【R18】美人過ぎる○○は今日も旦那様からの寵愛を受ける

雪村こはる

文字の大きさ
19 / 208
友人の悩み

【19】

しおりを挟む
 やっぱり、陽菜ちゃんは可愛いと思う。男性は、こういう可愛く甘えるタイプが好きなんだろうなぁ……。

 自分には到底できない行動に感心さえしながらあまねくんを見れば、目の下をピクピクと痙攣させながら心底嫌そうな顔をしている。

 そんな顔になるほど嫌いなの!? さすがに驚く程の反応に、こちらとしてもかける言葉が見つからない。

「開けないよ。帰って」

「な、何でよ!」

 陽菜ちゃんは不服そうに両頬を膨らめる。あまねくんと同じ年ということは28歳かぁ。この年でこういうことができるんだから、内面もきっと若いんだろうなぁなんて他人事のように思う。

「俺、奥さんいるからさ。こうやって訪ねてこられると困るんだよ」

 あ、ハッキリ言ってくれた。そう思った瞬間、嬉しくなる。あの時だって嫌な気分だったもんなぁと陽菜ちゃんが初めて訪ねて来た時のことを思い出す。

「あ、そっか! じゃあ、奥さんいないところでこっそり会わなきゃね」

 陽菜ちゃんは、舌を出してふふっと笑った。
 あまねくんは、インターフォンから手を離し、その手で額と目を覆う。ふーっと長く息を吐き、「落ち着け、俺」と呟いている。 

「ねぇ、陽菜ちゃんって……」

「コイツ、ヤバいんだよ」

 何も言っていないのに、あまねくんはインターフォンの画面を指差してそう言った。コイツ呼ばわりになってるし。

 あまねくんは再びインターフォンのボタンを押し、「そういう問題じゃないから。陽菜ちゃんとはもう会わないよ」そう続けた。

「なんで、なんで! 陽菜、周と会いたい!」

「無理だから」

 画面越しにぴょんぴょん飛び跳ねて駄々をこねる陽菜ちゃんにあまねくんは、バッサリ切り捨てる。
 普段のあまねくんなら、「うーん……」といいながら、少しくらい考えてくれるはずだ。

「陽菜がイタリア行った時もそうだったじゃん! 空港まで見送りに来てねって言ったのに来てくれなかったし。その後連絡取れなくなっちゃったし。周のスマホだけ電波届かないみたいで、陽菜のところに返信こないんだよ? 周のスマホ換えた方がいいと思う」

 唇を尖らせてそう言っている。あまねくんのスマホだけ電波が届かない……? それは単にあまねくんが返信しなかっただけなんじゃないかと当然の憶測が湧く。
 それとも、あまねくんから返信がこないなんてことがあるはずないとでも思っているのだろうか。

「スマホは換えたから、もう連絡とるつもりもないよ」

「え? え? 何で?」

「何でって、奥さんいるって言ったよね?」

「陽菜、そういうの気にしないよ? これでも気は長い方だから、いつまでも待てるし」

 え? 何を? 陽菜ちゃんの不可解な言葉に、私は首を傾げる。

「いや、別れないからね。陽菜ちゃんと会うつもりもないし」

 待てるって離婚のこと!? 思わず叫びそうになり、急いで口を塞ぐ。あまねくん、コイツ、ヤバいよ! 彼の言っていたことが理解できて、彼に目配せをした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

専属秘書は極上CEOに囚われる

有允ひろみ
恋愛
手痛い失恋をきっかけに勤めていた会社を辞めた佳乃。彼女は、すべてをリセットするために訪れた南国の島で、名も知らぬ相手と熱く濃密な一夜を経験する。しかし、どれほど強く惹かれ合っていても、行きずりの恋に未来などない――。佳乃は翌朝、黙って彼の前から姿を消した。それから五年、新たな会社で社長秘書として働く佳乃の前に、代表取締役CEOとしてあの夜の彼・敦彦が現れて!? 「今度こそ、絶対に逃さない」戸惑い距離を取ろうとする佳乃を色気たっぷりに追い詰め、彼は忘れたはずの恋心を強引に暴き出し……。執着系イケメンと生真面目OLの、過去からはじまる怒涛の溺愛ラブストーリー!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

処理中です...