97 / 208
効果覿面
【15】
しおりを挟む
神社につくと凄い人の量だった。
「わぁ……すごい! 去年もすごかったけど、今年もいっぱいだね!」
「うん。まどかさん、階段気を付けてよ? 去年はさ、まどかさんが大人になってから元旦に初詣きたの初めてって言ってたよね」
「うん。両親は正月休みあるから子供の頃は行ったけどさ、大人になってからはずっと仕事だったから。テレビで初詣の様子とかやってるけど、実際にこんなにいるもんなんだってびっくりしたよ」
「気を付けないともみくちゃにされちゃうね。安産祈願もしたいから、今日来れてよかったよ」
何だかんだ嬉しそうなあまねくん。境内の横を通りすぎ、人の列に並ぶ。一体手を合わせられるのはいつになることやら。
去年もいっぱい待ったなぁなんて思いながらも、あまねくんと話していたらあっと言う間に順番が回ってきた。
昨年のお礼と今年の挨拶、赤ちゃんの無事を祈ってたくさんお願いしてしまった。欲張りだって怒られちゃうかな。
そう思って横を見れば、あまねくんは私以上に長くお願い事をしていた。
「何お願いしたの?」
「んー? まどかさんのことだよ」
そう言って嬉しそうなあまねくん。
きっと赤ちゃんが無事に産まれてくるようにお願いしてくれたんだろうなぁなんて思いながら、あまねくんの手を引いておみくじ売り場に向かう。
「おみくじ引くの?」
「去年も引いたじゃん」
「まどかさんは大吉だったからいいけど、俺凶だったじゃん……あ……もしかして、だから去年あんなに色々あったってこと?」
それは全て臣くんのこと。
「そうかもねぇ。でも、結婚して赤ちゃんできたのは私の大吉のおかげかもよ?」
「おお……。大吉万歳だね。じゃあ、俺は今年こそ大吉を……」
そう言って一生懸命おみくじ箱を振りたくっている。飽きもせずに長いこと振ってようやく出た番号からおみくじを取り出した。
私もその箱を受け取り、今年も大吉がでますように……そう願っておみくじを引く。
「せーので開けるよ」
「いいよ。せーの!」
そう言った瞬間、「やった! 大吉!」あまねくんがおおはしゃぎしている。嘘でしょ……私の手の中にあるのは凶。
「去年と逆だねぇ……」
私のおみくじを見て、あまねくんのテンションは一気に下がった。去年のおみくじの結果があれだとしたら、今年もまだ一山くるのか……。そんなふうにあまねくんも思ったに違いない。
「私の方が凶とか不吉……。この子になにもないといいけど」
「大丈夫! きっとこの子が守ってくれるよ! だって安産祈願もしたもん」
「そうだね。これ結んで、お守り買って帰ろう」
恐らく最初に待ち受けている山は伊織くん。きっと大吉のあまねくんを連れていけば大丈夫! そう心の中で叫びながら、再び手を繋いで神社の中を歩いた。
「わぁ……すごい! 去年もすごかったけど、今年もいっぱいだね!」
「うん。まどかさん、階段気を付けてよ? 去年はさ、まどかさんが大人になってから元旦に初詣きたの初めてって言ってたよね」
「うん。両親は正月休みあるから子供の頃は行ったけどさ、大人になってからはずっと仕事だったから。テレビで初詣の様子とかやってるけど、実際にこんなにいるもんなんだってびっくりしたよ」
「気を付けないともみくちゃにされちゃうね。安産祈願もしたいから、今日来れてよかったよ」
何だかんだ嬉しそうなあまねくん。境内の横を通りすぎ、人の列に並ぶ。一体手を合わせられるのはいつになることやら。
去年もいっぱい待ったなぁなんて思いながらも、あまねくんと話していたらあっと言う間に順番が回ってきた。
昨年のお礼と今年の挨拶、赤ちゃんの無事を祈ってたくさんお願いしてしまった。欲張りだって怒られちゃうかな。
そう思って横を見れば、あまねくんは私以上に長くお願い事をしていた。
「何お願いしたの?」
「んー? まどかさんのことだよ」
そう言って嬉しそうなあまねくん。
きっと赤ちゃんが無事に産まれてくるようにお願いしてくれたんだろうなぁなんて思いながら、あまねくんの手を引いておみくじ売り場に向かう。
「おみくじ引くの?」
「去年も引いたじゃん」
「まどかさんは大吉だったからいいけど、俺凶だったじゃん……あ……もしかして、だから去年あんなに色々あったってこと?」
それは全て臣くんのこと。
「そうかもねぇ。でも、結婚して赤ちゃんできたのは私の大吉のおかげかもよ?」
「おお……。大吉万歳だね。じゃあ、俺は今年こそ大吉を……」
そう言って一生懸命おみくじ箱を振りたくっている。飽きもせずに長いこと振ってようやく出た番号からおみくじを取り出した。
私もその箱を受け取り、今年も大吉がでますように……そう願っておみくじを引く。
「せーので開けるよ」
「いいよ。せーの!」
そう言った瞬間、「やった! 大吉!」あまねくんがおおはしゃぎしている。嘘でしょ……私の手の中にあるのは凶。
「去年と逆だねぇ……」
私のおみくじを見て、あまねくんのテンションは一気に下がった。去年のおみくじの結果があれだとしたら、今年もまだ一山くるのか……。そんなふうにあまねくんも思ったに違いない。
「私の方が凶とか不吉……。この子になにもないといいけど」
「大丈夫! きっとこの子が守ってくれるよ! だって安産祈願もしたもん」
「そうだね。これ結んで、お守り買って帰ろう」
恐らく最初に待ち受けている山は伊織くん。きっと大吉のあまねくんを連れていけば大丈夫! そう心の中で叫びながら、再び手を繋いで神社の中を歩いた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
専属秘書は極上CEOに囚われる
有允ひろみ
恋愛
手痛い失恋をきっかけに勤めていた会社を辞めた佳乃。彼女は、すべてをリセットするために訪れた南国の島で、名も知らぬ相手と熱く濃密な一夜を経験する。しかし、どれほど強く惹かれ合っていても、行きずりの恋に未来などない――。佳乃は翌朝、黙って彼の前から姿を消した。それから五年、新たな会社で社長秘書として働く佳乃の前に、代表取締役CEOとしてあの夜の彼・敦彦が現れて!? 「今度こそ、絶対に逃さない」戸惑い距離を取ろうとする佳乃を色気たっぷりに追い詰め、彼は忘れたはずの恋心を強引に暴き出し……。執着系イケメンと生真面目OLの、過去からはじまる怒涛の溺愛ラブストーリー!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる