現代摩訶不思議詩集

yoh_okazaki

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生まれた日から死ぬ日まで

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生まれた日から死ぬ日まで
わからない孤独を
引きずっていく黒い影
自由とはこのとき空を飛ぶ
鳥のような姿だと
あなたはおしえた
わたしに

それならば翼のないかたちの
わたしたちはどうやって
孤独という重石をひきちぎり
空へと向かうのですか
どうやって?

あなたの撃ち落とした雲雀
血まみれの小さな生き物
あれだって、
誰かの自由では
なかったのですか
あの小さな温かな
血まみれの雲雀

失くしていくことを怖れるあまり
わたしたちは傲慢に
なりすぎたようです
ひとの翼をむしり取り
ひとより高く飛ぼうとしてた
鳥の時代の淡いまぼろし
緑色の鳥
名も無い鳥

つめたい風がつよく吹き
軽いものは飛ばされていく
それを負けだと笑ったあなたの
金の首輪を見ていました
激しく磨かれた尖った剣で
刺し殺していく
向かい風のような時間
ただ慌ただしくさばいていく
日常という重石

飛ぶはずのない生き物
わたしたちは夢を見ました
生まれたからには死ぬ日まで
生きるということを忘れたけど
忘れたけれど
やっているのは
それしかすることがないから
やめたら死ぬ日だから
へんてこでも飛べなくても
生きている

なんて嘘つきな風
そして嘘つきなあなた
大切なことはそう多くはない
飛べないわたしたちは歩く
絶望を背負っても生きる
どんなに孤独だとしても
ひとりひとりに声があるのは
最終的に
自分を呼ぶためだろう
黒い塊のような小さい影
大丈夫だから生きている
生まれたからには
死ぬ日はわからなくても
たとえ明日でも
今ではない

意味などという
よりどころはないと知る
生まれたことは
風が吹き
水が流れることのように
当たり前に起こる
自分の命だけが特別に
できているなんて
思い上がらないこと
そしてすぐ殺さないでほしい
それもよくあること

ひとたちといたときは悲しかった
飛べない鳥はいらないと
最初から相手にしてもらえず
わっと飛び立つひとたちの
軽い身体に憧れた
悩みのないいのち
生きていることがつらくない
ひとびとの群れ
むしろ楽しい束縛と
屈託なく笑えるつよさは
集団だからなのかな
もはや生きるも死ぬもなく
水のように循環するいのち

燃えているもの
燃やす力を与えている
あたためているもの
熱はどこから来るんだろう
太陽
グレイテスト太陽

ときはまわる
風は吹き返す
舞い上がれば舞い戻るだろう
生まれた理由がないのだから
わたしたちの孤独は最初から
抱きしめられるように
孤独から?

わからない
知りたくもない
死ぬ日が来れば
死ぬのだろう
それまでの緩慢な時間に
孤独だとしても
だからなのかな
おしえられたことは全部
ごまかしに過ぎない
引きずっても羽ばたいても
同じなのかな
運命
というのがあるとして
知りたくなくても
知らされる
鐘のように
鳴り響く

その時が来れば
どこにいても
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