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第二章 三品目 おいもの”ちゅるちゅる”
12 いざ実食……!
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じゃがいもの半分以上は奈々が切ったため、ほとんどがきしめん状態だった。そのためか、天ははじめ怪訝な目で皿を見つめていた。
そうなるだろうと予想していたのか、奈々は竹志が切ったそうめん状の細いじゃがいもをよそってあげた。それを見た天は、ぱっと顔を綻ばせて……
「ちゅるちゅるや!」
そう叫んだ。そして、吸い込まれるように皿を見つめていたかと思ったら、いきなり箸を掴んでてんこ盛りのじゃがいもに突き刺した。
器用に数本掴んで口に運び入れると、ずるずるっと音がしてすすっていた。
(なるほど、確かに麺みたいな感じだな)
竹志がそんなことを思う間に、天はもぐもぐ食べて飲み込んだ。すると……
「ちゅるちゅるや!」
満面の笑みと、嬉しそうな声が居間に響く。ほっと胸をなで下ろしたのは竹志だけではなかった。
奈々はほっとして、自分も箸をとった。自分の皿には、奈々自身が切ったきしめん状のものをとっている。
「これは美味いな」
「うん。久々に食べられたわ。お母さんが言ってた通り、じゃがいもも美味しい!」
奈々や天の前では親子和やかにするという暗黙の了解らしく、野保も晶もにこにこしながら食べている。
野保と晶に口々が口々にそう言うと、奈々は嬉しそうに聞いていた。
「うん……おばちゃんのお料理は、全部美味しいですね」
そう言うと、奈々もちゅるちゅるとすするようにじゃがいもを食べた。
天は細いじゃがいもをあっという間に食べ終わると、奈々の皿に入っているきしめん状のそれをじっと見つめていた。
「どうしたん? もっと食べる?」
奈々がそう尋ねると、天はがばっと大きく頷いた。
「そっちも食べたい」
大皿にはまだ細いジャガイモが残っていたのだが、天は他の皆が食べているものと同じじゃがいもを指して、そう言った。
奈々は戸惑いながらも、同じ太い方をよそってあげた。すると天は先ほどと変わらない勢いでじゃがいもを食べていく。そして……
「ぶっといちゅるちゅるや!」
そう言って、またしてもあっという間に皿を空にしてしまうのだった。
「おかわり!」
そう言って、皿を差し出す。なんだか大皿の中のしりしりを全部食べ尽くしてしまう勢いだった。天のその様子を見ていると、竹志も野保も晶も、自分たちまで食欲が増してくるのを感じていた。
「我々も食べよう。こんなに美味しいんだからな」
「そうね。たくさん作ってくれたから、皆で、たくさん食べましょう」
「足りなかったらまた作ります。幸い、じゃがいもはたっっっくさん、ありますから」
「ホンマに!?」
その言葉に最も早く反応したのは、言うまでもなく天だった。奈々はそんな天を見てほっとしつつ、クスクス笑いながらそっと座らせた。
「天ちゃん、いっぱい食べてもいいけど、あんまり食べ過ぎたらお腹痛くなるで。明日、何も食べられんようになってもええの?」
「うーん……明日もたべたい」
「そうやろ? それやったら、次のおかわりでおしまいにしとき。な?」
「……うん。ねね、また作ってくれる?」
天が奈々の瞳をじっと見つめる。
「えっと……この、太い方のちゅるちゅるで良かったら……」
「ぶっとい方のちゅるちゅる好きやで! 作って!」
「そう……そっか。うん、ほな、また作ったげる」
奈々は天の皿を受け取り、山盛り、よそってあげた。天が美味しそうにすすって食べる様を、皿が空になるまで、温かな視線でじっと見つめていたのだった。
そうなるだろうと予想していたのか、奈々は竹志が切ったそうめん状の細いじゃがいもをよそってあげた。それを見た天は、ぱっと顔を綻ばせて……
「ちゅるちゅるや!」
そう叫んだ。そして、吸い込まれるように皿を見つめていたかと思ったら、いきなり箸を掴んでてんこ盛りのじゃがいもに突き刺した。
器用に数本掴んで口に運び入れると、ずるずるっと音がしてすすっていた。
(なるほど、確かに麺みたいな感じだな)
竹志がそんなことを思う間に、天はもぐもぐ食べて飲み込んだ。すると……
「ちゅるちゅるや!」
満面の笑みと、嬉しそうな声が居間に響く。ほっと胸をなで下ろしたのは竹志だけではなかった。
奈々はほっとして、自分も箸をとった。自分の皿には、奈々自身が切ったきしめん状のものをとっている。
「これは美味いな」
「うん。久々に食べられたわ。お母さんが言ってた通り、じゃがいもも美味しい!」
奈々や天の前では親子和やかにするという暗黙の了解らしく、野保も晶もにこにこしながら食べている。
野保と晶に口々が口々にそう言うと、奈々は嬉しそうに聞いていた。
「うん……おばちゃんのお料理は、全部美味しいですね」
そう言うと、奈々もちゅるちゅるとすするようにじゃがいもを食べた。
天は細いじゃがいもをあっという間に食べ終わると、奈々の皿に入っているきしめん状のそれをじっと見つめていた。
「どうしたん? もっと食べる?」
奈々がそう尋ねると、天はがばっと大きく頷いた。
「そっちも食べたい」
大皿にはまだ細いジャガイモが残っていたのだが、天は他の皆が食べているものと同じじゃがいもを指して、そう言った。
奈々は戸惑いながらも、同じ太い方をよそってあげた。すると天は先ほどと変わらない勢いでじゃがいもを食べていく。そして……
「ぶっといちゅるちゅるや!」
そう言って、またしてもあっという間に皿を空にしてしまうのだった。
「おかわり!」
そう言って、皿を差し出す。なんだか大皿の中のしりしりを全部食べ尽くしてしまう勢いだった。天のその様子を見ていると、竹志も野保も晶も、自分たちまで食欲が増してくるのを感じていた。
「我々も食べよう。こんなに美味しいんだからな」
「そうね。たくさん作ってくれたから、皆で、たくさん食べましょう」
「足りなかったらまた作ります。幸い、じゃがいもはたっっっくさん、ありますから」
「ホンマに!?」
その言葉に最も早く反応したのは、言うまでもなく天だった。奈々はそんな天を見てほっとしつつ、クスクス笑いながらそっと座らせた。
「天ちゃん、いっぱい食べてもいいけど、あんまり食べ過ぎたらお腹痛くなるで。明日、何も食べられんようになってもええの?」
「うーん……明日もたべたい」
「そうやろ? それやったら、次のおかわりでおしまいにしとき。な?」
「……うん。ねね、また作ってくれる?」
天が奈々の瞳をじっと見つめる。
「えっと……この、太い方のちゅるちゅるで良かったら……」
「ぶっとい方のちゅるちゅる好きやで! 作って!」
「そう……そっか。うん、ほな、また作ったげる」
奈々は天の皿を受け取り、山盛り、よそってあげた。天が美味しそうにすすって食べる様を、皿が空になるまで、温かな視線でじっと見つめていたのだった。
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