17 / 63
LINEの向こう側は誰?
しおりを挟む
ニューヨークの街角。冷たい風がビルの隙間を抜け、僕の顔に当たる。
もう10回目くらいになる出張で訪れたこの街も、やっと今回で厄介な商談が片付いた。
「ふぅ…終わった終わった。」
疲れ切っていたものの、行き交う観光客を眺めていると、少し元気が出てきた。
そんなとき、ふと目を引いたのは、僕の前を歩く日本人らしき母娘の姿だった。
母親は60歳くらいで、娘は25歳くらい。どちらも上品な雰囲気で、目をキラキラさせながら観光を楽しんでいる。
ああ、いいなぁ、あの娘さん…いやいや、不審者みたいに見ちゃダメだ。
でも、なんとなく気になって目で追っていると、二人が案内板を前にキョロキョロしているのが見えた。
迷子か? これはチャンスかもしれない!
「日本人の方ですか?お困りですか?」
「あら、そうなんです。よく日本人だとわかりましたね。」
上品な母親が微笑む。おお、予想以上に気さくな感じだ。
「実は夕飯を食べるレストランを探してるんですけど、英語が全然わからなくて…」
娘さんが困った顔をする。可愛い…いや、助けてあげないと。
「僕はニューヨークにちょっと詳しいので、いいお店をご紹介しますよ。」
「本当ですか!?助かります!」
娘さんの目がキラキラと輝いた。これはポイントアップ間違いなしだ!
僕は地元っぽさをアピールしながら、おすすめのレストランをいくつか紹介。
母娘は感心しながら聞いてくれ、話が弾んだ。
「今日は本当に助かりました。もしよければ、連絡先を交換しましょう。ほら、真凜、この方にLINEアカウントをお伝えして。」
母親の言葉に、娘さんが少し照れたようにスマホを取り出した。
うわ、これは勝ったかもしれない…!
僕は心の中でガッツポーズを決めながら、LINEを交換した。
数日後。
「Peach」という名前からLINEが届いた。アイコンはあの日のニューヨークの町並みだ。
「きた!真凜さんだ!」
僕は思わずガッツポーズ。思ったよりも早く連絡が来るなんて…これは脈ありだ。
お互いに日常のことを軽くやり取りし、会話は順調に進んだ。
そして、数日後。
「職場が銀座っておっしゃってましたよね。来週銀座に行く用事があるので、せっかくだからふたりでランチでもどうですか?」
ふ、ふたりで!?
これはもうデートと言っていいのでは…?
僕は浮かれまくって、即座にOKの返信をした。
そして、約束の日。
僕は銀座のレストランの前で、早めに到着して待っていた。
「よし、今日はバッチリ決めたぞ。さりげなくリードして、大人の男の余裕を見せるんだ。」
頭の中で完璧なシナリオを描いていると、遠くから女性が歩いてくるのが見えた。
「お、ついに来た!」
でも、なんか様子がおかしい。
目の前に現れたのは、あの上品な…母親の方だった。
「こんにちは!」
母親がニコニコしながら手を振っている。
「え…?」
待て待て、どうして母親がここにいるんだ?
いや、まさか、真凜さんが急用で代理とか…?
「真凜は今日は打ち合わせなんで、今回は私だけなの。わたくしそういえば桃江って言います。会えて嬉しいわ!」
満面の笑みで言われた。
僕の頭の中はパニック状態。
「え、あ、そうなんですね…」
なんでだよ!なんで母親が来てるんだよ!?
しかも、なんかやたら嬉しそうだし!
とりあえず、予定通りランチをすることに。
母親はとても気さくで、話題も豊富。話してみると意外に楽しい。
「そういえば、娘は今日は婚約者と結婚式の打ち合わせなんですよ。」
「え、婚約者…?」
じゃあ、僕がLINEしてた相手は誰…?
頭の中で記憶を必死にたどる。
あの日、LINEを交換したとき、娘さんがスマホを取り出したけど、あれって母親のスマホじゃなかったか…?
ハッと気づいた。
そうだ、「Peach」って、母親のアカウントだ!
桃江だから「Peach」かよ!
娘さんは母親のスマホでLINE交換してくれただけで、僕はずっと母親とやり取りしてたんだ!
その後、母親とは定期的にLINEでやり取りするようになった。
旅行の話や近況報告、そしてたまに「今度またランチしましょうね」とのお誘い。
最初は「うわ、やっちまった」と思ったけれど、話してみると意外に楽しい。
しかも、シングルマザーで再婚相手を探してるらしい。
…待てよ?
年の差恋愛、ありなのか?
