【R18】美人過ぎる○○は今日も旦那様からの寵愛を受ける

雪村こはる

文字の大きさ
22 / 208
友人の悩み

【22】

しおりを挟む
「周が陽菜のために買ってくれたくまさんもずっと持ってるんだよ?」

「買ってくれたって、それ買わせたんじゃん。悪いけど、あの時空気最悪だったからね。何で気付かないの? 自分の軽率な行動が他人に迷惑かけてるって」

「め、迷惑?」

「迷惑だと思ってないんでしょ? そういう想像力のないところが無理なんだよ。俺が陽菜ちゃんと結婚なんて絶対にないから。頼むからもう二度と近付かないでよ。本当に嫌いなんだ、アンタのこと」

 うわっ……ついに言った。あんなにハッキリと……。他人が傷付くことなど滅多に言わないあまねくん。慎重に言葉を選んで、いつも上手に話を進めるあまねくん。そんな彼が、あんなにハッキリ言うなんて驚きだった。

「き、嫌いって……嘘だよね?」

「嘘じゃない。写真の人は奥さんだし、昔から好きで俺の方が好きでようやく結婚できた人なの。ネットに流すでも悪口書くでも何でもいいけど、それで俺の奥さんが傷付いたり泣いたりするようなら絶対許さないからね」

「ゆ、許さないって……」

「それが流出したら、流出先を突き止めて警察に突き出すか、弁護士雇って訴えるから」

「な、なっ……そんなことできないもん! 一般人が流出先を突き止めるなんて……」
 
「いくらでも方法はあるよ。こっちには知り合いに警察も弁護士もいるんだから」

「卑怯だよ!」

 陽菜ちゃんはそう声を張った。卑怯はどちらかと言いたい。

「卑怯って、何が?」

「陽菜だって周のこと好きなんだよ? 奥さんより前から陽菜の方が周のこと好きなんだよ?」

「それを言うなら、陽菜ちゃんが俺を好きになる前から、俺まどかさんのこと好きだから」

「なっ、な……」

「そもそもどっちが先に好きとかじゃないんだよ。俺はまどかさんは好きだけど陽菜ちゃんは嫌いなの。一生海外にいればよかったのに何で戻ってきたんだよ」

 はーっと大きな溜め息をついてるあまねくん。こちらまで頭痛がしそうだ。

「そんなこと思ってたの……?」

「陽菜ちゃんさ、周りの人間は皆自分のこと好きだと思ってない? 他の人達は、他人に迷惑がかからないように気を遣って生活してるんだよ。それが陽菜ちゃんにとっては好意にみえるかもしれないけど、全部が全部がそうじゃないってことにいい加減気付きなよ。
 大人数で行動してるのに一人だけ我が儘言ったり、無理だって言ってるのに強引に話進めたり。他人を思いやれない人が一番嫌いなんだ、俺。だから陽菜ちゃんのことは嫌い。多分これからもずっと。だから帰って」

 そう言ったあまねくんの声は、冷静ではっきりしていた。まるで雅臣と話していた時みたいだと思った。憤りを押さえ込んで、無理に落ち着いた口調をしているかのような。

「ひ、ひどいよ。陽菜、周と仲良くしたかっただけだよ?」

「仲良くなんてできないよ。俺の大事な人を傷付けようとするような人間だよ? 自分が何しようとしたかちゃんと考えなよ。早く、出てって」

 ガチャっという音と、パタパタって音、それからまたガチャって音がなってオートロックのウィーン、ガチャンって音。

 ああ、追い出されたんだなってことだけはわかる。壁から覗き込めば、あまねくんが振り返り「ちょっともう我慢できなかったよ」そう言って眉を下げたまま笑った。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

専属秘書は極上CEOに囚われる

有允ひろみ
恋愛
手痛い失恋をきっかけに勤めていた会社を辞めた佳乃。彼女は、すべてをリセットするために訪れた南国の島で、名も知らぬ相手と熱く濃密な一夜を経験する。しかし、どれほど強く惹かれ合っていても、行きずりの恋に未来などない――。佳乃は翌朝、黙って彼の前から姿を消した。それから五年、新たな会社で社長秘書として働く佳乃の前に、代表取締役CEOとしてあの夜の彼・敦彦が現れて!? 「今度こそ、絶対に逃さない」戸惑い距離を取ろうとする佳乃を色気たっぷりに追い詰め、彼は忘れたはずの恋心を強引に暴き出し……。執着系イケメンと生真面目OLの、過去からはじまる怒涛の溺愛ラブストーリー!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

処理中です...