視界を変えれば、人生が変わる…かもしれない(僕のド近眼物語)

もっくん

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視力0.5 ゲームのために近眼を隠した小学生時代

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僕は目が悪かった。近眼だ。

目が悪いというのは、想像以上に不便なことだと思う。なのに、世の中はこの問題をやたら軽く見ている気がする。たとえば、メガネをかけている人の家が被災してメガネが壊れてしまったら?コンタクトをなくしたら? ほぼ何もできない。海外旅行中に置き引きに遭ってメガネが無くなったら?

例えば僕が強盗で、寝静まったお金持ちの家に押し入ることになったとする。ターゲットのお金持ちが近眼という情報を予め持っていたとする。
押し入った僕は真っ先にターゲットのメガネを破壊するだろう。メガネが無くなった相手の戦闘力がゼロになることを僕はよく知っている。
あ、例えばの話なので強盗の予定は無いのでご安心を。

そんな近眼にとっての生命線なのに、メガネは時として「ファッションアイテム」として扱われがちだ。いやいや、こっちは命綱なんですけど? もっと重大な障害として認識されてもいいんじゃないか。メガネそのものに保険適用だってアリだろう。
メガネがなければ「ただの目が悪い人」ではなく「見えない人」になるのに。

…まあ、世のメガネ族はそれで納得してるっぽいから、これ以上は言わないでおく。コンタクトレンズも同様だ。とにかく視力が悪いことは、思っている以上にサバイバル能力を奪うのだ。
視力が良かったら味わわなくてもいい苦労、支払う必要のなかったコストは無数にある。


さて、僕がなぜ「目が悪かった」と過去形で語ったか? その理由は、後ほど明らかにする。


僕が視力の悪化に気づいたのは、小学校低学年の健康診断だった。
視力検査で、すでに黒板の文字が霞んで見えていた。おそらく、その頃の視力は0.5くらいまで落ちていたと思う。

近眼は放っておいても良くならない。
普通ならこのタイミングでメガネデビューするのが筋だ。
だが、当時の小学校では「メガネ=ガリ勉・根暗キャラ」という暗黙のレッテルが存在していた。
今思えば、実際はそこまでじゃなかったかもしれない。
でも、少なくとも僕だけは勝手にそう思い込んでいて、メガネを回避することに全力を注いだ。

視力検査では、目を細めて必死に勘で答える。
黒板が見えないか先生に聞かれても「見えます!」と答える。
実際は読めない文字を適当に埋めて、なんとかその場をしのいでいた。
授業中に見えないと認めるくらいなら、「答えがわかりません。」と答えたこともしばしばあった。

そして、メガネをかけたくないもう一つの理由が、我が家の無駄に厳しい家庭事情だった。
僕の母親は「ゲームのやりすぎで目が悪くなる」と信じて疑っていなかった。
小学校低学年の僕は、まだゲーム機を買ってもらえていなかったが、そこでもしこの時点でメガネをかけたら? 未来永劫、ゲームを買ってもらえなくなることは明白だった。
まずゲームを持ってないクラスメイト自体が僕を含めて数人程度だ。

僕にとって、近眼を認めないことはゲームを手に入れて最低限の人権を得るための戦略だった。

今になって振り返ると、そもそもゲームをやってない時点で近眼になってるんだから、僕の近眼とゲームに因果関係なんて無いことは明らかだ。
親戚一同見渡しても全員眼鏡なんだから、小学生の僕が近眼になった理由は遺伝に決まってる。
近眼の運命を背負って生まれてきた僕を不憫に思った親が真っ先にゲームを買い与えてくれるのが普通だ。

そんな僕でもついに、高学年になってやっと念願のゲーム機をゲットした。
僕の願いが母親に聞き入れられたというよりは、僕がゲームやりたさに友達の家に入り浸り世間体が悪くなったというのが実情だろう。「あの子の家ってゲームも買えないくらい貧乏なのかしら。」とか言われたのかも。
でもやっとのことでゲットしたのは旧型機だ。周囲よりも明らかに遅い周回遅れのデビューだった。さらに母親は「一日30分」という厳しいプレイ時間制限を課してきた。
30分なんて、アクションゲームならチュートリアルを終えたら終了、RPGでもダンジョン1個もクリアできないのでセーブすらままならない。実情をわかっていない母が決めたルールはもはや拷問であった。
すみません。近眼の本題と関係ない愚痴を書いてしまいました。

そんな事情もありながら、ゲームをやり始めた途端にさらに近眼が進行したという事態は避けなければいけない。
どうしても近眼を認められない僕は「黒板? 見えてます。」と言い張り、小学校生活を乗り切った。

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