【R18】美人過ぎる○○は今日も旦那様からの寵愛を受ける

雪村こはる

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こんにちは赤ちゃん

【22】

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 そうこうしている内に家についてしまった。あんなに遠くに感じた距離も、話しながらだとなんてことのない距離。しかし、それは悔しいけれど、私の買い物袋を全てハイジさんが持っているからだ。

「おおっ……新築。なんていうか、可愛らしい家だね」

「あまねくんが、まどかさんが好きな外観にしていいよって言ってくれたんです」

 思い出したら頬が緩む。彼は何でも私に決めさせてくれたのだ。悩んだ部分はあまねくんがどちらかを選び、彼も楽しそうにしてくれた。

「ほうほう……。いつもこんな愛され自慢されたら、そりゃちっとイラッとくるわ」

 ぼそっと何か聞こえた。

「何ですか?」

 じろっと目を細めて彼を見れば、「いや、別に。何も言ってないけど」と視線を逸らされた。

 キッチンまでエコバッグを運んでもらい、中身を確認した。

「わぁ……やっぱり卵ぐちゃぐちゃだ……」

 取り出した卵はパックの中で漏れていた。いくつかヒビが入っているものもある。

「まどかちゃんが投げつけたからね」

「私、謝りませんからね」

「っ~~~」

 ふんっと顔を背ければ、拳を握りしめて何かを堪えているハイジさん。あんな言い方するから悪いんだ。私が謝るのは違う。

「でも、茉紀の近況が知れてよかったです。実は、結婚式前に一度喧嘩して気になってたんです」

「うん。茉紀ちゃんから聞いたよ。俺の店に行きすぎなんじゃないのって言われたって」

「だって、こっちは何も知らなかったんですから。茉紀、ハイジさんのことかなり好きみたいですし」

「まあね。好かれてる実感はあるよ。でも、茉紀ちゃんのは恋愛感情のそれとは違うよ」

 ハイジさんは勝手にリビングのソファーに座る。そこはいつもあまねくんが座っている場所だ。

「旦那さんのことが好きだからですか?」

「そうだね。それに、まどかちゃんの旦那の友達だからね。そういう近いところで何か問題起こすの嫌いそうじゃん」

「あー……。そんなことまで考えていませんでした」

 私は割れた卵を全てボウルの中に移した。これは全部ハイジさんに食べさせよう。サルモネラ菌でもついてたら嫌だし。そう思ったことを悟られないように殻の欠片を取り除いた。

「茉紀って肝心なことは何も言ってくれないから」

「それはまどかちゃんも同じじゃないの?」

「……私?」

「元彼に刺されそうになったこととか、精神病にかかったこととか全く相談しなかったでしょ?」

「あ……でも、それは色々あって……」

 記憶を辿って気まずい雰囲気になる。結局全てを話したのは、あまねくんと婚姻届を提出し、妊娠発覚した後だった。全てひっくるめてハイジさんの店で報告したのだった。
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