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勘違いがいっぱい
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協力するだけはしたんだ。どうするかは土浦次第だよな。ここまでして無理ならもう終わりだ。睦月も諦めがつくだろ。
大崎はそう思いながら千愛希の背中を押す。
「私……行ってもいいですか?」
「もちろん。あ、でも月曜日はちゃんと出勤してこいよ」
「と、当然です!」
「あと、さっきのところ、傷になったら困るからちゃんと病院行けよ」
「それは……また考えます。本当にもう痛くないんで」
千愛希は苦笑を浮かべ立ち上がると、「本日は呼んでいただいてありがとうございました。急用ができたので失礼します」と声を張って全員に言った。
「おー。お疲れ。気を付けてな」
笑顔で見送る本間と青木。「えー、ちーちゃん帰っちゃうの!?」と口を尖らせる新井。睦月は目を大きくさせていたが、言葉にはしなかった。
千愛希は慌てて荷物を持ち、一礼してから会場を飛び出した。
「ねぇねぇちーちゃんどこ行ったの?」
「彼氏のところだと」
新井の質問に大崎はさらりとそう答えた。あえて睦月の前で言うことでもう諦めろと示唆させたつもりだった。しかし睦月は、そっと瞳を揺らしてグラスを持つ手に力を込めた。
「あーあ、本当にもうむっちゃんのことはどうでもいいんだ」
残念、と言いたげな新井に本間はおいっと新井の腕を掴む。睦月は苦笑するが、心の中は反対にえらくはしゃいでいた。
千愛希の笑顔を思い出したからだ。「ありがとう。睦月のおかげ」と千愛希は泣きながら笑った。断られたわけではない現状は、睦月を期待させた。
このタイミングであの男に会いに行ったってことは、多分別れを切り出すつもりなんだろうな。そりゃそうだよな。報われない恋愛よりも、全力で愛せる俺がいるんだから。
もう辛い思いはしなくていいんだし。わざわざ自ら苦い思いをしにいく必要なんかない。一度は結婚をしようとお互いに決めたんだ。あの時の覚悟だって本気だったし。千愛希は俺を選んでくれるはずだ。
そんなふうに思ったら、いつ別れたと報告があるのかと心が踊る。
「それよりお前、それメンズの香水じゃないの? アイツ、大丈夫か? 相手がそういうのにうときゃいいけど……」
本間が怪訝な顔をすると、場は一気にあ……と重くなる。
そんな中、睦月だけは新井に感謝するのだった。
大崎はそう思いながら千愛希の背中を押す。
「私……行ってもいいですか?」
「もちろん。あ、でも月曜日はちゃんと出勤してこいよ」
「と、当然です!」
「あと、さっきのところ、傷になったら困るからちゃんと病院行けよ」
「それは……また考えます。本当にもう痛くないんで」
千愛希は苦笑を浮かべ立ち上がると、「本日は呼んでいただいてありがとうございました。急用ができたので失礼します」と声を張って全員に言った。
「おー。お疲れ。気を付けてな」
笑顔で見送る本間と青木。「えー、ちーちゃん帰っちゃうの!?」と口を尖らせる新井。睦月は目を大きくさせていたが、言葉にはしなかった。
千愛希は慌てて荷物を持ち、一礼してから会場を飛び出した。
「ねぇねぇちーちゃんどこ行ったの?」
「彼氏のところだと」
新井の質問に大崎はさらりとそう答えた。あえて睦月の前で言うことでもう諦めろと示唆させたつもりだった。しかし睦月は、そっと瞳を揺らしてグラスを持つ手に力を込めた。
「あーあ、本当にもうむっちゃんのことはどうでもいいんだ」
残念、と言いたげな新井に本間はおいっと新井の腕を掴む。睦月は苦笑するが、心の中は反対にえらくはしゃいでいた。
千愛希の笑顔を思い出したからだ。「ありがとう。睦月のおかげ」と千愛希は泣きながら笑った。断られたわけではない現状は、睦月を期待させた。
このタイミングであの男に会いに行ったってことは、多分別れを切り出すつもりなんだろうな。そりゃそうだよな。報われない恋愛よりも、全力で愛せる俺がいるんだから。
もう辛い思いはしなくていいんだし。わざわざ自ら苦い思いをしにいく必要なんかない。一度は結婚をしようとお互いに決めたんだ。あの時の覚悟だって本気だったし。千愛希は俺を選んでくれるはずだ。
そんなふうに思ったら、いつ別れたと報告があるのかと心が踊る。
「それよりお前、それメンズの香水じゃないの? アイツ、大丈夫か? 相手がそういうのにうときゃいいけど……」
本間が怪訝な顔をすると、場は一気にあ……と重くなる。
そんな中、睦月だけは新井に感謝するのだった。
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