で目配せを交わす。
「……今なら、いける?」
「うん、たぶん」
僕たちは同じ課の同僚で、秘密の社内恋愛中だ。
パーティーが終ってしまうとお互い同性の同僚との同部屋なのでチャンスが無い。
パーティーの賑やかな雰囲気のどさくさに紛れて、僕たちはこっそり会場を抜け出し、上層階の人気のない踊り場へと向かった。
廊下の先にある踊り場は、人気が無くてうってつけだ。
僕と真耶はそこで二人きりになった途端、無言で求め合った。
「んっ…、声出ちゃう…ふぅ…ふぅ…」
「真耶…静かに…バレちゃうよ」
酔いのせいか、甘い雰囲気が加速する。
パーティードレス姿の真耶、いつものクールなOLファッションと違ってどこか妖艶だ。
僕たちはお互いの温もりを感じ、スリルを感じていた。
真耶の荒い息づかい、時々微かに漏れる「ふぅ…ふぅ…」という秘密の吐息。
「ああああああああああああああ!!!!…だめぇええええ…でもそこ…もっと…もっと…だめぇもっと…もっと…!!!」
いきなり廊下に響き渡るような大声、いや、真耶…いいんだけど…さすがにオープン過ぎるよ!
「ほら真耶…気持ちいいのはわかるけど…静かにしないと…バレちゃうよ」
「え?私何も…言ってないよ。ふぅ…ふぅ…」
踊り場は静かなので、僕たちの声が僅かに響いているのは確かだった。
でも、確かに真耶の声にしては大胆すぎたし変な方向から聞こえたような。
他の誰かがいるはずもないし。僕たちは深く考えずそのまま続けた。
♡♡♡
30分後、僕たちは踊り場の床にふたりして倒れ込み熱い余韻に浸っていた。
もちろん僕のズボンのベルトは外れたまま、シャツのボタンは全開。
真耶のドレスは乱れてストッキングとサンダルが床に転がっている。
二人とも呼吸がまだ荒い。
すると
「君たち、何をしてるんだね?」
階段の上から部長の低い声が響いた。
「っ!!??」
僕と真耶が飛び上がるように振り返ると、そこには見たこと無い表情の部長が立っていた。
顔は真っ赤。額には脂汗が浮いている。
「……これは、その……!」
僕は苦し紛れに叫んだ。
「部長!!聞いてください!!これは……ハプニングです!!」
「なに?」
「ハプニングなんです!!実は真耶の足が攣ってしまいまして!で、ツボ押しを試してみようって話になって…!やっぱり直接の方がいいかなって、ストッキング脱いでもらって!」
「そうなんです!そしたら、滑っちゃって、バランス崩して…!」
「僕が支えたら、シャツが破れて!ベルトも取れて!真耶のチャックも偶然下がってしまって!!こりゃ参ったな~!アハハハハ!」
部長は怪訝な顔で僕たちを見たが、やがてため息をつき、「まあ、気をつけろよ」と言い残して上に戻っていった。
僕たちはホッとしたが、ふと気づく。
(部長のスーツも、なんか乱れてなかったか? それに、異様に汗ばんでたような…)
嫌な予感がしたが、それどころじゃない。
「とりあえず、早く戻ろう……!」
しかし、安心するのはまだ早かった。
「……あなたたち、何してるの?」
次に上から現れたのは、お局こと佐藤さんだった。
「……」
部長が帰ってから身なりを整えている最中だというのに。
「佐藤さん!! これは、あの、その……!!」
僕はまたとっさに苦しい言い訳をひねり出した。
「静電気です!!」
「…静電気?」
「はい! 乾燥していて、真耶のストッキングが、バチッ!!って放電して! びっくりして飛び上がったら、ドレスのチャックが下がって、下着も化繊だったみたいでちょっと…、僕も巻き込まれてシャツとベルトが…!!」
「そうなんです!いつもは下着は綿100%なんですけどこういう場なんでちょっとオシャレな下着を…」
佐藤さんはじっと僕たちを見て、やがて
「…なるほどね!! 分かるわ!!」
えっ!?
「静電気って本当に恐ろしいのよね!! 私も経験あるもの!!これからは気をつけなさいね。」
なぜか妙に素早く納得した佐藤さんは、満足げに上に去っていった。
(なんとなく佐藤さんも顔が火照っていた気が…まあいいか)
「…なんとか乗り切った……」
僕と真耶はため息をつき、何事もなかった風を装って会場へ戻った。
しかし、そういえばそこにはまだ部長と佐藤さんの姿がなかった。
後日、同僚が噂をしていた。
「なあ、佐藤さんがストッキング履いてなかったって気づいた?」
「うん…。しかも、チャックも下がってたよね…?髪も乱れてたし。」
「部長のスーツだって乱れてたし。佐藤さんの香水の匂いがプンプンしてたぞ。」
「奥さんもパーティー来てたんだろ?バレバレだろ。大丈夫なのかな」
僕はあることに気づく。
あの時、踊り場で聞こえた似たような声。
まさか…部長と佐藤さんも、上で同じことしてた!?
