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友人の悩み
【22】
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「周が陽菜のために買ってくれたくまさんもずっと持ってるんだよ?」
「買ってくれたって、それ買わせたんじゃん。悪いけど、あの時空気最悪だったからね。何で気付かないの? 自分の軽率な行動が他人に迷惑かけてるって」
「め、迷惑?」
「迷惑だと思ってないんでしょ? そういう想像力のないところが無理なんだよ。俺が陽菜ちゃんと結婚なんて絶対にないから。頼むからもう二度と近付かないでよ。本当に嫌いなんだ、アンタのこと」
うわっ……ついに言った。あんなにハッキリと……。他人が傷付くことなど滅多に言わないあまねくん。慎重に言葉を選んで、いつも上手に話を進めるあまねくん。そんな彼が、あんなにハッキリ言うなんて驚きだった。
「き、嫌いって……嘘だよね?」
「嘘じゃない。写真の人は奥さんだし、昔から好きで俺の方が好きでようやく結婚できた人なの。ネットに流すでも悪口書くでも何でもいいけど、それで俺の奥さんが傷付いたり泣いたりするようなら絶対許さないからね」
「ゆ、許さないって……」
「それが流出したら、流出先を突き止めて警察に突き出すか、弁護士雇って訴えるから」
「な、なっ……そんなことできないもん! 一般人が流出先を突き止めるなんて……」
「いくらでも方法はあるよ。こっちには知り合いに警察も弁護士もいるんだから」
「卑怯だよ!」
陽菜ちゃんはそう声を張った。卑怯はどちらかと言いたい。
「卑怯って、何が?」
「陽菜だって周のこと好きなんだよ? 奥さんより前から陽菜の方が周のこと好きなんだよ?」
「それを言うなら、陽菜ちゃんが俺を好きになる前から、俺まどかさんのこと好きだから」
「なっ、な……」
「そもそもどっちが先に好きとかじゃないんだよ。俺はまどかさんは好きだけど陽菜ちゃんは嫌いなの。一生海外にいればよかったのに何で戻ってきたんだよ」
はーっと大きな溜め息をついてるあまねくん。こちらまで頭痛がしそうだ。
「そんなこと思ってたの……?」
「陽菜ちゃんさ、周りの人間は皆自分のこと好きだと思ってない? 他の人達は、他人に迷惑がかからないように気を遣って生活してるんだよ。それが陽菜ちゃんにとっては好意にみえるかもしれないけど、全部が全部がそうじゃないってことにいい加減気付きなよ。
大人数で行動してるのに一人だけ我が儘言ったり、無理だって言ってるのに強引に話進めたり。他人を思いやれない人が一番嫌いなんだ、俺。だから陽菜ちゃんのことは嫌い。多分これからもずっと。だから帰って」
そう言ったあまねくんの声は、冷静ではっきりしていた。まるで雅臣と話していた時みたいだと思った。憤りを押さえ込んで、無理に落ち着いた口調をしているかのような。
「ひ、ひどいよ。陽菜、周と仲良くしたかっただけだよ?」
「仲良くなんてできないよ。俺の大事な人を傷付けようとするような人間だよ? 自分が何しようとしたかちゃんと考えなよ。早く、出てって」
ガチャっという音と、パタパタって音、それからまたガチャって音がなってオートロックのウィーン、ガチャンって音。
ああ、追い出されたんだなってことだけはわかる。壁から覗き込めば、あまねくんが振り返り「ちょっともう我慢できなかったよ」そう言って眉を下げたまま笑った。
「買ってくれたって、それ買わせたんじゃん。悪いけど、あの時空気最悪だったからね。何で気付かないの? 自分の軽率な行動が他人に迷惑かけてるって」
「め、迷惑?」
「迷惑だと思ってないんでしょ? そういう想像力のないところが無理なんだよ。俺が陽菜ちゃんと結婚なんて絶対にないから。頼むからもう二度と近付かないでよ。本当に嫌いなんだ、アンタのこと」
うわっ……ついに言った。あんなにハッキリと……。他人が傷付くことなど滅多に言わないあまねくん。慎重に言葉を選んで、いつも上手に話を進めるあまねくん。そんな彼が、あんなにハッキリ言うなんて驚きだった。
「き、嫌いって……嘘だよね?」
「嘘じゃない。写真の人は奥さんだし、昔から好きで俺の方が好きでようやく結婚できた人なの。ネットに流すでも悪口書くでも何でもいいけど、それで俺の奥さんが傷付いたり泣いたりするようなら絶対許さないからね」
「ゆ、許さないって……」
「それが流出したら、流出先を突き止めて警察に突き出すか、弁護士雇って訴えるから」
「な、なっ……そんなことできないもん! 一般人が流出先を突き止めるなんて……」
「いくらでも方法はあるよ。こっちには知り合いに警察も弁護士もいるんだから」
「卑怯だよ!」
陽菜ちゃんはそう声を張った。卑怯はどちらかと言いたい。
「卑怯って、何が?」
「陽菜だって周のこと好きなんだよ? 奥さんより前から陽菜の方が周のこと好きなんだよ?」
「それを言うなら、陽菜ちゃんが俺を好きになる前から、俺まどかさんのこと好きだから」
「なっ、な……」
「そもそもどっちが先に好きとかじゃないんだよ。俺はまどかさんは好きだけど陽菜ちゃんは嫌いなの。一生海外にいればよかったのに何で戻ってきたんだよ」
はーっと大きな溜め息をついてるあまねくん。こちらまで頭痛がしそうだ。
「そんなこと思ってたの……?」
「陽菜ちゃんさ、周りの人間は皆自分のこと好きだと思ってない? 他の人達は、他人に迷惑がかからないように気を遣って生活してるんだよ。それが陽菜ちゃんにとっては好意にみえるかもしれないけど、全部が全部がそうじゃないってことにいい加減気付きなよ。
大人数で行動してるのに一人だけ我が儘言ったり、無理だって言ってるのに強引に話進めたり。他人を思いやれない人が一番嫌いなんだ、俺。だから陽菜ちゃんのことは嫌い。多分これからもずっと。だから帰って」
そう言ったあまねくんの声は、冷静ではっきりしていた。まるで雅臣と話していた時みたいだと思った。憤りを押さえ込んで、無理に落ち着いた口調をしているかのような。
「ひ、ひどいよ。陽菜、周と仲良くしたかっただけだよ?」
「仲良くなんてできないよ。俺の大事な人を傷付けようとするような人間だよ? 自分が何しようとしたかちゃんと考えなよ。早く、出てって」
ガチャっという音と、パタパタって音、それからまたガチャって音がなってオートロックのウィーン、ガチャンって音。
ああ、追い出されたんだなってことだけはわかる。壁から覗き込めば、あまねくんが振り返り「ちょっともう我慢できなかったよ」そう言って眉を下げたまま笑った。
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