ムズキュン注意報!7分で恋のドキドキ完結

もっくん

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LINEの向こう側は誰?

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ニューヨークの街角。冷たい風がビルの隙間を抜け、僕の顔に当たる。
もう10回目くらいになる出張で訪れたこの街も、やっと今回で厄介な商談が片付いた。
「ふぅ…終わった終わった。」
疲れ切っていたものの、行き交う観光客を眺めていると、少し元気が出てきた。

そんなとき、ふと目を引いたのは、僕の前を歩く日本人らしき母娘の姿だった。

母親は60歳くらいで、娘は25歳くらい。どちらも上品な雰囲気で、目をキラキラさせながら観光を楽しんでいる。
ああ、いいなぁ、あの娘さん…いやいや、不審者みたいに見ちゃダメだ。
でも、なんとなく気になって目で追っていると、二人が案内板を前にキョロキョロしているのが見えた。

迷子か? これはチャンスかもしれない!

「日本人の方ですか?お困りですか?」
「あら、そうなんです。よく日本人だとわかりましたね。」
上品な母親が微笑む。おお、予想以上に気さくな感じだ。

「実は夕飯を食べるレストランを探してるんですけど、英語が全然わからなくて…」
娘さんが困った顔をする。可愛い…いや、助けてあげないと。

「僕はニューヨークにちょっと詳しいので、いいお店をご紹介しますよ。」
「本当ですか!?助かります!」
娘さんの目がキラキラと輝いた。これはポイントアップ間違いなしだ!

僕は地元っぽさをアピールしながら、おすすめのレストランをいくつか紹介。
母娘は感心しながら聞いてくれ、話が弾んだ。

「今日は本当に助かりました。もしよければ、連絡先を交換しましょう。ほら、真凜、この方にLINEアカウントをお伝えして。」
母親の言葉に、娘さんが少し照れたようにスマホを取り出した。

うわ、これは勝ったかもしれない…!
僕は心の中でガッツポーズを決めながら、LINEを交換した。

数日後。
「Peach」という名前からLINEが届いた。アイコンはあの日のニューヨークの町並みだ。

「きた!真凜さんだ!」
僕は思わずガッツポーズ。思ったよりも早く連絡が来るなんて…これは脈ありだ。

お互いに日常のことを軽くやり取りし、会話は順調に進んだ。
そして、数日後。

「職場が銀座っておっしゃってましたよね。来週銀座に行く用事があるので、せっかくだからふたりでランチでもどうですか?」

ふ、ふたりで!?
これはもうデートと言っていいのでは…?

僕は浮かれまくって、即座にOKの返信をした。

そして、約束の日。
僕は銀座のレストランの前で、早めに到着して待っていた。

「よし、今日はバッチリ決めたぞ。さりげなくリードして、大人の男の余裕を見せるんだ。」
頭の中で完璧なシナリオを描いていると、遠くから女性が歩いてくるのが見えた。

「お、ついに来た!」

でも、なんか様子がおかしい。
目の前に現れたのは、あの上品な…母親の方だった。

「こんにちは!」
母親がニコニコしながら手を振っている。

「え…?」

待て待て、どうして母親がここにいるんだ?
いや、まさか、真凜さんが急用で代理とか…?

「真凜は今日は打ち合わせなんで、今回は私だけなの。わたくしそういえば桃江って言います。会えて嬉しいわ!」
満面の笑みで言われた。

僕の頭の中はパニック状態。
「え、あ、そうなんですね…」

なんでだよ!なんで母親が来てるんだよ!?
しかも、なんかやたら嬉しそうだし!

とりあえず、予定通りランチをすることに。
母親はとても気さくで、話題も豊富。話してみると意外に楽しい。

「そういえば、娘は今日は婚約者と結婚式の打ち合わせなんですよ。」

「え、婚約者…?」
じゃあ、僕がLINEしてた相手は誰…?

頭の中で記憶を必死にたどる。
あの日、LINEを交換したとき、娘さんがスマホを取り出したけど、あれって母親のスマホじゃなかったか…?

ハッと気づいた。
そうだ、「Peach」って、母親のアカウントだ!
桃江だから「Peach」かよ!

娘さんは母親のスマホでLINE交換してくれただけで、僕はずっと母親とやり取りしてたんだ!

その後、母親とは定期的にLINEでやり取りするようになった。
旅行の話や近況報告、そしてたまに「今度またランチしましょうね」とのお誘い。

最初は「うわ、やっちまった」と思ったけれど、話してみると意外に楽しい。
しかも、シングルマザーで再婚相手を探してるらしい。

…待てよ?
年の差恋愛、ありなのか?

僕の心は、なんだか妙な方向にドキドキし始めていた。

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