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全人類に告ぐ、Bluetoothの自動接続は危険です
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ゼミ室に集う、僕(田中)、里央ちゃん、そして恋敵・坂本、その他女子3名。
このゼミ室は静かに研究をする健全な学問の場であり、同時に里央ちゃん争奪サバイバルの最前線でもある。
僕の憧れの女の子、里央ちゃんは、清楚で大人しく、まるでお姫様のような汚してはならない崇高な存在。
その他女子3名はまあ、普通の騒がしい女子大生だ。
容姿や性格についてもここでは敢えて述べない。
里央ちゃんは浮ついた素振りは見せないが、僕だけは知っている。彼女が動物好きだということを!
僕と坂本は里央ちゃんを巡って一進一退の攻防を繰り広げている。
正確にはどちらも相手にされていないようだが。
実は僕はこの前、里央ちゃんの好感度を上げるために「猫カフェに行かない?」と誘ってみた。
動物好きな彼女なら、きっと喜んでくれるはず!
しかし
「ごめんね、うちの猫が嫉妬しちゃうからダメなの。」
えええええぇぇぇぇ!?!?!?
想定外の敗北を喫した僕であった。
坂本も負けてはいない。
坂本はある日、里央ちゃんのために「スイーツ店で限定パンケーキ」を予約していた。
「女の子は甘いものが好き」という定説に基づいた合理的なアプローチ!
なかなかやるな、坂本。
しかし——
「私、お昼ご飯パンケーキだったの…みんなで食べて」
坂本の目が死んだ。
僕と坂本の好感度対決は痛み分けに終わった。
何事もなかったかのように優雅にペットボトルのミルクティーを飲む里央ちゃんであった。
彼女はおそらく“天然”という最強の防御スキルを持っている。
そんな中、背筋も凍るような大事件が起こった。
ある夕方、静かなゼミ室。
各自が黙々と研究用のデータ収集をしている。
そんな時だった
「やぁぁん、そんなに激しくされたら……わたしのピンクのおもちゃが壊れちゃう……!」
「へっっへっへ、まだまだこれからだぜ。ほら、お前の毛むくじゃらの子猫ちゃんをもっと見せてごらん」
場違いにもほどがある音声が響き渡った。
ゼミ室は、即座に凍りついた。
「えっ?」
「ちょっと待って、今の何?」
「誰!? Bluetooth繋がってるよ!!」
女子たちはキャーキャー言って騒然。
何が起きたかは明白だった。
誰かのスマホがゼミ室のBluetoothスピーカーに接続され、エッチ動画の音声が大音量で流れてしまったのだ。
里央ちゃんはきょとんとして固まっている。
僕は瞬時に坂本を疑った。
坂本もあまりの出来事に目が泳いでいる。
アイツが夜な夜なエロ動画を漁っていることくらいお見通しだ。
…まあそれはこっちも同じだが、うっかり学校のBluetoothスピーカーで流してしまうとは危機管理が足りなすぎる。
「フン、バカめ。坂本よ、これで里央ちゃんの心証は最悪だな……」
と心の中で高笑いしながら高みの見物を決め込もうとした、その時だった。
「ああっ、ダメっ……! こんなに大きい亀さん、初めて……っ!」
「ヘッヘッヘ、巣穴の奥まで探検させてもらうぜ? ほら、少しずつ……」
ん……?
「ねぇ、お願い……もっと……ミルクをちょうだい……」
「ははっ、お前のスイートルームがこんなに濡れて大洪水だぞ……可愛いうさぎちゃんめ」
「おっきい…まるでアザラシじゃないのっ…あぁ…」
「おおふっ…いいぜ…俺は暴れ馬…お前に…乗りこなせるかな!」
んんんんんん???????
何だこのデジャブ的な何かは?
この下世話なセリフ……どこかで……
……あれ?これ、まさか……
僕が昨日見た動画じゃねえか!!!!!!!!
「あなたのミルクを…もっと…ください…」
「ぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃ…」
ウウウウウウウウウーーーーーー!!!
(脳内緊急アラート作動)
「やべぇぇぇぇぇええええええええ!!!!!!」
全身から汗が噴き出し、心臓が爆音で鳴る。
やばい、マジでやばい。
Bluetoothの神様、なぜこのタイミングで僕を裏切った!?
