憂い視線のその先に

雪村こはる

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異性の友情は存在する

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 おそらく年商は何億にも上るだろう。その内の何割が千愛希の収入になるかはわからないが、確実に律の年収を超えていた。
 それでも千愛希は天狗になることもなく、自分を飾らない。それどころか、世の中の人間が低賃金だとバカにするような介護士だったまどかを全力で尊敬していたのだ。

 こんなにもぶれずに流されずに、自分をしっかり持っている人間は珍しい。
 律はすっかり千愛希に興味を示した。もちろん友人として。

 ただ、まどかと千愛希が出会ったことで、少しずつ律にも変化が起こる。
 まどかが住む家が見たいと自宅までついてきたり、まどかの義姉になりたいがために律と結婚をせがんだり。

 突拍子もないことを言い出す千愛希に呆れ、頭を抱えながらも結局許してしまう。変わった人間だと思いながら笑ってしまう。その空気がとても自然で、律にとっては居心地のいいものだった。

 加えて、高校時代には涙目になりながら律を超えてやると啖呵を切った女性は、10年の時を経て、自分の年収を超えてきたのだ。
 それすらも律は面白いと感じた。千愛希には可愛げなどない。男性よりも働き、よく稼ぎ、頭の回転も速い。唯一まどかと違うところ。
 誰かに頼ったりせず、自分の力だけでのしあがろうとする。

 その姿は、律に男女平等という言葉を連想させた。千愛希は強く、逞しい人間であり、うかうかしていたら、自分だけその場に取り残されてしまう。
 一流大学を出て弁護士となり、同世代の男性よりも稼ぎ、羨望の眼差しを向けられてきた律が、自分の人生に不満を抱いた瞬間だった。

 千愛希といたら、もっと自分を高められる気がした。
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