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ファンクラブ
【2】
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目的の店内に入る。起きたのがお昼前だったのもあり、丁度お昼時の時間から外れたようでお会計を待つ客で溢れていた。
「ただいま片付けますので少々お待ちいただけますか?」
店員にそう声をかけられ、あまねくんと2人、客の波を避けて順番を待つ。
「丁度お客さんが捌ける時間でよかったね。いい席に座れるかな」
希望の窓際席に座れるかなとそっと奥を覗きながら私は言う。店員さんが食器を片付け、テーブルを拭いているところだった。
「もっと混んでるかと思ったけど、これならもう少し待ってれば呼ばれそうだね」
私がそわそわしているのを見て、優しく微笑んでくれるあまねくん。私もその笑顔を見て更に楽しみが増す。
会計の合間を縫ってテーブルへと案内された。
「あの、窓際のところでもいいですか?」
「あちらのお席でよろしいですか? お好きな席にどうぞ」
若く、可愛らしい店員さんは気持ちのいい笑顔を見せた後、あまねくんへと視線を移し、ぽっと頬を赤らめた。
あまねくんはダメよ、私のだから。そう心の中で呟きながら、存在するだけで周りの女の子を魅了させる罪なあまねくんとテーブルへ向かう。
「よかったね。この席好きなんだー」
そう言いながら椅子を引こうとすると、隣のテーブルで食事をしていた男女の姿が目に止まった。
あれ?
「あー!」
まさかこんなところで出会うなんて! とバッチリと目が合ってしまった律くんを指差した。
「……」
女性の向こう側に座る律くんは、何も言わずに目を細めている。まるで話しかけるなと言っているかのように。
「あ、律だ」
あまねくんは至って冷静にそう言いながら、上着を脱いだ。座る椅子にその上着を被せ、後ろを振り向く。
それと同時に、あまねくんの声に反応した律くんの向かいに座る女性がこちらを向いた。
長い髪を真っ直ぐに伸ばし、清潔感のある綺麗な人だった。
律くんと同じくらいの年かな……?
そうは思うが、私と律くんは2つしか変わらない。彼女も私とそう変わらないだろう。
「律、知り合い?」
あまねくんの方がすっと前に出たことで、彼女の顔が隠れてしまったが、律くんのことを呼び捨てにしている声は聞こえる。
これは……親密な様子。
彼女なんていないと言い張っていた律くんだったから、女の子の影なんてないのかと思っていたけれど、あまねくんに引けをとらない綺麗な顔立ちの彼。女の子が放っておくはずはないかと思い直す。
「弟。と、その奥さん」
「え!? えー!! この子が周くん!?」
「そう」
「あんなに女の子みたいに可愛らしい子だったのに、こんなにちゃんとした男の子になっちゃったのね!」
驚いたように、高い声が聞こえる。
あんなに女の子みたいに可愛らしい子だった?
まるで昔のあまねくんを知っているかのような口振りに、何となく嫌な気分になる。
あまねくんの知り合いでもあるのかな?
「……お会いしたことありましたっけ?」
女の子みたいだったと言われて不服そうな声でそう尋ねるあまねくん。彼はその言葉が一番嫌いだ。
「いえいえ、直接お話するのは初めてです。コッソリ覗いたことはあったけどね。私、律とは同じ高校の同級生なの」
「ああ……それで」
納得した様子のあまねくんは、その場で頷く。確か、律くんとあまねくんは出身高校が同じだった筈。ということは、あまねくんの先輩にあたるというわけだ。
ハツラツとした明るい声が、きっといい子なんだろうなと思わせる。何となく疎外感を感じて心なしか寂しく思えた。
「ただいま片付けますので少々お待ちいただけますか?」
店員にそう声をかけられ、あまねくんと2人、客の波を避けて順番を待つ。
「丁度お客さんが捌ける時間でよかったね。いい席に座れるかな」
希望の窓際席に座れるかなとそっと奥を覗きながら私は言う。店員さんが食器を片付け、テーブルを拭いているところだった。
「もっと混んでるかと思ったけど、これならもう少し待ってれば呼ばれそうだね」
私がそわそわしているのを見て、優しく微笑んでくれるあまねくん。私もその笑顔を見て更に楽しみが増す。
会計の合間を縫ってテーブルへと案内された。
「あの、窓際のところでもいいですか?」
「あちらのお席でよろしいですか? お好きな席にどうぞ」
若く、可愛らしい店員さんは気持ちのいい笑顔を見せた後、あまねくんへと視線を移し、ぽっと頬を赤らめた。
あまねくんはダメよ、私のだから。そう心の中で呟きながら、存在するだけで周りの女の子を魅了させる罪なあまねくんとテーブルへ向かう。
「よかったね。この席好きなんだー」
そう言いながら椅子を引こうとすると、隣のテーブルで食事をしていた男女の姿が目に止まった。
あれ?
「あー!」
まさかこんなところで出会うなんて! とバッチリと目が合ってしまった律くんを指差した。
「……」
女性の向こう側に座る律くんは、何も言わずに目を細めている。まるで話しかけるなと言っているかのように。
「あ、律だ」
あまねくんは至って冷静にそう言いながら、上着を脱いだ。座る椅子にその上着を被せ、後ろを振り向く。
それと同時に、あまねくんの声に反応した律くんの向かいに座る女性がこちらを向いた。
長い髪を真っ直ぐに伸ばし、清潔感のある綺麗な人だった。
律くんと同じくらいの年かな……?
そうは思うが、私と律くんは2つしか変わらない。彼女も私とそう変わらないだろう。
「律、知り合い?」
あまねくんの方がすっと前に出たことで、彼女の顔が隠れてしまったが、律くんのことを呼び捨てにしている声は聞こえる。
これは……親密な様子。
彼女なんていないと言い張っていた律くんだったから、女の子の影なんてないのかと思っていたけれど、あまねくんに引けをとらない綺麗な顔立ちの彼。女の子が放っておくはずはないかと思い直す。
「弟。と、その奥さん」
「え!? えー!! この子が周くん!?」
「そう」
「あんなに女の子みたいに可愛らしい子だったのに、こんなにちゃんとした男の子になっちゃったのね!」
驚いたように、高い声が聞こえる。
あんなに女の子みたいに可愛らしい子だった?
まるで昔のあまねくんを知っているかのような口振りに、何となく嫌な気分になる。
あまねくんの知り合いでもあるのかな?
「……お会いしたことありましたっけ?」
女の子みたいだったと言われて不服そうな声でそう尋ねるあまねくん。彼はその言葉が一番嫌いだ。
「いえいえ、直接お話するのは初めてです。コッソリ覗いたことはあったけどね。私、律とは同じ高校の同級生なの」
「ああ……それで」
納得した様子のあまねくんは、その場で頷く。確か、律くんとあまねくんは出身高校が同じだった筈。ということは、あまねくんの先輩にあたるというわけだ。
ハツラツとした明るい声が、きっといい子なんだろうなと思わせる。何となく疎外感を感じて心なしか寂しく思えた。
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