坂本も僕の動揺に気づいてホッとした様子だ。
「田中、おまえこんな淫らな動画を女の子達がいるゼミ室で流すなんて!最低な男だな!」
ニヤニヤしながら僕を責めてくる。
くそっ調子に乗ってやがる!
坂本だけじゃない。全員が僕を見ている。
僕は口を開いて苦しい言い訳を絞り出した。
「いや、これは…その…僕が昨日見た…動物癒し動画だ!!!!」
「動物癒し動画?????」
「動物って、今の…?」
「そんな動物いる!?!?」
女子たちは一斉に僕に冷たい目を向ける。
「そいつは苦しい言い訳だぜ田中!観念して僕は変態です、研究の邪魔してすみませんってみんなに謝れよ!」
坂本もますます調子に乗っている。この野郎…。
しかし!! その時、救いの手が差し伸べられた。
「今度、動物癒し動画、一緒に見ようね。」
……え?
衝撃の言葉がゼミ室に響く。
振り向くと、なんと 里央ちゃんが僕をかばってくれている!?
「えっ、ちょ…えっ!?!?」
僕の方が混乱する。
里央ちゃんは澄んだ目で僕を見つめ、にっこりと微笑む。
「坂本くんって意地悪ね。田中くんは動物好きのいい人なのに!」
ま、待ってくれ…!!
もしかして、里央ちゃん……
「本当に動物動画だと思ってる……!?」
他の女子3名は目を丸くし、顔を見合わせる。
「えっ、里央ってそういうの好きなの?」
「え、そういう趣味…?」
「えっ、逆に沼なのでは?」
えっ、なんか変な方向に納得されてる!?!?
「ま、いいけどさ。音量は控えめで頼むぜ。」
坂本はバツが悪そうに口をつぐみ、ゼミ室には奇妙な空気が流れる。
「じゃあみんな、作業続けよ?あとちょっとだし。」
「う、うんそうだね、里央」
…まぁ、何はともあれ、僕は勝った。
Bluetoothの暴走による社会的死からの奇跡の生還劇。
里央ちゃん争奪サバイバルは僕が一歩リードだ!
ただし、里央ちゃん以外のメンバーからの僕の新しい称号は「動物癒し動画マスター」になった模様。
このゼミ室は静かに研究をする健全な学問の場であり、同時に里央ちゃん争奪サバイバルの最前線でもある。
僕の憧れの女の子、里央ちゃんは、清楚で大人しく、まるでお姫様のような汚してはならない崇高な存在。
その他女子3名はまあ、普通の騒がしい女子大生だ。
容姿や性格についてもここでは敢えて述べない。
里央ちゃんは浮ついた素振りは見せないが、僕だけは知っている。彼女が動物好きだということを!
僕と坂本は里央ちゃんを巡って一進一退の攻防を繰り広げている。
正確にはどちらも相手にされていないようだが。
実は僕はこの前、里央ちゃんの好感度を上げるために「猫カフェに行かない?」と誘ってみた。
動物好きな彼女なら、きっと喜んでくれるはず!
しかし
「ごめんね、うちの猫が嫉妬しちゃうからダメなの。」
えええええぇぇぇぇ!?!?!?
想定外の敗北を喫した僕であった。
坂本も負けてはいない。
坂本はある日、里央ちゃんのために「スイーツ店で限定パンケーキ」を予約していた。
「女の子は甘いものが好き」という定説に基づいた合理的なアプローチ!