僕の心は、なんだか妙な方向にドキドキし始めていた。
もう10回目くらいになる出張で訪れたこの街も、やっと今回で厄介な商談が片付いた。
「ふぅ…終わった終わった。」
疲れ切っていたものの、行き交う観光客を眺めていると、少し元気が出てきた。
そんなとき、ふと目を引いたのは、僕の前を歩く日本人らしき母娘の姿だった。
母親は60歳くらいで、娘は25歳くらい。どちらも上品な雰囲気で、目をキラキラさせながら観光を楽しんでいる。
ああ、いいなぁ、あの娘さん…いやいや、不審者みたいに見ちゃダメだ。
でも、なんとなく気になって目で追っていると、二人が案内板を前にキョロキョロしているのが見えた。
迷子か? これはチャンスかもしれない!
「日本人の方ですか?お困りですか?」
「あら、そうなんです。よく日本人だとわかりましたね。」
上品な母親が微笑む。おお、予想以上に気さくな感じだ。
「実は夕飯を食べるレストランを探してるんですけど、英語が全然わからなくて…」
娘さんが困った顔をする。可愛い…いや、助けてあげないと。
「僕はニューヨークにちょっと詳しいので、いいお店をご紹介しますよ。」
「本当ですか!?助かります!」
娘さんの目がキラキラと輝いた。これはポイントアップ間違いなしだ!
僕は地元っぽさをアピールしながら、おすすめのレストランをいくつか紹介。
母娘は感心しながら聞いてくれ、話が弾んだ。
「今日は本当に助かりました。もしよければ、連絡先を交換しましょう。ほら、真凜、この方にLINEアカウントをお伝えして。」
母親の言葉に、娘さんが少し照れたようにスマホを取り出した。
うわ、これは勝ったかもしれない…!
僕は心の中でガッツポーズを決めながら、LINEを交換した。
数日後。
「Peach」という名前からLINEが届いた。アイコンはあの日のニューヨークの町並みだ。
「きた!真凜さんだ!」
僕は思わずガッツポーズ。思ったよりも早く連絡が来るなんて…これは脈ありだ。
お互いに日常のことを軽くやり取りし、会話は順調に進んだ。
そして、数日後。
「職場が銀座っておっしゃってましたよね。来週銀座に行く用事があるので、せっかくだからふたりでランチでもどうですか?」
ふ、ふたりで!?
これはもうデートと言っていいのでは…?
僕は浮かれまくって、即座にOKの返信をした。
そして、約束の日。
僕は銀座のレストランの前で、早めに到着して待っていた。
「よし、今日はバッチリ決めたぞ。さりげなくリードして、大人の男の余裕を見せるんだ。」
頭の中で完璧なシナリオを描いていると、遠くから女性が歩いてくるのが見えた。
「お、ついに来た!」
でも、なんか様子がおかしい。
目の前に現れたのは、あの上品な…母親の方だった。
「こんにちは!」
母親がニコニコしながら手を振っている。
「え…?」
待て待て、どうして母親がここにいるんだ?
いや、まさか、真凜さんが急用で代理とか…?
「真凜は今日は打ち合わせなんで、今回は私だけなの。わたくしそういえば桃江って言います。会えて嬉しいわ!」
満面の笑みで言われた。
僕の頭の中はパニック状態。
「え、あ、そうなんですね…」
なんでだよ!なんで母親が来てるんだよ!?
しかも、なんかやたら嬉しそうだし!
とりあえず、予定通りランチをすることに。
母親はとても気さくで、話題も豊富。話してみると意外に楽しい。
「そういえば、娘は今日は婚約者と結婚式の打ち合わせなんですよ。」
「え、婚約者…?」
じゃあ、僕がLINEしてた相手は誰…?
頭の中で記憶を必死にたどる。
あの日、LINEを交換したとき、娘さんがスマホを取り出したけど、あれって母親のスマホじゃなかったか…?
ハッと気づいた。
そうだ、「Peach」って、母親のアカウントだ!
桃江だから「Peach」かよ!
娘さんは母親のスマホでLINE交換してくれただけで、僕はずっと母親とやり取りしてたんだ!
その後、母親とは定期的にLINEでやり取りするようになった。
旅行の話や近況報告、そしてたまに「今度またランチしましょうね」とのお誘い。
最初は「うわ、やっちまった」と思ったけれど、話してみると意外に楽しい。
しかも、シングルマザーで再婚相手を探してるらしい。
…待てよ?
年の差恋愛、ありなのか?
僕の心は、なんだか妙な方向にドキドキし始めていた。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる