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ファンクラブ
【1】
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土曜日の朝は、いつだって旦那様はお寝坊さん。
ベッドに横たわりながら、その静かな寝息と、上下する体を感じる。閉じられた瞼からは流れるような睫毛。いつ見ても麗しいったらない。
あまねくんの実家であまねくんとこうして昼近くまで一緒に眠っていられるのは、新鮮だった。
私がこの家に居候していた時には、彼は1人マンションへ帰って行ったし、たまにこうして眠っていても、誰かしらがドアを叩く。
住人が多いと必然的にそうなるものだ。
しかし、今日はなぜか誰からも声がかからない。いつもなら元気なダリアさんの声が聞こえる筈だが、静かなものだ。
「……ん」
ようやくゆっくりと瞼を開けたあまねくんは、まだ眠たそうに何度か瞬きをする。
「おはよう」
「……おはよう。今、何時?」
「んー、10時48分」
私はスマホを手にとって現在の時刻を伝えた。
「もうお昼じゃん」
大きな欠伸をしている彼は、体を起こしてぐーっと伸びをした。
「今日はダリアさん来ないね」
「ああ、昨日父さんとばあちゃんとどっか行くって言ってたよ」
「え!? 本当!?」
「うん。まどかさんもどうかなって言ってたけど、安定期に入るまでは誘うのやめるって」
「そう……」
なんだ、残念。皆でどこかに行くなんて絶対に楽しいのに。
「どっか行きたかった?」
「うん。私もダリアさんとおばあちゃんとお出かけしたかった」
「毎日一緒にいるのによく飽きないね」
ははっとあまねくんは笑っているけれど、何となく嬉しそうなのは、気のせいではないはず。
「じゃあ、ちょっとどっか行く?」
「いいの!?」
「遠くはダメだよ。赤ちゃんによくないから」
「うん。近くでもいいよ」
あまねくんとお出かけなんていつ振りかな。
土曜日は殆ど検診で埋まっていたから、何もない日は本当に久しぶりだった。
そうと決まれば身支度を整える。凝ったところへは行けないけれど、たまには外でランチをしようと最近できたパスタの美味しいお店へ行くことにした。
外はすっかり寒くて風邪をひかないように暖かい格好をする。秋はとても短く、もう少し前なら、テラスで食べるのもよかったななんて思う。
お腹が冷えたら困るとあまねくんが心配しているため、窓側の席が空いていたらそこにしてもらおうかなんて話ながら家を出た。
日が出ているため暖かくはあるが、風が冷たくなってきてるので、隣を通りすぎる時にはひんやりと肌を撫で、ぶるっと肩を震わせた。
「けっこう寒くなったね」
「うん。だってお姉ちゃんはもうすぐ予定日だもんね」
「そっか! お姉さんところもご無沙汰になっちゃったし、産まれたらすぐにでも会いに行きたいね」
「そうだね。楽しみだなぁ、赤ちゃん」
まずは先に誕生する姉の子供。ようやく私でも胎動を感じられる程活発に動いていた。
姉の子供は男の子のようで、父は泣きそうな顔をして喜んでいた。
家族全員が待ち望んでいる子供の誕生。新しい命が生まれるって神秘的だなぁとしみじみと思った。
ベッドに横たわりながら、その静かな寝息と、上下する体を感じる。閉じられた瞼からは流れるような睫毛。いつ見ても麗しいったらない。
あまねくんの実家であまねくんとこうして昼近くまで一緒に眠っていられるのは、新鮮だった。
私がこの家に居候していた時には、彼は1人マンションへ帰って行ったし、たまにこうして眠っていても、誰かしらがドアを叩く。
住人が多いと必然的にそうなるものだ。
しかし、今日はなぜか誰からも声がかからない。いつもなら元気なダリアさんの声が聞こえる筈だが、静かなものだ。
「……ん」
ようやくゆっくりと瞼を開けたあまねくんは、まだ眠たそうに何度か瞬きをする。
「おはよう」
「……おはよう。今、何時?」
「んー、10時48分」
私はスマホを手にとって現在の時刻を伝えた。
「もうお昼じゃん」
大きな欠伸をしている彼は、体を起こしてぐーっと伸びをした。
「今日はダリアさん来ないね」
「ああ、昨日父さんとばあちゃんとどっか行くって言ってたよ」
「え!? 本当!?」
「うん。まどかさんもどうかなって言ってたけど、安定期に入るまでは誘うのやめるって」
「そう……」
なんだ、残念。皆でどこかに行くなんて絶対に楽しいのに。
「どっか行きたかった?」
「うん。私もダリアさんとおばあちゃんとお出かけしたかった」
「毎日一緒にいるのによく飽きないね」
ははっとあまねくんは笑っているけれど、何となく嬉しそうなのは、気のせいではないはず。
「じゃあ、ちょっとどっか行く?」
「いいの!?」
「遠くはダメだよ。赤ちゃんによくないから」
「うん。近くでもいいよ」
あまねくんとお出かけなんていつ振りかな。
土曜日は殆ど検診で埋まっていたから、何もない日は本当に久しぶりだった。
そうと決まれば身支度を整える。凝ったところへは行けないけれど、たまには外でランチをしようと最近できたパスタの美味しいお店へ行くことにした。
外はすっかり寒くて風邪をひかないように暖かい格好をする。秋はとても短く、もう少し前なら、テラスで食べるのもよかったななんて思う。
お腹が冷えたら困るとあまねくんが心配しているため、窓側の席が空いていたらそこにしてもらおうかなんて話ながら家を出た。
日が出ているため暖かくはあるが、風が冷たくなってきてるので、隣を通りすぎる時にはひんやりと肌を撫で、ぶるっと肩を震わせた。
「けっこう寒くなったね」
「うん。だってお姉ちゃんはもうすぐ予定日だもんね」
「そっか! お姉さんところもご無沙汰になっちゃったし、産まれたらすぐにでも会いに行きたいね」
「そうだね。楽しみだなぁ、赤ちゃん」
まずは先に誕生する姉の子供。ようやく私でも胎動を感じられる程活発に動いていた。
姉の子供は男の子のようで、父は泣きそうな顔をして喜んでいた。
家族全員が待ち望んでいる子供の誕生。新しい命が生まれるって神秘的だなぁとしみじみと思った。
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