【R18】美人過ぎる○○は今日も旦那様からの寵愛を受ける

雪村こはる

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ファンクラブ

【28】

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 それでも納得はしていない奏ちゃん。無事に私と会員番号を入れ替えたのだけれど、「なんでかなが一番じゃないの……」とまだ呟いている。

「それにしても、千愛希さんって凄いお仕事してたんだね。何か、感激しちゃったよ」

 私がそう言えば「本当ですか!? そんなこと言ってもらえるなら、この仕事続けててよかったです!」と表情を輝かせた。

 そして感極まったのか、私の右手を握り「今日出会えたことは一生忘れません。このような機会を与えていただけて、これ以上の幸せなんてありません!」と顔を近付けてくる。

 ち、近い……。いくら綺麗な女性とはいえ、こんなに急に近寄られたら私だって何か鬼気迫るものを感じる。

 しかし、私がその気迫に押されるように背中を奏ちゃん側にずらした瞬間、左腕がぐっと引っ張られた。

「わっ!」
 
 よろける体を、奏ちゃんが細い両腕で私の腕を挟み込んだことで受け止める。

「かなだって、パリでたくさんコレクション出たんだからね! 大きい仕事だってしてるの!」

 私の体を乗り越えるかのように顔を寄せて、千愛希さんに向かって言う奏ちゃん。

「うーん、でも私奏ちゃんの活躍知らないし」

 千愛希さんも千愛希さんだ。飄々とした態度でそんなことを言う。

 ああっ……、そんな言い方をしたらまた奏ちゃんが機嫌を損ねるじゃないか!

 そんな焦りを抱く中、「か、かなはまどかちゃんと部屋で二人きりでガールズトークしたことあるもんね!」と子供のように言い張った。

「なっ……部屋で……二人きり……」

 私の手を握ったまま、目を泳がせる千愛希さん。
 いや、二人きりって……別にあまねくんの妹だし。

「まどかちゃんの実家にも行ったことあるんだから!」

 更に攻撃を仕掛ける奏ちゃん。その攻撃が効いているのか、悲痛な顔を見せる千愛希さん。

「いや、ちょっと具合悪かった時があってね……」

 全くフォローにはならないと思いつつも、そう言葉をかける。

「具合悪い時には、病院にも連れてってあげたし!」

 その節はどうもお世話になりました。

「それにかな、法律上まどかちゃんの妹だからね!」

 追い討ちをかけるように奏ちゃんがそう言えば、すっかり覇気をなくして項垂れる千愛希さん。

「あなたがどんなにまどかちゃんの事が好きでも、かな達は姉妹ですからね!」

 何を張り合いたいのかわからないが、あなたも最初はその血縁を拒否しようとしたじゃないか。
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