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従者用に与えられた自室に戻り、寝る支度を済ませてベッドにもぐった。
ジェードの住んでいた部屋のものよりもベッドはふかふかだった。もちろん王族のものとは比べ物にならないけど、従者用でもそこそこいいものにしてるんだな……ホテルの1人部屋ぐらいの広さだけどちゃんと1人ずつ部屋も用意してあるし、飯もまかないみたいな残り物だけど美味い。
なかなかホワイトな仕事なのかもしれない……というか町の人も城の人も気ままに楽しそうに仕事してるし、平和だな……いい世界観だ。
こんな感じで過ごしてて、肝心のゲームのストーリーは進んでいるのだろうか。
イーディス王子は攻略キャラの1人だ。主人公が誰かわからないが、主人公と会えばきっとそいつと恋に落ちる。俺は従者のままでいられるかもしれないけど……王子は他のやつとくっつくんだなあ……
どうしてかモヤモヤする。顔を眺めるだけで幸せだと思ってたのに、誰かのものになってしまうと考えるとギュッと胸が痛んだ。
「……寝よう」
考えてもどうにかなるもんじゃない。もともとそういうストーリーなんだ。
*
朝6時に起床し、朝食を食べ仕度を済ませた。他の従者やメイドが掃除道具を持ったり洗濯物を抱えたり、忙しそうに廊下をかけていく中、俺はイーディス王子の部屋の扉をノックした……が、返事がない。
「おはようございます。イーディス王子」
昨日イオさんから7時に王子を起こすよう聞いた。時計もズレてない。
「……王子?」
不思議に思い、扉をそっと開けると部屋の中はまだ暗かった。遮光カーテンの隙間からうっすら光が漏れている。
……もしかしてまだ寝てる……?
天蓋付きの豪華なベッドまで足音をたてないようこっそり近づくと、ふかふかの大きな布団に埋もれてイーディス王子は寝息をたてていた。
「ウ"ぐぅッ……」
やばい顔がいい…………ッ!!可愛い!! 寝顔の破壊力たるや……!!
変な声でたし、思わず心臓を押さえた。よかった~~王子が寝てて。さすがに気持ち悪がられる。ゴホン、と咳払いをし布団を掴んだ。
「王子、起きる時間です。王子!」
何度声をかけても揺すってもうーん……と声をもらすだけで全く目を開けない。
あっ……!? イーディス王子のプロフィールに書いてあった苦手なもの、「朝」だった気がする……! それがふと頭に浮かんだ。
これか……イオさんの言っていた、苦労するってのは!
「王子! イーディス王子!」
「……うるさい……」
ようやく聞こえた声はめちゃくちゃ機嫌が悪そうだ。怒号が飛んできそうだが怯むわけにはいかない。
「起きていただかないと困ります! あなたを起こすのが私の仕事なんですか……ら……っ」
腕を掴まれたと思った瞬間には視界は反転し、ベッドに引きずり込まれていた。
「おおお王子!? なにを……!」
「うるさいからだまれ……」
「俺は目覚まし時計じゃありませ……むぐ」
「まだねる……」
ベシベシ頭を叩かれた後、黙らせるようにぎゅっと抱きしめられた。心臓がありえないほど速くなる。この状況やばいやばいやばい!
「だっだめです! 起きてください……イオさんに怒られます! 俺が!」
王子の胸に押さえつけられていた顔をどうにか離して抗議をする。
「おまえもいっしょにおこられろ……」
「王子は怒られるの確定なんですか……」
「なれた……」
「寝坊しまくってるじゃないですか! ってもう寝てる……!?」
すやすやと静かな寝息が聞こえて王子がもう一度寝たことを察した。
まじかよ、どうしよう……!
とにかく離してもらわないと、大好きな顔の男にベッドで抱きしめられるとかなんかもうやばい、いろいろとやばい!
