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ファンクラブ
【31】
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そのため、伊織の番組がやっている時間はあまねくんと楽しく会話をしていることが多い。話題の俳優さんの話をされたところで、その人が出ているドラマをあまねくんと鑑賞する程興味がないのだ。
メッセージのやり取りをしていても胸が高鳴るわけでもなく、楽しいわけでもない。警戒心がある分、余計に義務のように思えてしまった。
「何? またアイツ?」
後ろから私のスマホを覗き込むあまねくん。
「うん。3日くらい連絡返すの忘れててさ」
「そのまま放置しておいてほしいくらいだけど」
「そうもいかないよ。今日だって奏ちゃん、伊織くんの番組に使うための写真選びにきたんだよ?」
「え? そうなの? 奏には言ってないよね?」
「言えないよ! そんなこと言ったら出演やめるとか言いそうだもん!」
「はー。本当、世界中の男いなくなんねぇかな……」
あまねくんが冷蔵庫の方へ向かいながら低い声でそう呟いた事は、聞こえないふりをした。
時々黒いあまねくんが登場するんだよな……。伊織くんになにもしなきゃいいけど。
そう思っていたら、すぐにスマホが震える。
〔連絡してくれて嬉しいです! 今度、上野茜と他の女優さんとご飯に行くんです〕
上野茜はさすがに私でも知っている。色んな雑誌にも取り上げられているし、お昼の番組にだって時折ゲストで呼ばれている。
でも、そんなことわざわざ言ってこなくてもいいのに。というか、どうでもいいのに。
〔凄いね。昨日もテレビで上野茜さん見たよ。本物はもっと綺麗なんだろうね〕
〔凄く綺麗なんですよ! 性格もいい子で。よかったらまどかさんも今度一緒に皆で食事に行きませんか?〕
「え!?」
内容を読んで思わず声を上げた。皆で一緒にって……他の女優さん達と一緒にってこと?
「あー、とうとう女優を出しに使ってきたか」
ミネラルウォーターを持ったあまねくんが先程と同様に私のスマホ画面を覗く。
「いつだか俳優の名前使って微妙だったから、今度は女優で攻めてきたんだね」
「え!? そういうこと?」
「そういうことでしょ」
あまねくんは、ペットボトルのキャップを開けて、口をつける。上下する喉を見てから〔まだ安定期に入ってないから、なるべく外出は控えてるの。ごめんね〕と送った。
「まどかさん、あんまり芸能人とか興味ないよね?」
「う、うん。テレビ出てから待ち伏せされたり、いたずら電話かかってきたり、急に写真撮られたりしたからかな……。あんまり好きじゃないんだよね」
私がそう言うと、あまねくんは眉を下げ、切なそうな表情を浮かべた。
「大変だったね。辛かったんだね」
そう言って頭を撫でてくれる。
今はあまねくんがいるから平気。そう心が満たされたところで、スマホがピコンと鳴る。
〔じゃあ、安定期に入ったら是非食事にいきましょう!〕
私よりも先にそれを読んだあまねくん。
「……の野郎。堂々と他人の嫁を口説きやがって」
そう言ったあまねくんは鬼の形相をしていた。
メッセージのやり取りをしていても胸が高鳴るわけでもなく、楽しいわけでもない。警戒心がある分、余計に義務のように思えてしまった。
「何? またアイツ?」
後ろから私のスマホを覗き込むあまねくん。
「うん。3日くらい連絡返すの忘れててさ」
「そのまま放置しておいてほしいくらいだけど」
「そうもいかないよ。今日だって奏ちゃん、伊織くんの番組に使うための写真選びにきたんだよ?」
「え? そうなの? 奏には言ってないよね?」
「言えないよ! そんなこと言ったら出演やめるとか言いそうだもん!」
「はー。本当、世界中の男いなくなんねぇかな……」
あまねくんが冷蔵庫の方へ向かいながら低い声でそう呟いた事は、聞こえないふりをした。
時々黒いあまねくんが登場するんだよな……。伊織くんになにもしなきゃいいけど。
そう思っていたら、すぐにスマホが震える。
〔連絡してくれて嬉しいです! 今度、上野茜と他の女優さんとご飯に行くんです〕
上野茜はさすがに私でも知っている。色んな雑誌にも取り上げられているし、お昼の番組にだって時折ゲストで呼ばれている。
でも、そんなことわざわざ言ってこなくてもいいのに。というか、どうでもいいのに。
〔凄いね。昨日もテレビで上野茜さん見たよ。本物はもっと綺麗なんだろうね〕
〔凄く綺麗なんですよ! 性格もいい子で。よかったらまどかさんも今度一緒に皆で食事に行きませんか?〕
「え!?」
内容を読んで思わず声を上げた。皆で一緒にって……他の女優さん達と一緒にってこと?
「あー、とうとう女優を出しに使ってきたか」
ミネラルウォーターを持ったあまねくんが先程と同様に私のスマホ画面を覗く。
「いつだか俳優の名前使って微妙だったから、今度は女優で攻めてきたんだね」
「え!? そういうこと?」
「そういうことでしょ」
あまねくんは、ペットボトルのキャップを開けて、口をつける。上下する喉を見てから〔まだ安定期に入ってないから、なるべく外出は控えてるの。ごめんね〕と送った。
「まどかさん、あんまり芸能人とか興味ないよね?」
「う、うん。テレビ出てから待ち伏せされたり、いたずら電話かかってきたり、急に写真撮られたりしたからかな……。あんまり好きじゃないんだよね」
私がそう言うと、あまねくんは眉を下げ、切なそうな表情を浮かべた。
「大変だったね。辛かったんだね」
そう言って頭を撫でてくれる。
今はあまねくんがいるから平気。そう心が満たされたところで、スマホがピコンと鳴る。
〔じゃあ、安定期に入ったら是非食事にいきましょう!〕
私よりも先にそれを読んだあまねくん。
「……の野郎。堂々と他人の嫁を口説きやがって」
そう言ったあまねくんは鬼の形相をしていた。
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