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3D人形バラバラ事件と変態疑惑回避
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学校帰り、美波と一緒にショッピングモールへ寄った。
なんとなくデートみたいでちょっと嬉しい。
モール内を歩いていると、何やら面白そうなブースを発見した。
似顔絵師でも来てるのかな?と一瞬思ったが違った。
「オリジナル3Dデッサン人形作成サービス」とチープなのぼりが立っている。
PCの前に座ったスタッフが何やら作業をしている。
ブースには見本のデッサン人形がいくつか並んでいる。全部の関節が可動式になっていて自由にポーズを取ったり服を着せられるやつだ。
顔はリアルに作られていて、鎧を着て剣を持ってたり、手作りのドレスを着てる。
どうやら顔写真と体型のパターンを選択すると、自分そっくりの20センチほどの人形が作れるらしい。
しかも、今ならペアでお試しワンコイン500円!
「なにこれ、面白そう!やろうよ!」
美波が食いついた。
俺は検討する暇もなく一緒に作ることになった。
「あとでジュース奢るから」と言われて、俺が代表して500円を支払った。
ヒアリングシートには、身長、体重、体型、スリーサイズ、足のサイズ、座高、体毛の濃さなどなど、思った以上に細かい項目があった。
「わからない部分はだいたいでいいですよ」とスタッフが言うので、俺は適当に「細マッチョ体型」に丸をつけた。いっぽう美波は真剣な表情で全項目を埋めている。
提出後、全身の写真を前後左右から撮影され、「では、完成次第ご記入いただいた住所にお送りします。1ヶ月ほどお待ちください」と言われた。
確かにすぐできるわけない。まあ当然か。
その後、美波とコーヒーショップで奢ってもらったドリンクを飲んだ。
最初は「楽しみだね~。」と話していたが、後半になったらクラスメイトの噂話で盛り上がり、そのまま帰った。
そして、忘れた頃。
宅配で僕に届いた小さな箱。
中を開けると、プチプチで一緒に包まれた2体の人形が入っていた。
「うお、めちゃくちゃリアルじゃん……!」
見本で見たものよりクオリティが高い。
しかも、全身肌色で一緒に包まれていてなんかすごく気まずい。
「リアルすぎるだろ…。」
俺の人形は、「細マッチョ体型」にしたせいで実際より逞しく、腹筋が割れている。
それ以外の全身のバランスは完璧に再現されていてなんか自分の裸を眺めてるようで気まずい。後ろから見たらお尻もプリッとしている。
俺ってこんなにプリケツだったのか…。
表情はちょっと誇らしげ。
極めつけに、ズボンを履かせたらそれっぽく見えるように、股間もモッコリ作られていた。
これはかなり恥ずかしい。
美波の人形は……。
小ぶりな胸のふくらみ、くびれ、小さめのお尻、内股の加減。
僕の人形より肌のキメも細かく表現されているように感じる。
さすがに乳首や股間はつるんと作られているが、それでも妙に艶めかしい。
さらに表情は、なんというか…恥じらっているように見える。
なんだこれ、ヤバい。
あいつ!500円で本気出し過ぎだろ!
