現代摩訶不思議詩集

yoh_okazaki

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自転車に乗って

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生きているわたしの
スピードは自転車で
ちょうどいい
リュックにつよく荷物を背負う
ペダルに込める脚の力
そんな感じが好きだった

歩いてるきみを後ろから
自転車で追い抜いて
すれ違いざまの告白
思えばあれが最高の
すれ違いだった

きみに追いつきたかった
何もかもが速すぎる
わたしたちとは別の
外の風景
時代と世代
わたしは
仕事場までは電車を使う
駅までは歩く

そんな毎日のうち
きみと会えるのも
週に一度か二度くらい
それだって
話せるかはわからない
奇数だからって
素数とは限らないもの
理学部数学科出身の
きみの好きな素数に
嫉妬しちゃうぞ

人との関わり方が
どこか甘いわたしのこと
きみを好きって思っているの
みんなにバレるのは
そのうちだろうな

それもまず
きみにじゃなく
うわさ好きな誰かが気づく
そしてすぐに広まる
きみにも届くだろう
迷惑かな
なんて考えてる

うわさの餌食となるのは
わたしはいいけど
きみはそんなんじゃない
ちゃんとした人だから
ちゃんと否定するんだろうな
わたしのこと
どうとも思ってないって

思い込みがはげしい
のはわたしの悪いクセで
しかも低温やけどなのです
気づいたときには
深く恋い焦がれていた

今日はきみに
数学てきに
生意気なことを言って
ちょっと困らせたかな
たまにはそういう
いじわるをするの
それも悪いクセ
かわいくないな

かわいくなくてもいい
ただ認められたかった
たまにはね
難しい数学の話
教えてもらうばっかり
それもうれしいけど
たまにはね
手ごたえっていうか

やるじゃん
って思ってほしかった
どう思ったかは
わからないけどね
そんな日のこと
きっともう忘れてるね
寝てる時間だし
ああ、きみの夢に
出演したいな、
なんてバカみたいなことを
思うのも真夜中だから
かなあ

自転車で行く
かいもの、あそび
ただ走るだけ
そんな日もある
ちょっとうたいながら
ちょっと
はにかみながら

そのスピード
雲ひとつない
そらのあおいろ
冷たい冬の風が
手袋にしみて
白い息が
ほおを染めても

自転車は止まらない
走りつづけなければ
わたしたちは
倒れてしまう
脆い存在だから

きみは寂しくないの
虚数って便利だよね
虚しさは不利だけど
かなしくなります

円周率なら三十桁まで
覚えたけれど
まるで使い道がない
自転車のタイヤを回す
チェーンに潜む
円周率

クルマの免許は
取ったけど流した
もう
わたしはクルマを
運転することはないだろう
自転車で十分
それもちょっと
きつくなってきたけどね

軋む車輪に
力を込めて
きみにだったら
愛を込めて
今日もわたしは
自転車のペダルを踏む
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