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夢のような時間~行動してみるもんだ~
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「ここがサイゴン大聖堂だよ。私は毎週日曜日、ここに礼拝に来るの。」
アンさんが指さして教えてくれるたびに、街の風景が新鮮に見える。
にぎやかな路上居酒屋や、ベトナムらしいカラフルな看板たち。
普段なら観光地としてただ眺めるだけの場所も、彼女の案内が加わることで特別なものに思えた。
女の子のバイクに二人乗りするなんて、日本ではなかなか経験できない。
喧噪とエンジン音の中、ヘルメット越しに会話するので顔がぴったりくっつく。
アンさんとこんな近い距離で過ごすのは当たり前だが初めてだ。心臓が落ち着かない。
アンさんはどう感じてるんだろう。
しばらく市内を走り回った後、アンさんが「コーヒー飲む?」と誘ってくれた。
近くのコーヒーショップに入ろうとしたけれど、あいにく席がいっぱい。
「じゃあ、あそこに行こう。」
彼女が向かったのは、サイゴン大聖堂の前に広がる芝生広場だった。
広場には、多くのベトナム人が腰を下ろして談笑している。
僕とアンさんも並んで芝生に座る。
アンさんは赤いワンピースであぐらの姿勢で座るものだから、中が見えるんじゃないかとドキドキする。
ベトナムではみんなこうなのか、アンさんが僕を男として意識してないのか。
そういえばベトナムの民族衣装のアオザイは下着の線までスケスケになりがちだが、女性はそれ用の下着を着けているので気にしないと調べたことがあった。
ベトナムの女性は下着そのものが見られるだけなら気にしないのかも。
じゃあアンさんは今どんな下着を…。だめだ!いかんいかん。
いつの間にか彼女が席を外してすぐ戻ってきていた。
どこからともなく買ってきてくれたアイスコーヒーを飲みながら、筆談とカタコト英語で会話を交わす。
言葉はぎこちなくても、自然と笑いあえる瞬間が何度もあった。
並んで座る距離の近さもあって、心がじんわり温かくなる。
「アンさん、これ。」
僕はバッグから、あらかじめ用意していた和風の赤いハンカチを取り出した。
誕生日プレゼントだ。
「Wow!」
アンさんは目を輝かせて喜んでくれた。
「私、赤が好き」
またそれを聞いた。
子どものように素直でフレッシュな反応に、僕は狙い通りだと思った。
その後、アンさんは僕をホテルの前まで送ってくれた。
別れ際、「今日は楽しかった」とお互いに話し、名残惜しさを感じた。
どうがんばってもここから僕のホテルの部屋に呼ぶような雰囲気はない。
でも、このまま「ただ観光案内してもらった友達」で終わりたくない。
僕は勇気を振り絞り、彼女の両肩にそっと手を置いた。
そして、唇を近づけ――
彼女が目を閉じてくれれば成功だ…
「NoNo!」
アンさんは笑いながら軽く拒否した。やっぱりダメだった。
恥ずかしさにドキリとしつつも、僕はすぐに気持ちを切り替え、映画の中の紳士のように彼女の手を取り、その甲にキスをした。
「Thank you。」
アンさんはにっこりと笑って答えた。
嫌がられたわけではないけれど、かといって男女を意識されたわけでもない。
曖昧な気持ちのまま、その日はアンさんと別れた。
翌日、僕はまたアンさんに連絡をした。
けれど、彼女からの返事は「今日は会えない」とのこと。
「やっぱり昨日のことで警戒されちゃったのかな……。」
そう覚悟しつつも、少し落ち込んだ。
その日は普通に観光を楽しみ、最終日の予定を頭の中で整理する。
昼食は、アンさんが働いているレストランで食べるつもりだ。
そして、夜の便で日本に帰国する。
残された時間の中で、僕とアンさんの関係は少しでも進むのか。
そんな期待と不安が入り混じる中、僕の旅の終わりが近づいていた。
アンさんが指さして教えてくれるたびに、街の風景が新鮮に見える。
にぎやかな路上居酒屋や、ベトナムらしいカラフルな看板たち。
普段なら観光地としてただ眺めるだけの場所も、彼女の案内が加わることで特別なものに思えた。
女の子のバイクに二人乗りするなんて、日本ではなかなか経験できない。
喧噪とエンジン音の中、ヘルメット越しに会話するので顔がぴったりくっつく。
アンさんとこんな近い距離で過ごすのは当たり前だが初めてだ。心臓が落ち着かない。
アンさんはどう感じてるんだろう。
しばらく市内を走り回った後、アンさんが「コーヒー飲む?」と誘ってくれた。
近くのコーヒーショップに入ろうとしたけれど、あいにく席がいっぱい。
「じゃあ、あそこに行こう。」
彼女が向かったのは、サイゴン大聖堂の前に広がる芝生広場だった。
広場には、多くのベトナム人が腰を下ろして談笑している。
僕とアンさんも並んで芝生に座る。
アンさんは赤いワンピースであぐらの姿勢で座るものだから、中が見えるんじゃないかとドキドキする。
ベトナムではみんなこうなのか、アンさんが僕を男として意識してないのか。
そういえばベトナムの民族衣装のアオザイは下着の線までスケスケになりがちだが、女性はそれ用の下着を着けているので気にしないと調べたことがあった。
ベトナムの女性は下着そのものが見られるだけなら気にしないのかも。
じゃあアンさんは今どんな下着を…。だめだ!いかんいかん。
いつの間にか彼女が席を外してすぐ戻ってきていた。
どこからともなく買ってきてくれたアイスコーヒーを飲みながら、筆談とカタコト英語で会話を交わす。
言葉はぎこちなくても、自然と笑いあえる瞬間が何度もあった。
並んで座る距離の近さもあって、心がじんわり温かくなる。
「アンさん、これ。」
僕はバッグから、あらかじめ用意していた和風の赤いハンカチを取り出した。
誕生日プレゼントだ。
「Wow!」
アンさんは目を輝かせて喜んでくれた。
「私、赤が好き」
またそれを聞いた。
子どものように素直でフレッシュな反応に、僕は狙い通りだと思った。
その後、アンさんは僕をホテルの前まで送ってくれた。
別れ際、「今日は楽しかった」とお互いに話し、名残惜しさを感じた。
どうがんばってもここから僕のホテルの部屋に呼ぶような雰囲気はない。
でも、このまま「ただ観光案内してもらった友達」で終わりたくない。
僕は勇気を振り絞り、彼女の両肩にそっと手を置いた。
そして、唇を近づけ――
彼女が目を閉じてくれれば成功だ…
「NoNo!」
アンさんは笑いながら軽く拒否した。やっぱりダメだった。
恥ずかしさにドキリとしつつも、僕はすぐに気持ちを切り替え、映画の中の紳士のように彼女の手を取り、その甲にキスをした。
「Thank you。」
アンさんはにっこりと笑って答えた。
嫌がられたわけではないけれど、かといって男女を意識されたわけでもない。
曖昧な気持ちのまま、その日はアンさんと別れた。
翌日、僕はまたアンさんに連絡をした。
けれど、彼女からの返事は「今日は会えない」とのこと。
「やっぱり昨日のことで警戒されちゃったのかな……。」
そう覚悟しつつも、少し落ち込んだ。
その日は普通に観光を楽しみ、最終日の予定を頭の中で整理する。
昼食は、アンさんが働いているレストランで食べるつもりだ。
そして、夜の便で日本に帰国する。
残された時間の中で、僕とアンさんの関係は少しでも進むのか。
そんな期待と不安が入り混じる中、僕の旅の終わりが近づいていた。
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