「こんなの美波に見せられるか~!」
慌てて人形たちの服を調達するために100円ショップへ向かった。
デッサン人形には共通規格でもあるのか、ぴったりのサイズが売っていた。
俺には執事服、美波にはメイド服を購入。
着せてみると、俺の人形はむしろかっこよくなった。
胸筋が執事の上着を盛り上げていて初めからこのスタイルで完成していたかのようだ。
しかし、美波のメイド服…一見似合っているが…
…スカートが短い。
下から覗くと、肌色のまま。
まるで何も履いていないみたいで逆にヤバい。
「このままでは……まずい……」
家庭科の成績4の俺は、お裁縫スキルを発揮して、家にあった端切れの布で白いパンツを作成した。
結果的にかぼちゃパンツ風に仕上がったが、逆に服装に合っている。
美波の人形に履かせた。
「うん、これでよし……って、よくない!!!」
わざわざ美波人形のパンツを自作するとか、逆に変態を疑われるではないか。
そのとき、タイミング悪く美波からメッセージが届いた。
『あの時の人形、まだ届いてないの?』
早く見せないと。
でも、このままは無理だ。
俺は人形たちの服は破棄して、肌色の状態で別々のビニール袋に入れてプチプチで包むことにした。
こうして別々に見せればそこまで気まずくない。
しかし、その前に……
「せっかくだし、お別れの儀式をするか」
出来心で、俺は2体の人形を向かい合わせ、机の上でおままごとを始めた。
「美波、素敵だよ」
「あなたもよ」
「愛してる…これからは離ればなれね」
「その前に最後のキスをしよう」
人形にポーズを取らせてキスさせたり、抱き合わせたりしているうちに、妙に楽しくなってきた。
最後に俺の人形が美波人形を抱きかかえ、反り返るようにキスするポーズを作った。
王子様とお姫様のクライマックスシーンだ。
なお、お互い肌色。
「よし、完璧……さて、袋に分けるか」
え…取れない。
絶妙に絡み合ったまま取れない!!
無理なポーズを取らせ過ぎたのか?
無理に引っ張ると、ますます食い込んで取れなくなりそうだ。
このままじゃやばい!僕は大パニックに陥った。
そして翌日。
「持ってきてくれた?」
「う、うん……」
「ねえ、もったいぶらないで早く見せてよ」
美波が包みを開ける。
次の瞬間、絶句。
「なにこれ、バラバラじゃない!!!」
彼女の人形は無残にもバラバラ。
もげた首が見せる恥じらいの表情は、どこか愁いを秘めていた。
対して、俺の人形はなぜか無傷で、片手を振り上げ誇らしげに勝利のポーズをとっていた。
「理不尽な殺戮……!」
ただ、両手両足胴体がになったことで美波の人形の艶めかしさは消滅していた。
それから美波にはずっと文句を言われ続けたが、結局俺がコーヒーショップで奢ることで許してもらった。
なんとなくデートみたいでちょっと嬉しい。
モール内を歩いていると、何やら面白そうなブースを発見した。
似顔絵師でも来てるのかな?と一瞬思ったが違った。
「オリジナル3Dデッサン人形作成サービス」とチープなのぼりが立っている。
PCの前に座ったスタッフが何やら作業をしている。
ブースには見本のデッサン人形がいくつか並んでいる。全部の関節が可動式になっていて自由にポーズを取ったり服を着せられるやつだ。
顔はリアルに作られていて、鎧を着て剣を持ってたり、手作りのドレスを着てる。
どうやら顔写真と体型のパターンを選択すると、自分そっくりの20センチほどの人形が作れるらしい。
しかも、今ならペアでお試しワンコイン500円!
