うどん大食いチャレンジ体験談

もっくん

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鬼門となる原因考察

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外から店内の様子が丸見え。
これこそが、あのテナントが鬼門と化している最大の所以なのだと思う。一見するとメリットに見えるこの店内構造。駅の利用者なら、誰でも一度はあの店内をホームから横目に見ている。入口の上に掲げられた派手な看板がパッと目に飛び込んでくる上に、ガラス張りで明るい店内がよく見えるので、「あ、新しい店ができたな」という情報が、ほぼ強制的に脳へ入力されるのだ。

オープン直後は、ある程度は客が入っている。「へぇ、わかめラーメン専門店?おもしろそうじゃん」とか「激辛?入門~浄化って何だよ。ネタで入ってみるか。」とか、興味をそそられるのだろう。僕もまた、どちらかといえば最初の数日だけ客が多い現象の構成員であった。
しかし、オープンから一週間もすれば風景は激変する。昼時や夕飯時に駅前を通りかかると、店内には一人、もしくは二人の客。カウンター席が広々と、いや、寂しげに見える。その様子が外から丸見えなので、「あれ?ぜんぜん客いないじゃん」「あ、これやっぱり不味かったパターンだな」と勝手に判断してしまい、わざわざ入店しようと考える人が激減する。

立地だけ見れば「バスターミナルの向かい側なら人の流れがあるし、悪くないじゃん」と思うのだが、これがまた微妙に良くない。入店するには、どうしてもバスターミナルをぐるっと回らねばならず、かといって最短距離で行こうとするとバスロータリーを横切る必要がある。当然ながら交通違反である。そこまでして一直線にわかめラーメンに向かうほど人は冒険心が強くない。

正規ルートで行こうとすると、右から回るにしても左から回るにしても、必ずと言っていいほど大手ハンバーガーチェーンや大手中華料理チェーンの前を通ることになる。これが致命的だ。いくら酔狂な客が「あ、わかめラーメン今日も空いてるし入ってみるか」と思い立っても、その途中で安心と実績のチェーン店の誘惑に出会ってしまうのだ。
「やっぱり知ってる味にしとくか」人間とは弱い生き物である。
そりゃ見知らぬわかめラーメンより、意外性はなくとも確実に一定レベルの美味しさが分かっている店へ流れていくのは当然だ。

こうして、テナントの前まで到達する前に人々の心は折れ、わかめラーメンは選ばれない宿命を背負わされてしまう。気づけば数ヶ月後にはシャッターが下りている。あの店が短命に終わったのは、味がどうこう以前に、立地と動線と匂いの罠に負けてしまったからなのだ。
便宜上わかめラーメンばかりをやり玉に挙げたが他の短命店舗も同様であった。

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