ムズキュン注意報！7分で恋のドキドキ完結

温泉脱衣卓球～下心と世界の壁～

「温泉行かない？」
「いいけど？いつ？」
密かに狙っている女友達、紬が誘いに乗ってくれたとき僕は内心ガッツポーズを決めた。

「せっかくだから卓球しようよ、脱衣卓球なんてどう？」
「脱衣卓球？負けたら脱ぐの？」
「そうそう。まあ、僕が相手だから心配いらないよ。ハンデだと思ってさ。」
「ふーん。じゃあ、やってみようかな。私、卓球上手いよ？負ける気しないけど？」

よし、計画通りだ。

実は僕はこの日のために毎週末、卓球スクールに通い詰めてきた。
教室のコーチに「君、プロ目指してるの？」と聞かれるほど熱心だったらしい。その原動力はスケベ心だが。

彼女が卓球経験者という情報は掴んである。
だからこそ誘いに乗ってくると思ったのだ。
でも、僕も今や経験者レベル。女子相手なら充分に戦えるはず。
計画は全て順調だ。


そして温泉旅行の当日。
温泉宿の卓球場にふたりきり。
お互いドテラを羽織り、浴衣、帯、その下は下着だ。彼女はブラがある分、僕より一枚多いが想定内。


「負けたら1枚ずつ脱ぐ、約束は守ってもらうからな。」
「望むところよ！」
ドテラ、帯、浴衣、ブラ、パンツ…僕は5ポイント取れば紬を裸に出来る。
ドテラ、帯、浴衣。パンツ…逆に4ポイント取られたら裸にされて負ける。


僕は不敵な笑みを浮かべ、練習しておいた必殺の回転サーブを繰り出す。
紬は目を見開き、ラケットを振ることもできず、僕が1ポイント先制。

「よし、ドテラ脱いでもらうよ。」
「意外とやるじゃない。でも、次はそうはいかないから。」

紬はドテラを脱ぎ、色っぽく髪をかきあげた。
…いい、最高の展開だ。この調子で全部…。

「練習してきたみたいだけど、甘いわ。今ので回転サーブは見切ったわ。」
「強がっても容赦しないぜ！」

ところが次の僕の回転サーブ、バシッとレシーブされ、カウンターで一撃。
「うそだろ！」
僕はドテラを脱ぐ羽目に。

「おかしい…想像以上に強い…」

そして次は紬のサーブ。
ボールが僕の目の前でカクンと曲がった。
「な、何だこの回転！」
ラケットが空を切り、ポイントを奪われる。

「はい、帯、外して。」
僕は悔しさを噛みしめながら帯を解いた。浴衣がはだけてパンツが見えるみっともない姿にされてしまう。
だが、自分のことはどうでもいい紬を…！

僕はスケベ心で集中力を発揮し次のサーブをなんとかまぐれで返すことができた！「よし！」しかし即座に光速スマッシュが襲いかかる。光速だ。
反応する間もなく、僕は浴衣を脱ぐことになった。

「ま、待て！経験者って…いくらなんでも強すぎだろ。どうなってるんだ。」
「知らなかったみたいね。私は実業団チームに所属していて、代表候補よ。」

「じ、実業団！？ 代…代表候補…？」
愕然とする僕を尻目に、紬は軽くラケットを振って微笑んだ。

僕がサーブをする番だ。代表候補なんてハッタリに決まってる。
僕の特訓の成果をぶつければまぐれで勝てるかもしれない！
集中しろ！今は回転サーブを入れることだけを考えろ！

僕のサーブの弾道がスローモーションに見える。
ピンポン球のロゴマークが不規則に回転し、紬のコートにふわっと飛んでいく。

そしてネットに引っかかった。
サーブ失敗。
負けた。

「負けを認めるなら、さっさと脱いで？」

裸になった僕は、彼女に二度とスケベなことを考えないと誓約させられた。
紬は勝ち誇った笑みを浮かべ、浴衣を整えながら言った。
「次は温泉でさっぱりしてきなさい。裸のままでね。」

僕はタオル一枚を渡され、裸のまま温泉へと急いだ。

温泉の脱衣所にスポーツ新聞があり、ふと見ると世界選手権の日本代表に紬の名があった。
「…無謀な挑戦だった。」
僕は頭を抱えた。