なかなかやるな、坂本。
しかし——
「私、お昼ご飯パンケーキだったの…みんなで食べて」
坂本の目が死んだ。
僕と坂本の好感度対決は痛み分けに終わった。
何事もなかったかのように優雅にペットボトルのミルクティーを飲む里央ちゃんであった。
彼女はおそらく“天然”という最強の防御スキルを持っている。
そんな中、背筋も凍るような大事件が起こった。
ある夕方、静かなゼミ室。
各自が黙々と研究用のデータ収集をしている。
そんな時だった
「やぁぁん、そんなに激しくされたら……わたしのピンクのおもちゃが壊れちゃう……!」
「へっっへっへ、まだまだこれからだぜ。ほら、お前の毛むくじゃらの子猫ちゃんをもっと見せてごらん」
場違いにもほどがある音声が響き渡った。
ゼミ室は、即座に凍りついた。
「えっ?」
「ちょっと待って、今の何?」
「誰!? Bluetooth繋がってるよ!!」
女子たちはキャーキャー言って騒然。
何が起きたかは明白だった。
誰かのスマホがゼミ室のBluetoothスピーカーに接続され、エッチ動画の音声が大音量で流れてしまったのだ。
里央ちゃんはきょとんとして固まっている。
僕は瞬時に坂本を疑った。
坂本もあまりの出来事に目が泳いでいる。
アイツが夜な夜なエロ動画を漁っていることくらいお見通しだ。
…まあそれはこっちも同じだが、うっかり学校のBluetoothスピーカーで流してしまうとは危機管理が足りなすぎる。
「フン、バカめ。坂本よ、これで里央ちゃんの心証は最悪だな……」
と心の中で高笑いしながら高みの見物を決め込もうとした、その時だった。
「ああっ、ダメっ……! こんなに大きい亀さん、初めて……っ!」
「ヘッヘッヘ、巣穴の奥まで探検させてもらうぜ? ほら、少しずつ……」
ん……?
「ねぇ、お願い……もっと……ミルクをちょうだい……」
「ははっ、お前のスイートルームがこんなに濡れて大洪水だぞ……可愛いうさぎちゃんめ」
「おっきい…まるでアザラシじゃないのっ…あぁ…」
「おおふっ…いいぜ…俺は暴れ馬…お前に…乗りこなせるかな!」
んんんんんん???????
何だこのデジャブ的な何かは?
この下世話なセリフ……どこかで……
……あれ?これ、まさか……
僕が昨日見た動画じゃねえか!!!!!!!!
「あなたのミルクを…もっと…ください…」
「ぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃ…」
ウウウウウウウウウーーーーーー!!!
(脳内緊急アラート作動)
「やべぇぇぇぇぇええええええええ!!!!!!」
全身から汗が噴き出し、心臓が爆音で鳴る。
やばい、マジでやばい。
Bluetoothの神様、なぜこのタイミングで僕を裏切った!?
坂本も僕の動揺に気づいてホッとした様子だ。
「田中、おまえこんな淫らな動画を女の子達がいるゼミ室で流すなんて!最低な男だな!」
ニヤニヤしながら僕を責めてくる。
くそっ調子に乗ってやがる!
坂本だけじゃない。全員が僕を見ている。
僕は口を開いて苦しい言い訳を絞り出した。
「いや、これは…その…僕が昨日見た…動物癒し動画だ!!!!」
「動物癒し動画?????」
「動物って、今の…?」
「そんな動物いる!?!?」
女子たちは一斉に僕に冷たい目を向ける。
「そいつは苦しい言い訳だぜ田中!観念して僕は変態です、研究の邪魔してすみませんってみんなに謝れよ!」
坂本もますます調子に乗っている。この野郎…。
しかし!! その時、救いの手が差し伸べられた。
「今度、動物癒し動画、一緒に見ようね。」
……え?
衝撃の言葉がゼミ室に響く。
振り向くと、なんと 里央ちゃんが僕をかばってくれている!?
「えっ、ちょ…えっ!?!?」
僕の方が混乱する。
里央ちゃんは澄んだ目で僕を見つめ、にっこりと微笑む。
「坂本くんって意地悪ね。田中くんは動物好きのいい人なのに!」
ま、待ってくれ…!!
もしかして、里央ちゃん……
「本当に動物動画だと思ってる……!?」
他の女子3名は目を丸くし、顔を見合わせる。
「えっ、里央ってそういうの好きなの?」
「え、そういう趣味…?」
「えっ、逆に沼なのでは?」
えっ、なんか変な方向に納得されてる!?!?
「ま、いいけどさ。音量は控えめで頼むぜ。」
坂本はバツが悪そうに口をつぐみ、ゼミ室には奇妙な空気が流れる。
「じゃあみんな、作業続けよ?あとちょっとだし。」
「う、うんそうだね、里央」
…まぁ、何はともあれ、僕は勝った。
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