「なにこれ、面白そう!やろうよ!」
美波が食いついた。
俺は検討する暇もなく一緒に作ることになった。
「あとでジュース奢るから」と言われて、俺が代表して500円を支払った。
ヒアリングシートには、身長、体重、体型、スリーサイズ、足のサイズ、座高、体毛の濃さなどなど、思った以上に細かい項目があった。
「わからない部分はだいたいでいいですよ」とスタッフが言うので、俺は適当に「細マッチョ体型」に丸をつけた。いっぽう美波は真剣な表情で全項目を埋めている。
提出後、全身の写真を前後左右から撮影され、「では、完成次第ご記入いただいた住所にお送りします。1ヶ月ほどお待ちください」と言われた。
確かにすぐできるわけない。まあ当然か。
その後、美波とコーヒーショップで奢ってもらったドリンクを飲んだ。
最初は「楽しみだね~。」と話していたが、後半になったらクラスメイトの噂話で盛り上がり、そのまま帰った。
そして、忘れた頃。
宅配で僕に届いた小さな箱。
中を開けると、プチプチで一緒に包まれた2体の人形が入っていた。
「うお、めちゃくちゃリアルじゃん……!」
見本で見たものよりクオリティが高い。
しかも、全身肌色で一緒に包まれていてなんかすごく気まずい。
「リアルすぎるだろ…。」
俺の人形は、「細マッチョ体型」にしたせいで実際より逞しく、腹筋が割れている。
それ以外の全身のバランスは完璧に再現されていてなんか自分の裸を眺めてるようで気まずい。後ろから見たらお尻もプリッとしている。
俺ってこんなにプリケツだったのか…。
表情はちょっと誇らしげ。
極めつけに、ズボンを履かせたらそれっぽく見えるように、股間もモッコリ作られていた。
これはかなり恥ずかしい。
美波の人形は……。
小ぶりな胸のふくらみ、くびれ、小さめのお尻、内股の加減。
僕の人形より肌のキメも細かく表現されているように感じる。
さすがに乳首や股間はつるんと作られているが、それでも妙に艶めかしい。
さらに表情は、なんというか…恥じらっているように見える。
なんだこれ、ヤバい。
あいつ!500円で本気出し過ぎだろ!
「こんなの美波に見せられるか~!」
慌てて人形たちの服を調達するために100円ショップへ向かった。
デッサン人形には共通規格でもあるのか、ぴったりのサイズが売っていた。
俺には執事服、美波にはメイド服を購入。
着せてみると、俺の人形はむしろかっこよくなった。
胸筋が執事の上着を盛り上げていて初めからこのスタイルで完成していたかのようだ。
しかし、美波のメイド服…一見似合っているが…
…スカートが短い。
下から覗くと、肌色のまま。
まるで何も履いていないみたいで逆にヤバい。
「このままでは……まずい……」
家庭科の成績4の俺は、お裁縫スキルを発揮して、家にあった端切れの布で白いパンツを作成した。
結果的にかぼちゃパンツ風に仕上がったが、逆に服装に合っている。
美波の人形に履かせた。
「うん、これでよし……って、よくない!!!」
わざわざ美波人形のパンツを自作するとか、逆に変態を疑われるではないか。
そのとき、タイミング悪く美波からメッセージが届いた。
『あの時の人形、まだ届いてないの?』
早く見せないと。
でも、このままは無理だ。
俺は人形たちの服は破棄して、肌色の状態で別々のビニール袋に入れてプチプチで包むことにした。
こうして別々に見せればそこまで気まずくない。
しかし、その前に……
「せっかくだし、お別れの儀式をするか」
出来心で、俺は2体の人形を向かい合わせ、机の上でおままごとを始めた。
「美波、素敵だよ」
「あなたもよ」
「愛してる…これからは離ればなれね」
「その前に最後のキスをしよう」
人形にポーズを取らせてキスさせたり、抱き合わせたりしているうちに、妙に楽しくなってきた。
最後に俺の人形が美波人形を抱きかかえ、反り返るようにキスするポーズを作った。
王子様とお姫様のクライマックスシーンだ。
なお、お互い肌色。
「よし、完璧……さて、袋に分けるか」
え…取れない。
絶妙に絡み合ったまま取れない!!
無理なポーズを取らせ過ぎたのか?
無理に引っ張ると、ますます食い込んで取れなくなりそうだ。
このままじゃやばい!僕は大パニックに陥った。
そして翌日。
「持ってきてくれた?」
「う、うん……」
「ねえ、もったいぶらないで早く見せてよ」
美波が包みを開ける。
次の瞬間、絶句。
「なにこれ、バラバラじゃない!!!」
彼女の人形は無残にもバラバラ。
もげた首が見せる恥じらいの表情は、どこか愁いを秘めていた。
対して、俺の人形はなぜか無傷で、片手を振り上げ誇らしげに勝利のポーズをとっていた。
「理不尽な殺戮……!」
ただ、両手両足胴体がになったことで美波の人形の艶めかしさは消滅していた。
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