思わず目を合わせた僕と真耶は、同時に絶句したのだった。
その後会社で、部長と佐藤さんは異様に僕と真耶に優しくなった。
ホテルを一棟貸し切り、100人規模の立食パーティー。
僕と真耶は、華やかな会場の隅で目配せを交わす。
「……今なら、いける?」
「うん、たぶん」
僕たちは同じ課の同僚で、秘密の社内恋愛中だ。
パーティーが終ってしまうとお互い同性の同僚との同部屋なのでチャンスが無い。
パーティーの賑やかな雰囲気のどさくさに紛れて、僕たちはこっそり会場を抜け出し、上層階の人気のない踊り場へと向かった。
廊下の先にある踊り場は、人気が無くてうってつけだ。
僕と真耶はそこで二人きりになった途端、無言で求め合った。
「んっ…、声出ちゃう…ふぅ…ふぅ…」
「真耶…静かに…バレちゃうよ」
酔いのせいか、甘い雰囲気が加速する。
パーティードレス姿の真耶、いつものクールなOLファッションと違ってどこか妖艶だ。
僕たちはお互いの温もりを感じ、スリルを感じていた。
真耶の荒い息づかい、時々微かに漏れる「ふぅ…ふぅ…」という秘密の吐息。
「ああああああああああああああ!!!!…だめぇええええ…でもそこ…もっと…もっと…だめぇもっと…もっと…!!!」
いきなり廊下に響き渡るような大声、いや、真耶…いいんだけど…さすがにオープン過ぎるよ!
「ほら真耶…気持ちいいのはわかるけど…静かにしないと…バレちゃうよ」
「え?私何も…言ってないよ。ふぅ…ふぅ…」
踊り場は静かなので、僕たちの声が僅かに響いているのは確かだった。
でも、確かに真耶の声にしては大胆すぎたし変な方向から聞こえたような。
他の誰かがいるはずもないし。僕たちは深く考えずそのまま続けた。
♡♡♡
30分後、僕たちは踊り場の床にふたりして倒れ込み熱い余韻に浸っていた。
もちろん僕のズボンのベルトは外れたまま、シャツのボタンは全開。
真耶のドレスは乱れてストッキングとサンダルが床に転がっている。
二人とも呼吸がまだ荒い。
すると
「君たち、何をしてるんだね?」
階段の上から部長の低い声が響いた。
「っ!!??」
僕と真耶が飛び上がるように振り返ると、そこには見たこと無い表情の部長が立っていた。
顔は真っ赤。額には脂汗が浮いている。
「……これは、その……!」
僕は苦し紛れに叫んだ。
「部長!!聞いてください!!これは……ハプニングです!!」
「なに?」
「ハプニングなんです!!実は真耶の足が攣ってしまいまして!で、ツボ押しを試してみようって話になって…!やっぱり直接の方がいいかなって、ストッキング脱いでもらって!」
「そうなんです!そしたら、滑っちゃって、バランス崩して…!」
「僕が支えたら、シャツが破れて!ベルトも取れて!真耶のチャックも偶然下がってしまって!!こりゃ参ったな~!アハハハハ!」
部長は怪訝な顔で僕たちを見たが、やがてため息をつき、「まあ、気をつけろよ」と言い残して上に戻っていった。
僕たちはホッとしたが、ふと気づく。
(部長のスーツも、なんか乱れてなかったか? それに、異様に汗ばんでたような…)
嫌な予感がしたが、それどころじゃない。
「とりあえず、早く戻ろう……!」
しかし、安心するのはまだ早かった。
「……あなたたち、何してるの?」
次に上から現れたのは、お局こと佐藤さんだった。
「……」
部長が帰ってから身なりを整えている最中だというのに。
「佐藤さん!! これは、あの、その……!!」
僕はまたとっさに苦しい言い訳をひねり出した。
「静電気です!!」
「…静電気?」
「はい! 乾燥していて、真耶のストッキングが、バチッ!!って放電して! びっくりして飛び上がったら、ドレスのチャックが下がって、下着も化繊だったみたいでちょっと…、僕も巻き込まれてシャツとベルトが…!!」
「そうなんです!いつもは下着は綿100%なんですけどこういう場なんでちょっとオシャレな下着を…」
佐藤さんはじっと僕たちを見て、やがて
「…なるほどね!! 分かるわ!!」
えっ!?
「静電気って本当に恐ろしいのよね!! 私も経験あるもの!!これからは気をつけなさいね。」
なぜか妙に素早く納得した佐藤さんは、満足げに上に去っていった。
(なんとなく佐藤さんも顔が火照っていた気が…まあいいか)
「…なんとか乗り切った……」
僕と真耶はため息をつき、何事もなかった風を装って会場へ戻った。
しかし、そういえばそこにはまだ部長と佐藤さんの姿がなかった。
後日、同僚が噂をしていた。
「なあ、佐藤さんがストッキング履いてなかったって気づいた?」
「うん…。しかも、チャックも下がってたよね…?髪も乱れてたし。」
「部長のスーツだって乱れてたし。佐藤さんの香水の匂いがプンプンしてたぞ。」
「奥さんもパーティー来てたんだろ?バレバレだろ。大丈夫なのかな」
僕はあることに気づく。
あの時、踊り場で聞こえた似たような声。
まさか…部長と佐藤さんも、上で同じことしてた!?
思わず目を合わせた僕と真耶は、同時に絶句したのだった。
その後会社で、部長と佐藤さんは異様に僕と真耶に優しくなった。
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