「お、王子……!」
少し身じろぎしてみるが、さらに抱きしめる力が強くなった。これ逃げられない、完全に抱き枕にされている。
あったかくて、いい匂いがする……
気持ち良さそうに寝てる王子の呼吸と心臓の音が一定の速度を刻んでいて、心地がいい。
だめだ、俺まで眠くなってきた……
ジェードの住んでいた部屋のものよりもベッドはふかふかだった。もちろん王族のものとは比べ物にならないけど、従者用でもそこそこいいものにしてるんだな……ホテルの1人部屋ぐらいの広さだけどちゃんと1人ずつ部屋も用意してあるし、飯もまかないみたいな残り物だけど美味い。
なかなかホワイトな仕事なのかもしれない……というか町の人も城の人も気ままに楽しそうに仕事してるし、平和だな……いい世界観だ。
こんな感じで過ごしてて、肝心のゲームのストーリーは進んでいるのだろうか。
イーディス王子は攻略キャラの1人だ。主人公が誰かわからないが、主人公と会えばきっとそいつと恋に落ちる。俺は従者のままでいられるかもしれないけど……王子は他のやつとくっつくんだなあ……
どうしてかモヤモヤする。顔を眺めるだけで幸せだと思ってたのに、誰かのものになってしまうと考えるとギュッと胸が痛んだ。
「……寝よう」
考えてもどうにかなるもんじゃない。もともとそういうストーリーなんだ。
*
朝6時に起床し、朝食を食べ仕度を済ませた。他の従者やメイドが掃除道具を持ったり洗濯物を抱えたり、忙しそうに廊下をかけていく中、俺はイーディス王子の部屋の扉をノックした……が、返事がない。
「おはようございます。イーディス王子」
昨日イオさんから7時に王子を起こすよう聞いた。時計もズレてない。
「……王子?」
不思議に思い、扉をそっと開けると部屋の中はまだ暗かった。遮光カーテンの隙間からうっすら光が漏れている。
……もしかしてまだ寝てる……?
天蓋付きの豪華なベッドまで足音をたてないようこっそり近づくと、ふかふかの大きな布団に埋もれてイーディス王子は寝息をたてていた。
「ウ"ぐぅッ……」
やばい顔がいい…………ッ!!可愛い!! 寝顔の破壊力たるや……!!
変な声でたし、思わず心臓を押さえた。よかった~~王子が寝てて。さすがに気持ち悪がられる。ゴホン、と咳払いをし布団を掴んだ。
「王子、起きる時間です。王子!」
何度声をかけても揺すってもうーん……と声をもらすだけで全く目を開けない。
あっ……!? イーディス王子のプロフィールに書いてあった苦手なもの、「朝」だった気がする……! それがふと頭に浮かんだ。
これか……イオさんの言っていた、苦労するってのは!
「王子! イーディス王子!」
「……うるさい……」
ようやく聞こえた声はめちゃくちゃ機嫌が悪そうだ。怒号が飛んできそうだが怯むわけにはいかない。
「起きていただかないと困ります! あなたを起こすのが私の仕事なんですか……ら……っ」
腕を掴まれたと思った瞬間には視界は反転し、ベッドに引きずり込まれていた。
「おおお王子!? なにを……!」
「うるさいからだまれ……」
「俺は目覚まし時計じゃありませ……むぐ」
「まだねる……」
ベシベシ頭を叩かれた後、黙らせるようにぎゅっと抱きしめられた。心臓がありえないほど速くなる。この状況やばいやばいやばい!
「だっだめです! 起きてください……イオさんに怒られます! 俺が!」
王子の胸に押さえつけられていた顔をどうにか離して抗議をする。
「おまえもいっしょにおこられろ……」
「王子は怒られるの確定なんですか……」
「なれた……」
「寝坊しまくってるじゃないですか! ってもう寝てる……!?」
すやすやと静かな寝息が聞こえて王子がもう一度寝たことを察した。
まじかよ、どうしよう……!
とにかく離してもらわないと、大好きな顔の男にベッドで抱きしめられるとかなんかもうやばい、いろいろとやばい!
「お、王子……!」
少し身じろぎしてみるが、さらに抱きしめる力が強くなった。これ逃げられない、完全に抱き枕にされている。
あったかくて、いい匂いがする……
気持ち良さそうに寝てる王子の呼吸と心臓の音が一定の速度を刻んでいて、心地がいい。
だめだ、俺まで眠くなってきた……
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