憂い視線のその先に

雪村こはる

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糖度150%、スパイス多め

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「まどかちゃんもそれがいいと思わない?」

 共感を求めるダリアは、子供のように無垢な瞳でまどかを見つめる。傍観者だったははずのまどかが、え!? と素早く顔をダリアに向けた。
 ダリアのことはもちろん大好きだし、素直に頷いてあげたいのはやまやまだ。まだ律と千愛希が和解したことを聞かされたわけでもないが、どうやら良好な関係を築けたらしいと察するも、入籍の話を本人達から聞かずして同調するのは野次馬と同じような気がしてこちらも反応に困った。

「えっと……まあ、結婚の意思が2人にあるなら同居はいい案だとは思いますよ」

 まどかはさらりと当たり障りのない回答をした。ぐっと眉間に皺をよせる律。まどかの立場からしたら限りなく正解に近い答えだと冷静に思った。

「ほらほら、まどかちゃんもこう言ってるし」

「い、いや。私はあくまでも2人が結婚するならってことであって、入籍前から同居というのは私にもいいのか悪いのか……」

 口ごもるまどかにダリアはキョトンと目を瞬かせる。美しい顔をまどかに向けたまま「あらどうして? 世間のカップルは結婚前に同棲したりするんでしょ? それは普通のことだって聞いたわ」と不思議そうに頭にクエスチョンマークを浮かべる。
 怪訝な表情の律が「それは同棲の話でしょ? 母さんが言ってるのは同居であって同棲とは違うじゃん」と反抗をみせた。

「あら、結婚前の同棲ってお試しみたいなものでしょう? 実際結婚して共同生活になって大丈夫なのかどうか試しに一緒に住んでみるなんて感じじゃないの? でも律の場合、結婚するとしたら同居なのよ? 2人だけで住むのと結婚してから同居するのとはわけが違うじゃない。だから、結婚前に同居をするのは守屋家ウチにとっては同棲と変わらないんじゃないかと思うんだけど」

 正論とも言えるダリアの言い分にとうとう律は言葉を失った。
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