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すっかり夢中に
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実現するはずもないのに、僕の頭の中ではアンさんとの妄想が広がっていた。
例えば、日本に彼女を招いて京都や東京を案内する僕。
日本人の友達に「実は彼女ができたんだ」と切り出す僕と、驚きながらも羨ましそうにする友人たち。
さらにはベトナムの街をふたりで手をつないで歩く、映画のワンシーンのようなデートまで。
……そういう空想をしては、妙にリアルに笑いそうになったり、現実にはあり得ないと一人で落ち込んだり。
そして、なぜかネットで「ベトナム人女性の恋愛観」とか「国際結婚の手続き」とかを調べている自分がいた。
「ベトナム人女性は浮気に厳しい」とか「ベトナムのホテルでは未婚の男女は一緒に泊まれない」とか、どう考えてもまだ必要ない情報ばかりなのに、調べずにはいられなかった。
まるで未来の準備をしているかのような自分は、客観視すればひたすら気持ち悪いヤツだ。
妄想を繰り返しながら、僕とアンさんはメッセンジャーでほぼ毎日やり取りをするようになっていた。
お互いカタコトの英語だったけれど、何もかも新鮮だった。
言葉の壁はむしろ、想像力を働かせる余地をくれる。
アンさんは、不定休で例のベトナム料理レストランで働いている。
「早番のあとは女友達とご飯を食べに行くの」と、そんな日常を明るく話してくれる。
休日はウィンドウショッピングを楽しんだり、親戚のパーティーに顔を出したりすることも多いそうだ。
それから、たまに路線バスで12時間以上かけて故郷のフエに帰省するというのも驚きだった。
「バスは大変だけど、たまにLCC(国内線)を使うと、早くて楽だけど高いね」と彼女は言う。
そのリアルな距離感に、「ああ、ベトナムだな」と妙に納得した。
また、意外だったのはアンさんが毎週日曜日に教会の礼拝に通っていることだ。
僕はてっきりベトナム=仏教国のイメージを持っていたけれど、彼女は敬虔なクリスチャンだった。
「日曜日はちょっと忙しいけど楽しいよ」と、彼女らしい無邪気な笑顔がメッセージ越しにも伝わってくる。
25歳といえば日本ではすっかり「大人の女性」だけど、アンさんの話し方や生活は、まるで女子高生みたいにピュアでキラキラしていた。
仕事と友達とのおしゃべり、家族への愛情、ちょっとした贅沢への喜び――そういったすべてが楽しそうで、彼女の周りにはいつも陽だまりがあるような感覚だった。
それがただ羨ましかったのか、それとも彼女のその明るさに惹かれていたのか。
気がつけば、彼女の言葉一つひとつに僕の心は大きく揺さぶられていた。
例えば、日本に彼女を招いて京都や東京を案内する僕。
日本人の友達に「実は彼女ができたんだ」と切り出す僕と、驚きながらも羨ましそうにする友人たち。
さらにはベトナムの街をふたりで手をつないで歩く、映画のワンシーンのようなデートまで。
……そういう空想をしては、妙にリアルに笑いそうになったり、現実にはあり得ないと一人で落ち込んだり。
そして、なぜかネットで「ベトナム人女性の恋愛観」とか「国際結婚の手続き」とかを調べている自分がいた。
「ベトナム人女性は浮気に厳しい」とか「ベトナムのホテルでは未婚の男女は一緒に泊まれない」とか、どう考えてもまだ必要ない情報ばかりなのに、調べずにはいられなかった。
まるで未来の準備をしているかのような自分は、客観視すればひたすら気持ち悪いヤツだ。
妄想を繰り返しながら、僕とアンさんはメッセンジャーでほぼ毎日やり取りをするようになっていた。
お互いカタコトの英語だったけれど、何もかも新鮮だった。
言葉の壁はむしろ、想像力を働かせる余地をくれる。
アンさんは、不定休で例のベトナム料理レストランで働いている。
「早番のあとは女友達とご飯を食べに行くの」と、そんな日常を明るく話してくれる。
休日はウィンドウショッピングを楽しんだり、親戚のパーティーに顔を出したりすることも多いそうだ。
それから、たまに路線バスで12時間以上かけて故郷のフエに帰省するというのも驚きだった。
「バスは大変だけど、たまにLCC(国内線)を使うと、早くて楽だけど高いね」と彼女は言う。
そのリアルな距離感に、「ああ、ベトナムだな」と妙に納得した。
また、意外だったのはアンさんが毎週日曜日に教会の礼拝に通っていることだ。
僕はてっきりベトナム=仏教国のイメージを持っていたけれど、彼女は敬虔なクリスチャンだった。
「日曜日はちょっと忙しいけど楽しいよ」と、彼女らしい無邪気な笑顔がメッセージ越しにも伝わってくる。
25歳といえば日本ではすっかり「大人の女性」だけど、アンさんの話し方や生活は、まるで女子高生みたいにピュアでキラキラしていた。
仕事と友達とのおしゃべり、家族への愛情、ちょっとした贅沢への喜び――そういったすべてが楽しそうで、彼女の周りにはいつも陽だまりがあるような感覚だった。
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気がつけば、彼女の言葉一つひとつに僕の心は大きく揺さぶられていた。
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