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席替え大作戦、まさかの大失敗!
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タカシは、教室の後ろから前方の席をじっと見つめていた。
憧れのミユキが、窓際の席で友達と笑い合っている。
その笑顔がまぶしくて、タカシは思わず目を細めた。
――次の席替えで、隣の席になれたら…!
タカシは期待に胸を膨らませていた。
席が隣になれば、英語の授業やホームワークで共同作業をする機会が増える。
自然と会話が増え、きっと仲良くなれるに違いない。
席替えはくじ引きで決める。
ただし、目が悪い人は前の席と交換してもらえる権利がある。
そして
タカシは目が悪い。
ミユキも目が悪い。
アドバンテージがあるのだ。
前回の席替えでは、タカシとミユキは同じ最前列ではあったが、タカシは右端、ミユキは左端に分かれてしまった。
運悪く視界にも入らない距離だ。
(今度こそ…今度こそ隣に!)
そして、待ちに待った席替えの時が来た。
タカシは息をのんでくじを引いた。
くじには、後ろの席の番号が書かれていた。
(よし、まずは後ろの席だな。あとは、前に行く権利を使えば…)
タカシは周りの動向をうかがった。
目が悪い生徒たちが次々と前の席を引いた生徒と席を交換してもらっている。
前方の席は、あと二つ。
順当にいけば、タカシとミユキの席だ。
タカシは意を決して、前の席との交換を申し出た。
「俺、目が悪いから前に行きたいです!」
目が悪くない普通の生徒は最前列は避けたい。先生に近すぎるし、教室の様子が見えないから圧迫感がある。
だから後ろの席と交換を断るやつはいない。
僕は今回も最前列を確保した。
次はミユキの番だ。
タカシは心の中で祈った。
(さあ、ミユキ…君も前に行くって、この隣の席に来るって言ってくれ…!)
しかし、ミユキは何も言わなかった。
動く気配すらない。
(な、なぜだ!?)
タカシの期待は、脆くも崩れ去った。
隣の席は、前回と同じ柔道部のカナエだった。
カナエはタカシに対してやけに厳しく、何かと小言を言ってくる。
タカシはお母さんに叱られているような気分になるので苦手だった。
「タカシ、背筋が曲がってるわよ!」
「昨日の宿題、ちゃんとやったの? 全くもう、しっかりしなさい!」
「お弁当だけじゃ足りないでしょ? ほら、私の分けてあげるから!」
タカシはため息をついた。
(なんで俺がカナエに叱られなきゃいけないんだ…)
一方、ミユキは後ろの席で友達と楽しそうに笑っている。
その姿にタカシは肩を落とした。
(結局、また遠いままか…)
後日、タカシはある事実を知った。
ミユキはコンタクトレンズを使い始めていたのだ。
だから、前の席に行く必要がなかったのだ。
タカシは膝から崩れ落ちた。
(そんなこと…そんなこと知らなかったんだぞ…!)
今までの作戦が、すべて水の泡になった瞬間だった。
席に頼ることはもうできない。
タカシは決意を新たにした。
(次は、自分の力でミユキと仲良くなるしかない…!)
しかし、その前に…。
「タカシ、ちゃんとノート取ってるの!? ほら、見せてごらんなさい!」
カナエが鬼のような形相で迫ってきた。
タカシは震え上がった。
(まずは、このお母さんみたいな柔道女子との関係をなんとかしないと…!っていうかなんでカナエは俺だけにこんなお節介焼いてくるんだよ!)
タカシの苦難の日々は続くのであった。
憧れのミユキが、窓際の席で友達と笑い合っている。
その笑顔がまぶしくて、タカシは思わず目を細めた。
――次の席替えで、隣の席になれたら…!
タカシは期待に胸を膨らませていた。
席が隣になれば、英語の授業やホームワークで共同作業をする機会が増える。
自然と会話が増え、きっと仲良くなれるに違いない。
席替えはくじ引きで決める。
ただし、目が悪い人は前の席と交換してもらえる権利がある。
そして
タカシは目が悪い。
ミユキも目が悪い。
アドバンテージがあるのだ。
前回の席替えでは、タカシとミユキは同じ最前列ではあったが、タカシは右端、ミユキは左端に分かれてしまった。
運悪く視界にも入らない距離だ。
(今度こそ…今度こそ隣に!)
そして、待ちに待った席替えの時が来た。
タカシは息をのんでくじを引いた。
くじには、後ろの席の番号が書かれていた。
(よし、まずは後ろの席だな。あとは、前に行く権利を使えば…)
タカシは周りの動向をうかがった。
目が悪い生徒たちが次々と前の席を引いた生徒と席を交換してもらっている。
前方の席は、あと二つ。
順当にいけば、タカシとミユキの席だ。
タカシは意を決して、前の席との交換を申し出た。
「俺、目が悪いから前に行きたいです!」
目が悪くない普通の生徒は最前列は避けたい。先生に近すぎるし、教室の様子が見えないから圧迫感がある。
だから後ろの席と交換を断るやつはいない。
僕は今回も最前列を確保した。
次はミユキの番だ。
タカシは心の中で祈った。
(さあ、ミユキ…君も前に行くって、この隣の席に来るって言ってくれ…!)
しかし、ミユキは何も言わなかった。
動く気配すらない。
(な、なぜだ!?)
タカシの期待は、脆くも崩れ去った。
隣の席は、前回と同じ柔道部のカナエだった。
カナエはタカシに対してやけに厳しく、何かと小言を言ってくる。
タカシはお母さんに叱られているような気分になるので苦手だった。
「タカシ、背筋が曲がってるわよ!」
「昨日の宿題、ちゃんとやったの? 全くもう、しっかりしなさい!」
「お弁当だけじゃ足りないでしょ? ほら、私の分けてあげるから!」
タカシはため息をついた。
(なんで俺がカナエに叱られなきゃいけないんだ…)
一方、ミユキは後ろの席で友達と楽しそうに笑っている。
その姿にタカシは肩を落とした。
(結局、また遠いままか…)
後日、タカシはある事実を知った。
ミユキはコンタクトレンズを使い始めていたのだ。
だから、前の席に行く必要がなかったのだ。
タカシは膝から崩れ落ちた。
(そんなこと…そんなこと知らなかったんだぞ…!)
今までの作戦が、すべて水の泡になった瞬間だった。
席に頼ることはもうできない。
タカシは決意を新たにした。
(次は、自分の力でミユキと仲良くなるしかない…!)
しかし、その前に…。
「タカシ、ちゃんとノート取ってるの!? ほら、見せてごらんなさい!」
カナエが鬼のような形相で迫ってきた。
タカシは震え上がった。
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