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ファンクラブ
【30】
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何とか千愛希さんを落ち着かせ、ようやく律くんが送っていった。
「何だか、嵐が過ぎ去ったような気分だね……」
私がそう言うと、あまねくんは「でも面白い人だったね」と笑っている。
未だに隣に座る奏ちゃんは、「かな、あの人やだ」と言っている。
「奏ちゃん、基本的に初対面の人嫌いでしょ?」
「は!? そんなことないよ!」
「私のことも嫌いだったくせに」
「だ、だってあっくんが惚れてるのをいいことにたぶらかそうとしてるのかと思ったんだもん!」
奏ちゃんはそう言ってむきになっている。
「あまねくんが私のファンだったって知ったのなんてつい最近だよ」
「え!? そうなの!?」
「うん。そんなこと一言も言わずに接してたんだから」
私がそう言えば、「だってまどかさんに引かれたくなかったし……」と拗ねている。
「ふーん。でも、こんなあっくんを知っても好きでいるなんて、ある意味凄いかも」
「そう?」
「うん。朋くんがそんなだったら、すぐ別れるもんね」
奏ちゃんは平然とそう言った。きっと古河先生はそういうタイプではないと思うけれど、奏ちゃんにそこまで言われているのは何だか切ない。
私とあまねくんが、半笑いを浮かべていると「あ! もうこんな時間! さっさと写真選んで帰るつもりだったのに!」と血相を変えている奏ちゃん。
ああ、そうか。伊織くんの番組に出るための写真を探してたんだっけ。
そんなことを考えていたら、伊織くんに返信するのを忘れていたことを思い出した。
せめて放送が終わるまでは連絡とらなきゃだよなぁ……。でも、収録してから放送まできっと長い期間かかるだろうし。
憂鬱な思いを抱きながら、奏ちゃんを見送った後、私は伊織くんに返信をした。
〔遅くなっちゃってごめんね。だいぶ冷え込んできたし、すっかり12月って感じだね。風邪ひかないように気をつけて〕
以前の内容は知らないテレビ番組の話だった。自分がテレビに出演していた時には少しくらい興味があったのに、離れてしまえばないに等しい。
テレビを観るのは大体あまねくんがいないお昼頃で、料理番組を観たり昼ドラを観たり。
夕方になれば夕飯を作って、あまねくんが帰ってくればその日の出来事を話す。毎日一緒にいるのに、テレビを付けずに話に花を咲かせる。どうしてこんなに話題が尽きないのか不思議だけれど、きっとそれはお互いにまだ知らない部分を埋めたいからなんだと思う。
「何だか、嵐が過ぎ去ったような気分だね……」
私がそう言うと、あまねくんは「でも面白い人だったね」と笑っている。
未だに隣に座る奏ちゃんは、「かな、あの人やだ」と言っている。
「奏ちゃん、基本的に初対面の人嫌いでしょ?」
「は!? そんなことないよ!」
「私のことも嫌いだったくせに」
「だ、だってあっくんが惚れてるのをいいことにたぶらかそうとしてるのかと思ったんだもん!」
奏ちゃんはそう言ってむきになっている。
「あまねくんが私のファンだったって知ったのなんてつい最近だよ」
「え!? そうなの!?」
「うん。そんなこと一言も言わずに接してたんだから」
私がそう言えば、「だってまどかさんに引かれたくなかったし……」と拗ねている。
「ふーん。でも、こんなあっくんを知っても好きでいるなんて、ある意味凄いかも」
「そう?」
「うん。朋くんがそんなだったら、すぐ別れるもんね」
奏ちゃんは平然とそう言った。きっと古河先生はそういうタイプではないと思うけれど、奏ちゃんにそこまで言われているのは何だか切ない。
私とあまねくんが、半笑いを浮かべていると「あ! もうこんな時間! さっさと写真選んで帰るつもりだったのに!」と血相を変えている奏ちゃん。
ああ、そうか。伊織くんの番組に出るための写真を探してたんだっけ。
そんなことを考えていたら、伊織くんに返信するのを忘れていたことを思い出した。
せめて放送が終わるまでは連絡とらなきゃだよなぁ……。でも、収録してから放送まできっと長い期間かかるだろうし。
憂鬱な思いを抱きながら、奏ちゃんを見送った後、私は伊織くんに返信をした。
〔遅くなっちゃってごめんね。だいぶ冷え込んできたし、すっかり12月って感じだね。風邪ひかないように気をつけて〕
以前の内容は知らないテレビ番組の話だった。自分がテレビに出演していた時には少しくらい興味があったのに、離れてしまえばないに等しい。
テレビを観るのは大体あまねくんがいないお昼頃で、料理番組を観たり昼ドラを観たり。
夕方になれば夕飯を作って、あまねくんが帰ってくればその日の出来事を話す。毎日一緒にいるのに、テレビを付けずに話に花を咲かせる。どうしてこんなに話題が尽きないのか不思議だけれど、きっとそれはお互いにまだ知らない部分を埋めたいからなんだと思う。
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