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やっと昼休み。僕は塾に通っていて少し先の範囲を今やっているから学校の授業はとても退屈だ。
周りのいわゆる陽キャたちが学食に走って行ったりお弁当をどこで食べようか相談したりしている。
幸運にも僕の席は席替えで窓際の1番前で端っこだから席が借りられることもない。欲を言うなら後ろが良かった。
家でも食事中は会話はしないで静かだ。だから静かな場所で食べたい。ファミレスとかは苦手。
静かな場所で食べたいから陰キャあるあるかもしれない便所飯をしてみようかと思ったけれど、トイレだけは私立のくせに狭くて汚い。お金はあるはずだから早く工事をしてほしい。でもどうやって広げるのだろう。それが難しくて狭いままなのかもしれない。いざ食べてみようと思うと予想以上におしっこ臭くて弁当が食べられたもんじゃない。
それに僕にはちょっとしたトイレの個室へのトラウマがある。
上から水をかけられたとかドラマでよく見るようないじめではなくて多分誰もが小学生の頃にやったしやられたはず。
ウンコマンだ。
急いで用を済まそうと思ってもやっと終わったと言う時に限って人がやってきて、大体が連れションばかりだからまずノックされてだれですかと聞かれ、答えるわけもなく黙っているとドアをどんどん叩き出す。壊れるかと思うくらいに。
しつこいやつらだから一向にいなくならない。だから仕方なく個室から出るとウンコマンと煽られる。一日中ウンコマン扱いになる。
その頃は僕もクラスに馴染むとか友達がいるいないとか考えていなかったけれどクラスの輪には入れていたからウンコマンと煽る側にもなったりしていた。
しかし僕はよくお腹をこわすせいもあってよくウンコマンになっていた。だから流石にウンコマンと煽ってくる高校生がいないとは思うけれど思うだけでいるかもしれないし、クラスで浮いている僕だから言われるかもしれない。
そんなトイレの臭さとバカみたいなトラウマと考えで便所飯は諦めて結局教室で一人でお弁当を食べることにしていたのだが......
「小野先輩は今日も一人でお弁当ですか?小野先輩だからしようがないか。」
今日もまた坂田がやってきた。
最近僕の静かな食事(周りは騒がしいが気にならなくなった)を邪魔する後輩がいるのだ。
「なんだお前またきたのか。同級生に友達がいないわけじゃないだろ?同級生と仲良くお弁当食べてろよ。」
「もぉ~先輩最近冷たくないですか?」
「そんなお前と仲良くなったつもりはない。」
「えー冷たーい。しょうがないから一緒にお弁当食べてあげますよ。」
「だから、同級生と食ってろって。」
「こんなにかわいい後輩が一緒に食べようって言ってるんですからいいじゃないですか。」
そう言ってでかい胸を突き出してきた。自分で自分の胸のでかさをわかっているのだろうか。わざとじゃなければ痴女なのかもしれない。わざとやってきていても何が目的なんだ。
「しょうがない。一緒に食べてやるよ。」
「食べてやるよとか言っちゃって~。食べてくださいでしょ?」
「うるせえ。」
あははと一人で笑っている。釣られて笑いそうになったが堪えた。
毎回こうやって坂田に押されて結局は一緒にお弁当を食べてしまっている。
別に一緒に食べることは問題ないのだけれど周りの視線が怖い。後輩に手を出したのとか、年下が好きなのかとか言われているようで周りが気になってしょうがない。
そのことに弁解する勇気もないし誰かにどういう関係なのと聞かれることもないから周りからどんな風に思われているのかわからない。
お弁当を食べている間、坂田は色々話しかけてくるが適当に流している。
お弁当を食べ終わりそれでも坂田は帰らない。予鈴が鳴るまでずっと話しかけてくるのだ。よく話が尽きないなと思う。
予鈴が鳴った。
「それじゃあ先輩また明日もきますね。」
そう言って教室から走ってでて行った。
授業が終わってやっと帰れる。そう思ったとき奴は現れた。
また坂田だ。
「先輩、一緒に帰りましょ。」
部活動に参加していないがすぐに家に帰ってから塾に行く。だからそんなに後輩と遊んでる時間もない。
無視して教室をでて廊下を歩いていると黙ってついてくる坂田と一年生の教室が見えた。まだSHRの最中だった。
「おい、お前なんでここにいるんだ?まだホームルームやってるじゃねえか。」
「あちゃ、サボったのがバレちゃいましたか。」
そう言って自分の頭を拳で軽く小突く。
「ホームルームくらいサボるほどじゃないだろ。」
「先輩と一緒に帰るためにサボってきたんですよ」
そこでの上目遣いはずるい。
「なに顔赤くしてるんですか?まさか私に惚れちゃいました?」
変に答えて誤解を招くのも嫌だから黙ることにした。
「あれ、シカトですか?素直になったほうがいいですよ。満更でもないのに」
「そんなこと後輩から言われたくねえよ」
先輩好きな食べ物はなんですか?お弁当はだれが作ってくれているのですか?よかったら私が作りますよ?明日から毎日一緒に帰りませんか?休み時間のたびに会いに着てもいいですか?なんでそんなに無視するんですか?
いつも通りの坂田の独り言が始まった。答えてはいないけれどなにか納得しながら話している。こんな質問ぜめに答える気にもなれないが。
独り言を聞いているうちに家に着いた。
「ここ家だから、じゃあな。お前も気をつけて帰れよ」
「ここが先輩の家ですか。明日の朝もきますね。また明日。」
「来なくていいよ」
「そんな冷たいこと言わないでくださいよ」
「俺このあと塾で急ぐからじゃあな。」
そして、扉を閉めた。
周りのいわゆる陽キャたちが学食に走って行ったりお弁当をどこで食べようか相談したりしている。
幸運にも僕の席は席替えで窓際の1番前で端っこだから席が借りられることもない。欲を言うなら後ろが良かった。
家でも食事中は会話はしないで静かだ。だから静かな場所で食べたい。ファミレスとかは苦手。
静かな場所で食べたいから陰キャあるあるかもしれない便所飯をしてみようかと思ったけれど、トイレだけは私立のくせに狭くて汚い。お金はあるはずだから早く工事をしてほしい。でもどうやって広げるのだろう。それが難しくて狭いままなのかもしれない。いざ食べてみようと思うと予想以上におしっこ臭くて弁当が食べられたもんじゃない。
それに僕にはちょっとしたトイレの個室へのトラウマがある。
上から水をかけられたとかドラマでよく見るようないじめではなくて多分誰もが小学生の頃にやったしやられたはず。
ウンコマンだ。
急いで用を済まそうと思ってもやっと終わったと言う時に限って人がやってきて、大体が連れションばかりだからまずノックされてだれですかと聞かれ、答えるわけもなく黙っているとドアをどんどん叩き出す。壊れるかと思うくらいに。
しつこいやつらだから一向にいなくならない。だから仕方なく個室から出るとウンコマンと煽られる。一日中ウンコマン扱いになる。
その頃は僕もクラスに馴染むとか友達がいるいないとか考えていなかったけれどクラスの輪には入れていたからウンコマンと煽る側にもなったりしていた。
しかし僕はよくお腹をこわすせいもあってよくウンコマンになっていた。だから流石にウンコマンと煽ってくる高校生がいないとは思うけれど思うだけでいるかもしれないし、クラスで浮いている僕だから言われるかもしれない。
そんなトイレの臭さとバカみたいなトラウマと考えで便所飯は諦めて結局教室で一人でお弁当を食べることにしていたのだが......
「小野先輩は今日も一人でお弁当ですか?小野先輩だからしようがないか。」
今日もまた坂田がやってきた。
最近僕の静かな食事(周りは騒がしいが気にならなくなった)を邪魔する後輩がいるのだ。
「なんだお前またきたのか。同級生に友達がいないわけじゃないだろ?同級生と仲良くお弁当食べてろよ。」
「もぉ~先輩最近冷たくないですか?」
「そんなお前と仲良くなったつもりはない。」
「えー冷たーい。しょうがないから一緒にお弁当食べてあげますよ。」
「だから、同級生と食ってろって。」
「こんなにかわいい後輩が一緒に食べようって言ってるんですからいいじゃないですか。」
そう言ってでかい胸を突き出してきた。自分で自分の胸のでかさをわかっているのだろうか。わざとじゃなければ痴女なのかもしれない。わざとやってきていても何が目的なんだ。
「しょうがない。一緒に食べてやるよ。」
「食べてやるよとか言っちゃって~。食べてくださいでしょ?」
「うるせえ。」
あははと一人で笑っている。釣られて笑いそうになったが堪えた。
毎回こうやって坂田に押されて結局は一緒にお弁当を食べてしまっている。
別に一緒に食べることは問題ないのだけれど周りの視線が怖い。後輩に手を出したのとか、年下が好きなのかとか言われているようで周りが気になってしょうがない。
そのことに弁解する勇気もないし誰かにどういう関係なのと聞かれることもないから周りからどんな風に思われているのかわからない。
お弁当を食べている間、坂田は色々話しかけてくるが適当に流している。
お弁当を食べ終わりそれでも坂田は帰らない。予鈴が鳴るまでずっと話しかけてくるのだ。よく話が尽きないなと思う。
予鈴が鳴った。
「それじゃあ先輩また明日もきますね。」
そう言って教室から走ってでて行った。
授業が終わってやっと帰れる。そう思ったとき奴は現れた。
また坂田だ。
「先輩、一緒に帰りましょ。」
部活動に参加していないがすぐに家に帰ってから塾に行く。だからそんなに後輩と遊んでる時間もない。
無視して教室をでて廊下を歩いていると黙ってついてくる坂田と一年生の教室が見えた。まだSHRの最中だった。
「おい、お前なんでここにいるんだ?まだホームルームやってるじゃねえか。」
「あちゃ、サボったのがバレちゃいましたか。」
そう言って自分の頭を拳で軽く小突く。
「ホームルームくらいサボるほどじゃないだろ。」
「先輩と一緒に帰るためにサボってきたんですよ」
そこでの上目遣いはずるい。
「なに顔赤くしてるんですか?まさか私に惚れちゃいました?」
変に答えて誤解を招くのも嫌だから黙ることにした。
「あれ、シカトですか?素直になったほうがいいですよ。満更でもないのに」
「そんなこと後輩から言われたくねえよ」
先輩好きな食べ物はなんですか?お弁当はだれが作ってくれているのですか?よかったら私が作りますよ?明日から毎日一緒に帰りませんか?休み時間のたびに会いに着てもいいですか?なんでそんなに無視するんですか?
いつも通りの坂田の独り言が始まった。答えてはいないけれどなにか納得しながら話している。こんな質問ぜめに答える気にもなれないが。
独り言を聞いているうちに家に着いた。
「ここ家だから、じゃあな。お前も気をつけて帰れよ」
「ここが先輩の家ですか。明日の朝もきますね。また明日。」
「来なくていいよ」
「そんな冷たいこと言わないでくださいよ」
「俺このあと塾で急ぐからじゃあな。」
そして、扉を閉めた。
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